回顧

 どこで間違ったのか、と

 あの人はぼやくことでしょう。


 あの時、ぼくの手を取れば、と

 アイツはきっと言うでしょう。



 彼は、

 彼は、何と言うのかしら?


 そういえば、

 プロポーズの言葉は何だったっけ?



 息ができないほどの苦しみに

 追い込まれて


 それでも、

 私は……


 彼を嫌いには なれなかった。


 結局。

 彼の元を離れる決断をしたけれど。


 そのせいで、

 彼から批難を受けたけど。


 それでも。

 私は、

 私の愛した人だから。



 大切な ひととき だったから。


 過去は、消せない。


 消したくても。

 消えない。


 いつか、

 笑って話せる日が来るのかな。


 その時は、

 思い出話とともに

 私も

 息ができるように なっているのかもしれない。


 今はまだ、

 傷は癒えない。


 涙とともに 息をしている。






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