きみと息をしたくなる

日常

　日記を見たことは、言わなかった。

　あの人が浮気をしていることも、知らないフリをした。

　浮気をしていたとするなら、

　きっと　あの頃よね、って　時期は　見当がつくわ。

　私を家に寄せ付けなかった、あの時期。

　実習で忙しいから　って言ったのは、

　嘘だったのかしら？

　その「忙しい」を信じて、

　ひとり泣いていた私を　知らずして

　あの人は、

　あの女と懇（ねんご）ろにしていたのね。

　なにが、実習よ！

　実習絡みであの女が近付いたことも、察しがつくわ。

　あの人に私がいることを、知らないはずがないのに。

　あの人もあの人よ！

　積極的に攻めてこられたら、断れない。流されてしまう。

　そういう人だから。

　あの人が実習で悩んで弱っている時に、あの女は、つけ込んだんだわ！

　私は私なりに力になりたくて、

　傍（そば）にいたくて、

　家にいたのに

　追い出された。

　その後、

　あの女を迎え入れたの？

　女の方が押しかけてきたのね、きっと。

　あの人は、脆（もろ）い。

　その弱さに

　甘い言葉と優しさで

　あの人を籠絡（ろうらく）し、

　あの女は、何を手に入れたの？

　私の日常が、壊れていくの……