第14話 〜新たな予感〜
「それじゃあ世界創造お疲れ様ってことで宴だー」
第7世界から第8世界へと移動していた。
そこにはたくさんの豪華な料理と飲み物が用意されていた。
「本当に終わったんだ」
改めて実感して、ふと膝から力が抜けた。
「おっとっと。何やってるの大丈夫」
命与神が支えてくれ、知恵の神が椅子を運んできてくれた。
「創造神お疲れ様です」
「お疲れ様」
「大変だったわね。まぁ私と知恵の神はまだお仕事残ってるけどね」
「ん?第7世界は死者の世界なんだから、何も生物を作らなくて大丈夫なんじゃないのか」
「あーまぁ生物の方は大丈夫じゃない?ね。知恵の神」
命与神が知恵の神に問いかける。
「はい。そちらは問題ないと思います。僕達はそれ以外にも世界に矛盾が生じないように意味付けと言いますか、調整をしなければならないのです」
俺が知っているよりも、もっと色々なことをしているんだな。
俺の力も他にも何か役に立てそうな気がしてきた。
「そうか。それはお疲れ様。俺の助けが必要になったらいつでも言ってくれ」
「まだ第8世界が残ってるでしょう。神増えちゃったから大変だね」
「こだわり強い方も多いと思いますので頑張ってください」
「あぁありがとう。今までの世界に比べたらそれぞれの住む場所だけだし、範囲も狭いだろうからなんとかなるだろ。なんなら他の神でも絵が描けるようになったんだから、少し楽になるだろ」
「それもそうね。神だからなんでも作れると思ったのに、色々不便よね」
「そう言えば命与神ってお面外すことあるの?」
生物を生み出すとその姿形に引っ張られてしまうという命与神。
なんだかんだお面の下の顔を見たことがない。
「あー気になっちゃう感じか」
なんとも歯切れの悪い命与神。
「ごめん。別に無理して外して欲しいわけじゃないから」
「それなら想像にお任せするわ」
あんまり見せなくないのか。仕方ないな。無理強いしてみたいわけでもないしな。
全能神が近づいてきた。
「創造神お疲れ様でした」
お酒が弱いのか顔が少し赤い。一度見た酩酊状態の時を思い出し、すぐに逃げられるように準備をする。
「あーありがとう。全能神は最近どうなんだ?」
忙しくしていたこともあり、他の神の様子をあまり把握していなかったので最近の全能神について聞いてみた。
「そうですねぇ。僕は今までとあまり変わりませんが、少し余裕ができたので、みなさんとコミュニケーションを楽しんでます」
「そうか。全能神みんなとわいわいするの好きそうだもんな」
「はい。それにせっかく同じ神として顕現したわけですからね。何かあった時のためにも仲良くしておいて損はないのです」
「それもそうだな。そう言えば」
俺は模倣神を裏で操っていた黒幕について全能神に聞こうとした。
しかし全能神は首を横に振ると「彼女達ではありませんでした」とだけ言った。
「えっ違かったのか?じゃあ誰なんだ」
模倣神を唆したのは。
「そこは実は調査中なんです。創造神も時間できたことですし、それとなく他の神に確認してみてください」
「あぁわかった。それぞれの居住地区の創造するときに確認してみるわ。全能神も引き続き確認よろしくな」
「もちろんです。それでは引き続きお楽しみ下さい」
その後軽く他の神と挨拶すると俺は久しぶりにベッドで眠ることにした。
「緊急事態。緊急事態」
気持ちよく眠っていたところ、けたたましい音が辺りを切り裂いた。
「なんだ?」
俺は眠い目を擦り、辺りを確認する。
飲んだくれていた神は俺と同じようにぼーっとした様子だ。
全能神に召集される。
「お呼びだてしてしまい申し訳ございません。こちらをご覧ください」
そう言って全能神は1枚の紙を全員に見せた。
そこには”油断しているのも今のうちだ”と書かれていた。
「全能神どういうことなんだ?それは誰かの悪戯とかじゃないのかよ」
全能神は深刻そうな表情のままだった。
「これがいつからあるのか、僕もわかりませんが、猫ロボのカメラ映像にも何も写っていなかったのです。突如としてこの紙が現れたのです」
言っても伝わらないだろうと判断したのか、全能神は猫ロボの映像を映し出した。
全員でカメラの映像を見ていたが、全能神の言っていた通り、何もなかった場所に突如紙が出現していた。
全員押し黙るしかなかった。
寝ぼけていた神達も全員目が覚めたのか深刻そうな顔をする。
「それはどうすればいいんだ」
「僕にもわかりません」
全能神はそう言った。
「造った世界で惑星外に進出している世界はあるの」
命与神は聞いた。
「ええ。比較的新しい死者の世界、電子世界、妖精の世界の3世界以外はいわゆる宇宙への進出が進んでおります」
「えっ待ってくれよ。第2世界のモノクロ世界は生物住んでいなかったんじゃないのか」
俺は命与神と知恵の神の方を見る。
「ええ。私たちは脅威となる生命体は生み出していないです」
「脅威となる?ってことは生物自体はいるのか」
「えぇ生物というか微生物。肉眼では見えないほど小さな生物よ。しかもあそこは神すら消滅するほどの高温だから惑星内から外には出れないはずだけど……」
全能神に確認する。
「その微生物が高温に溶かされることもなく外側に出ているのが確認されているのです」
神全体に動揺が走る。
「一旦整理しましょう」
豊穣神が落ち着いたトーンで話す。
「第1世界から第4世界の発展状況について確認しましょう」
発明神がどこからかボードを持ってきた。
「まず第1世界ですが、こちらは何度も宇宙への進出を行なっており、他に6つの惑星があることまで把握しております。おそらく今後違う惑星の調査をするのではないかと思っております」
発明神がボードへ内容を簡素にまとめる。
「次に第2世界ですが、こちらは微生物の一部が惑星外へ飛び出したという痕跡しか掴めておりませんので、現状どれくらいの文明が進んでいるのか調査が必要です」
「後でチームを作り、それぞれの惑星へ調査しに行きましょう」
「次に第3世界ですね。こちらは水の生物達なのですが、一度層を突き破った集団がいましたが、外側に水がないことを知るとすぐに戻って行きました。それ以降は外に出た生物はいないですね」
「まぁ彼らは水の中で生活するようにできているから、水が少ないところに行ったら生活できないわよね」
「そして第4世界ですが、こちらが1番宇宙へ進出しております。惑星外に何隻も宇宙船が飛んでます。今の所他の惑星への侵入自体はしておりませんが、いつでも乗り込めるような状況です。第4世界は機械と生物が共存している世界なので、探索に対してあまり躊躇がありません」
「この第8世界に何かできるとしたら第4世界が1番進んでいる感じかするわね」
「しかしな……」
「ここでウダウダ言ってても仕方ないわ。私たちは神なんだから調査に行きましょう」
「軍神こういう場合はどう動くのがいいの」
神達がそれぞれ発言し動こうとする。
「なぁよく考えてみてくれ。もしこの創造した世界からの侵略だとしたら、全能神のところに情報流れ込むはずなんじゃないのか」
俺はふと疑問に思ったことを口にする。
「全能神どうなの?何か情報ないの?」
神々は全能神の言葉をまった。
「いえ。この第8世界へ干渉できるほどの、知識と技術力をもった世界は今のところありません」
「それじゃあ俺ら《神》より上の存在がいるってことか」
「えっ?」
皆動揺している。神より上の存在などいるわけないと。
でもそれなら、誰にも気づかずに紙を残すことだって容易いだろう。
カメラに映らないことだってできるだろう。
焦りなのか次第に声が大きくなっていく。
「いやいや神より上の存在ってなに?」
「さすがに考えすぎでしょう」
「いや、でも……」
パァーン。大きな音が響いた。
みると軍神が手を叩いたようだ。
「みな、不安になっているみたいだが、一度第1世界から第7世界についても調査し直してもいいのではないだろうか。そして調べてもなお何も発見できないのであれば神と同等もしくはそれ以上の力をもつ生命体の存在について調べるという流れにしよう」
先程までバラバラだった神達は、軍神の一声で冷静さを取り戻した。
「それじゃあ2神1組を適当に振り分けますね」
そう言って振り分けられた。
第1世界:全能神・重力神
第2世界:命与神・愛の神
第3世界:冥界神・水神
第4世界:知恵の神・発明神
第5世界:軍神・模倣神
第6世界:芸術神・豊穣の神
第7世界:
「あれ?天界神はいないんですか?」
俺が言うと全能神は少し不思議そうな顔をした。
「あれ?冥界神から聞いてないんですか」
「ん、何をだ」
冥界神の方を見る。
「あれはあくまでも冥界神の力の一部ですよ」
「えっそうなのか。じゃあ今いる神の数は14から変わってないのか」
「えぇそうですよ」
全能神が答えた。
「……神ってもう増えないのか」
「……」
全能神は黙った。何か異常事態が起きているのだろう。
「あーなるほどそう言うことね」
全能神はこの1枚の紙で俺達を呼び出したが、模倣神達の事とは関係なく、その他の異変も前からあったってことか。
模倣神達がこちらの世界に来てから結構経ったが解決されず、第8世界にまで手を出せる者。
他の神かそれ以外の勢力か。
何か手がかりが見つかるといいが。
「よしっそれじゃ各自調査よろしくな。調査が終わったグループから
それじゃと言おうと思ったところ発明神が俺の声を遮った。
「待ってくれ。何か起きる可能性があるなら、連絡が取れる手段があった方がいいだろ。どの程度の力を持った者達かわからないので、それぞれのチーム毎に異変が起きた場合に伝令できる手段が必要じゃ」
そう言ってヒョウのもっこもこのぬいぐるみを渡された。
「きゃー可愛い」
おねぇ様には大人気のようだ。
「可愛い上に気持ちいわね」
「抱いて眠りたい」
これから調査に行くって言うのに緩み切ってしまった。
「ほれほれその辺にせんか。使い方だが、ヒョウのどちらかの右耳を押せば他のヒョウへ繋がるようになっておる。緊急事態の場合は左耳を押せば何も言わなくても緊急事態だと伝わる」
「すごいですね〜」
全能神は感心していた。
「ではそれぞれペアになって調査始めてくださいね」
俺はペアである破壊神を探した。
「おーい破壊神」
軍神と一緒にいた神で、紳士的な方の神だったよな。
顔は思い出せたが、あまり絡みがないので破壊神がどのような神なのかはよくわからない。まぁでも破壊に特化した神なんだよなきっと。
「お呼びでしょうか」
ぬるっと俺の隣に破壊神が現れた。
ビシッとした燕尾服にハット、手にはステッキを持っていた。軍神といたときは筋トレしていて別の服を纏っていたので一瞬別人かと思った。
「えーっとマジシャンか何かでしたっけ?」
俺はついツッコんでしまった。
「ははは。よく言われます。私破壊神です」
丁寧にハットを外し挨拶してくれた。
どうしてこの見た目で破壊神だと思えようか。しかも所作も丁寧で。絶対何かおかしいだろ。
「今回一緒に調査ってことで宜しくお願いします」
「はい。宜しくお願いします。それでは行きましょうか」
俺は破壊神と最近できたばかりの
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