第7話 『フェイク』

           

 今日はクリスマスイブの12月24日、恋人たちの特別な日だ。


 毎年恒例の煌びやかな光でまとわれた『野里クラブ』高層階での

私と圭介とのディナー。

 

 一面ガラス張りで煌びやかなあちこちの高層ビル群の眩いばかりの

キラキラと光を放ち続ける灯りに囲まれるようにして、私たちは食事した。


 そしてデザート。

 私の好きな数種類のプチケーキにミルクティー。


 私が最後のケーキの欠片を食べ終えた頃、待ちかねたように

目の前の桑山圭介が指輪を差し出し私にプロポーズをしてきた。


 ははっ、おもしろ過ぎて笑えるぅ~。

 約7ヶ月前には捨てようとしていた女にプロポーズだって。 


 なんなんだっ、コイツ。 

 あちらがだめならやっぱりこっち……ってか!


 映画の台詞が頭に浮かんだ。


 『な、なめたら……なめたらいかんぜよ! キャハッ』



「麻衣子、僕と、その……結婚して欲しい。

 これは婚約指輪なんだ。指、出して……」




「圭介っ、ちょっと待って!

 私、、ずっと言わなきゃって……迷って悩んで……。


 好きな人がいるの。

 ごめん、この指輪受け取れないよ。うっぅぅ

 ごめんなさい」

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