第3話  『フェイク』



「どちらが・・・って、はっきりいえないけど。 


 私が酔いすぎて会がお開きになった後立てなくて、そしたら


桑山くんが酔いが醒めるまでずっとついててくれて……」



 要約するとその後彼女の家まで送って行ったらしい。

 チッ、まったく。


 圭介のほうは十分下心があったんだろうなぁ~って、

見てたわけじゃないけどその話を聞いて私はそう思った。


 だって彼女の友達だって何人かいたんだよ。


 下心もないのにその日初めて顔合わせした相手を介抱し

自宅まで送って行くだなんて。


 私は食い下がるように熱烈にアプローチしてきた圭介の

当時の私への積極的な行動を思った。


さもありなん!!



「いいよ、わかった。


 圭介はあなたに譲ってあげるよって、今ここですぐに返事できるようなことでもないよね?


 だけどあなたたちが本気で想いあっているのに、先に付き合っている

からってどこまでも邪魔をするような野暮な人間じゃないから、あたし。


 今言ったことが本当のことなら相思相愛を主張するあなたに

不安材料はないってことになるのかな?!


……となるとぉ、急がなくてもそのうち結論の出そうな話だし

泣かなくていいわよ」


 と、その女に慰めともとれるような話をし、私は立ち上がった。



 スタッフがオーダー取りに来る前に話がついてしまい、流石に

そのまま気まずさの中でお茶なんて飲んでられないと思い、私は足早に

店を出た。


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