0011 冒険者ギルド

 翌朝、俺は窓から差し込む朝日で目が覚めた・・・ん?体が動かない?なんで?

 もしかして、一服、盛られた!?


・・・じゃなかった。俺の体の上に4人も乗っかってるんだもん。重いよ。


「みんな起きて!って、えーっ!」

 みんな裸?なんで?俺も裸!なにがあったの?

「あっ、桜花さん、おはよう・・・。」玲子の声が聞こえる。

 玲子まで裸!「なんで、裸なんだよう・・・?」

「え?私たちは夫婦よ、裸で一緒に寝るのは当然じゃない。」

「俺が言いたいのはだな、なんで皆して裸でいるんだよって事!」

「この子達も、あなたの奥さんなんだから、一緒に寝るのは当たり前でしょ?」

「玲子はそれでもいいの?」

「ええ、私は納得しているわ!だから、桜花さんは、好きな時に好きな嫁と一緒に寝てくれればいいの。」


「後で怒らない?」

「ええ、抱いてもらっても構わないわ。」

「それでさ、」

「何?」

「何で俺まで裸なの?俺、何かされたの?」

「ふふ~ん、それはナイショ。」

「あっ、それからね桜花さん、」

「何?」

「これから、奥さんが増えていっても私、怒らないからね。」


 玲子の衝撃的な一言に俺は唖然とした。これが正妻としての余裕というやつか。


 部屋から出るとアムさんが扉の所に立っていた。どうやら警護にあたってくれていたようだ。

「昨晩はお楽しみのようで・・・」

 本当に俺は何をされたんだろう・・・。


 王様、王妃様に挨拶をし、自活の為に城を出て冒険者らしくギルドへ行きますと言うと、準備金が必要だと金貨1000枚くれた。これのことか、サリーナが言ってた金貨って。


 ギルドへ向かう途中、玲子は手帳とペンを取り出した。

 何をしてるの?と聞くと家計簿よと言われた。この国の物価を調べて、無駄遣いをしないようにするためらしい。さすが正妻。というより性格だな。これは。

 

 小さな人たちの人混みを抜けると冒険者ギルドがあった。ギルドと言っても建物が小さい。小さな銀行の支店位の大きさ。う〜ん、迫力不足。


 どんな荒くれ物がいるのかと思えば、冒険者は皆、貧弱な体格、ボロボロの武器、いかにも安そうな防具を付けて、酒を飲んでいる。

 俺達が入ると身長の高さにびっくりしたのか、皆が右に左に避けていく。


「ようこそ、冒険者ギルドへ!受け付けはあちらになりまーす!」

「あの、冒険者になりたいのですが。」


 周りの冒険者達が一斉に笑いだす。


「本当に登録されるのですか?」受付嬢が確認してくる。

「なにかまずいのでしょうか?」

「まずいも何も、この国に冒険はありませんよ。」

「え?魔物退治とかもないのですか?」

「確かに魔物は活発化してますが、近所の子供達でも退治できますので、冒険者の出る幕はございません。」


・・・魔物って虫扱いかよ。なにが人間が襲われるだ!あの女神め!


「あの、ドラゴンとかワイバーンとかのモンスターの出現はないんですか?」

「何です?そのドラゴンって?新しい生物ですか?」

「それじゃあ、冒険者の仕事って?」

「基本的に労働力や護衛ですね。盗賊など悪人から守ってもらう仕事が多いです。」

 う〜ん、確かに護衛の仕事も冒険者にはあるけど、魔物じゃなくて対人間の仕事か・・。


 モンスターがいない異世界物もあるんだな。

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