0007 異世界へ・・・

 サリーナは突然、濃厚なキスをしてきた。逃げようにもその舌使いは余りにも甘く、とろけそうで抵抗すら出来ない・・・。


「これで、出来るよ!」

 サリーナが手を差し出した先に魔法陣が現れ、桜花そっくり、というよりそのままが出てきた。

「この子は、完全なる桜花のコピーよ。だから異世界にいる間は、完璧に仕事をこなしてくれるぞ。」

「でも、ここは魔素がないって言ってたんじゃ・・・」

「わらわを誰だと思ってる。神だぞ神!体内に溢れるぐらいの魔素は持ってるわ。」


「次は玲子の番ね。」

 サリーナは玲子の唇を奪う。唇を奪われた玲子は立ってられずに、横たわってしまった。

「はぁ~、桜花さんより上手い・・・。」

 俺・玲子のコピーの完成である。


「でもこれ、どうやって動くんだ?」

 棒立ちの俺・玲子のコピーを展示物で見るようにまじまじと観察をしてしまう。鏡や写真で自分の顔は見れるけど3Dで見るのは初めてだ。

「基本的には、あなた達と同じ。食べて、寝る。お風呂にも入るし排泄もする。ただし」

「ただし?」

「この子たちは年齢を重ねられないのよね。だから、何もしなければ、このままの年齢って事になるわ。」

「それを更新しようと思ったら、どうすれば?」

「ンフフ〜」サリーナが舌なめずりをする。

「いつまでも若いですね!って憧れの的になるわ!」と玲子も喜んでいる。


「とりあえずは、1か月は時間が欲しいな。その間に準備をしたい。サリーナ、それでいいか?」

「ああ、いいともさ、それに時間が惜しいだろ?その間はコピーが君たちに変わって仕事してくれるさ!」


 準備は次の日から始めるということにして、今夜はごはんを食べることに。


 やっと食べれたよ、ハンバーガー。




ー***-




 翌日、まず実家に帰り、親父に日本刀を打ってくれと頼み込んだ。

 どうしたんだ?誰か斬りたい奴でもいるのか?と珍しく冗談を言ってくる親父は久しぶりに刀を打てると上機嫌だ。最高の一振りを打ってやる、その刀に「桜花」と名付けると言っていた。


 病院にも行って体のチェック。パーソナルジムにも通い専門のトレーナーに「日本刀を振っても大丈夫な強靭な体を作ってくれ」とメニューを作り、かなりキツイトレーニングを積むことになった。もちろん、剣道も忘れちゃいない。腕が落ちてないかの確認。うん大丈夫だ。



 そして、約束の一ヶ月が過ぎた。



 女神サリーナによる適性検査の日・・・。

 よくある異世界物だと、レベル測定をする機械とか水晶玉を使うのだけど、実際は・・・

「痛ってー!」

「男の子だろ!我慢しろ!」


 指をナイフで切り血液採取。その血を羊皮紙のような物に垂らす。羊皮紙に文字が浮かび上がる。

「これ、何て書いてあるんだ?」

「まず、この文字が異世界の文字だから見慣れといて!」

「桜花はな~」


・Lv.10

・HP55

・MP60

・属性、無属性

・物理攻撃耐性20

・スキル、斬撃・居合・ディベート


「1か月頑張ってこれかぁ~!」

「まぁ、1か月でこの世界に居ながらここまでレベル上げ出来たんだ、大したもんよ。それに転移する時にわらわからのボーナス特典もついてくるぞ!」


「次は玲子!あれ?」

「玲子のレベル20だって!しかもMPが120もあるわ!玲子は魔法職が向いてるわ!」

「玲子、どんな修行をしたんだ?」

「私はね~実は何もしてないんだよね。」

「何も?」俺はきょとんとしてしまった。


「うん、やったことって卒業旅行だ〜って、全国の神社や霊廟・パワースポットに行きまくった位かな?後は聖地巡礼とか?全国の美味しい物、もう一度、食べたいわぁ~。」

「お、俺の威厳が・・・。」


「聖地巡礼ってなんだ?」サリーナが不思議そうに聞いてくる。

「気にするな。」


 ちなみに、茜、いちょう、みどりも適性検査を受ける。

 分かってたけどね。給仕と教育者以外に何もなし。


「異世界に行ったら、冒険者ギルドに登録してね。その際も同じ適性検査を受けるけど、違う結果になるかもね。」

「もう一回、指切るのかよ!」


「では、儀式を始めるけど、忘れ物はないね。準備はいい?」

「オウ!いつでもやってくれ!」



・・・汝、勇気あるものよ、女神クリス・サリーナの名のもとに勇者の称号を与えます。

   願わくば、魔王を退治、世界に奇跡をもたらしたまえ・・・



 桜花達5人は魔法陣の光に包まれて、異世界に旅だった・・・。

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