異世界串カツ屋『大ぐるま』

梨詩修史

第1話 異世界串カツ『大ぐるま』

 俺は今日も串を揚げる。豚、牛、かしわ、えび、しいたけ、まいたけ、チーズ、もち。客の注文に応じてただひたすら揚げる。

「大将、えび三本と酒をくれ」

「酒は何がいい」

「あの、シュワシュワなるやつ」

「ビールですね」

戦士にえび三本とビールだな。えびは俺が揚げるとして、ビールはアイリスに頼むか。

「おーい、アイリス、こちらの戦士にビールを頼む」

「はい、清。分かったわ。」

今日もアイリスはよく働いてくれるな。おっと。えびを揚げなくちゃ。ジュウ。あちち。

「へい、えびが揚がりました」

「うん。美味い。サクサク。プリプリだ」

美味しそうに食べる戦士だな。

「マスター、私にはしいたけをお願い」

「へい、何本ですが」

「えーと、二本」

「分かりました」

よし、しいたけのタネはまだあるな。ジュウ。

「へい、おまち。魔法使いの嬢ちゃん」

「うーん、このしいたけ。サクッとした後にジュワっと味がして美味しいわー」

 やっぱり串カツを揚げるのは楽しいな。こうしてお客が一本一本に満足してくれる。

 ああ、異世界に来て串カツ屋を開いて良かった。

--思えば、この世界に来たばかりの頃は色々あったな。あの時は…… 。



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