第40話

女井戸さんに確認してみた。



「チッ・・・あのサルが余計なことを言いましたか・・・」

「あ~内緒ないしょなんですか?」

「え?特にかくすことも無いですよ?ただ聞かれないから言ったないだけです」



ニッコリと笑顔の女井戸さんの威圧いあつが怖いのですが・・・

何も無いのに俺に威圧を掛ける意味ってあるの?

これでも元勇者で修羅場をいくつもえているのに背中にいやな汗が流れる。

流石に隠す必要ないと言いつつ威圧するのは理不尽りふじんなのでジト目で女井戸さんを見ると、威圧を消し「冗談ですよ」とニッコリ笑って行った。

そして更に言葉を続けた。



彩夏さやかと呼んでもいいですよ。あなたにはそう呼ぶ権利を与えましょう (^^) 」

「いえ、女井戸めいどさんと今までどおりに呼ばせて頂きます (;^_^A 」

「そうですか、残念です」



残念と言いつつ残念に見えない、揶揄からかって遊んでいるのだろう。

本当にいい性格をしている。

特に隠している訳でもないので皆に言っても良いらしい。

皆に言うと、智も驚いているので知らなかったのだろう。

蓮美さんはキラキラとした目で女井戸さんを見ている。

貴女様あなたさま蹂躙じゅうりん彩夏さやかなんですね!!」とまるであこがれのアイドルを見るような目でそういった。

蹂躙じゅうりんって・・・そんな恐ろしい二つ名付くとか女井戸さんは紅蓮のリーダー時代何をしたのだろうか?



「その二つ名は卒業と共に捨てました。今はただのメイドに過ぎませんよ」



女井戸さんはニッコリと良い笑顔で蓮美さんにそう答えた。

あ~「ただの」って「普通じゃない」って意味でしたっけ?

俺がジト目で見つめると咳払せきばらいして「出来る事しか出来ません」とどこかで聞いたようなセリフを吐いた。

色々出来るスーパーメイドさんですよね?あなた

出来ないことって無い気がするが、まぁ彼女がそう言うのだからそうなのだろう。


★~~~~~~~~~~~~★


陣は知っていた。

彼女の現役時代紅蓮のリーダーの頃蹂躙じゅうりん彩夏さやかと呼ばれ、「女井戸めいど冥途めいどに送るから近付くなアンタッチャブル」と言われていた。

そして、その頃、百鬼夜行チームを立ち上げたばかりでいきがっていた中学生ガキ愚か者は彼女にいどみ見事に蹂躙じゅうりんされた。

彼女、女井戸めいど彩夏さやかは一つ前の世代ではここら一帯で敵対してはいけない女ヤンキーとして知られる女性伝説なのだ。


★~~~~~~~~~~~~★



女井戸さんに聞けば、女井戸家は智の母方の家に代々使える奉公人ほうこうにんの家系で、中学まで彼女は母親と祖母に色々と鍛えられたらしい。

その反動で、高校時代はグレて紅蓮に所属していたが、紅蓮は実力主義でリーダーが決まるので1年時からリーダーになっていたそうだ。

彼女は歴代でも最凶さいきょうと言われるほど周りから恐れられていた実力者だった。

ちなみに、紅蓮の初代総長リーダーは女井戸さんのお母様らしい。

女井戸さんのお母様も奉公人の修業が辛くてグレて紅蓮を立ち上げてさを晴らしていたらしい。

閑話休題である。



夕食はその話題で盛り上がった。

女井戸さんは「亮二バカも知り合いなんですね」と言っていたので、亮二も女井戸さんに何かして返り討ちにあったのかもしれない。

陣は居心地いごこち悪そうにしているがあきらめろ。

蓮美さんが女井戸さんにベッタリなので陣が近付けないのも何だか面白い。



楽しかった別荘のお泊り会も終わりをむかえた。

また来年も来たいねと皆で話し、蓮美さんもタツ、遠藤さんも「また誘って欲しい」と言っていた。

勿論もちろん、問題無ければ来年もさそいたいので智に確認を取り「OK」と答えておいた。



別荘から戻ってから亮二へメッセージを送り、陣の抜け駆けをリークしておいた。

「詳しく教えろ」とのメッセージが来たので、皆で最後に仲良く撮った写真を添付して「楽しかった夏の思い出」とタイトルを付けて送り返しておいた。

亮二からは「左隅の女性とはお知り合いでしょうか?」と何とも丁寧な文章で返しが来た。

陣と同じく亮二も蹂躙じゅうりんされたのかもしれない。

俺は「智の家のメイドさんだ」と回答しておいたが、そこでメッセージが途切れたのでその日は眠りについた。



夏休みなかばも過ぎ去り、夏休み期間中の登校日がやって来た。

何でも文化祭の打ち合わせをふくめた登校日で、その話し合いも行われることとなっている。

夏休みが明けるとその文化祭の準備などが行われるとのことで、学校はその準備で大わらわになるらしい。

うちの高校は特に文化祭には力を入れているので、各クラスで模擬店、等々の自分たちで決めた事を全力で取り組み文化祭を楽しむと乙女はお泊り会の食事の際に話題の一つとして話していた。

俺も含め殆どのメンバーが1年で同じクラスなので何をするかという話題が出ていた。

例として乙女が1年の時にクラスで模擬店を出したと語った。

追加で蓮美さんが情報を教えてくれた。

友人として遊びに来たそうなのだが、なんとその時、模擬店にナンパ目的でがらの悪い者が来たそうだ。

そいつ等が、いちゃもんを付けて来たのでお約束の成敗を乙女が行い、その後、それを見ていた人々が面白がって模擬店に押しかけ空前の売り上げを叩き出したらしい。

乙女の手作り焼きそばが飛ぶように売れたと蓮美さんは自分の事の様に語っていたが、乙女が恥ずかしそうにしているのが以外で面白かった。

俺達も中学時代の文化祭で女井戸さん監修プロデュースのメイド喫茶をしたことを話すと「行きたかった」と蓮美さんがくやしがっていた。

まだ決まっていないので俺たちのクラスが何をするのか分からないが、文化祭は楽しみである。

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