第39話

今日は午前中は生憎の空模様そらもようで、雨が降っているので皆でどうするか話し合い、近くのお土産物屋さんへ買い物に行き、天気予報では午後は雨が上がり曇になるとのことらしい。

女井戸さんにシュノーケリングを進められたので皆ですることとなっている。

シュノーケリングは曇の日の方が海の中の様子が見易いのでお勧めらしい。

天気の日にするイメージだったので曇の日に?と思ったが、天気が良いと陰影いんえいが出来て海の中は意外と見辛くなるとのこと。

女井戸めいどさんがガイドとして付くとのことであるし安心である。


早速、朝食後にお土産を買いに近くの商店へと来たのだが、居るはずのない人物がいた。

こちらに気が付いたようで、ニヤリとした笑みを浮かべてこちらに依って来た。



茂武しげたけ奇遇きぐうだな!!」

「そうだな・・・お前こそ何でここに居る?」

「海に行くと言ってなかったかな?」

「〇〇へ行くんじゃなかったのか?」

「〇〇も良いが、気分的にこっちを選んだ」

「そうか・・・じゃあ頑張って遊んでくれ、俺達は俺達で行動するから」

「茂武よ~寂しいこと言うなよ、心友だろ!」



絶対解ってて此奴こいつは言っている。

狙いは間違いなく蓮美はすみさんだろうな。



「俺の一存では決められないな」



じんは何か思案しているようで黙っている。

そうこうしていると、蓮美さんたちが声を掛けてきた。



「茂武、何か良い物見つかったか?」



丁度声を掛けてきたのは蓮美さんだった。

今日の蓮美さんの装いは、上は黒のタンクトップに下はジーンズ生地のショートパンツにサンダルと可成りラフな格好ではあるが、美人でスタイルの良い蓮美さんが着ると非常に様になるし、少し腕を上げるとおへそが見えるのがセクシーで目の保養になる。

陣はそんな蓮美さんを見て固まっているが、蓮美さんも陣を見て固まっている。



「何でここにお前がいるんだ?」


先に思考が回復したのは蓮美さんだったようで陣に質問した。

それに誤魔化ごまかした回答をする陣。



「え?・・・そうそう、茂武と遊ぼうと思って海へ来たんだよ」



こんなところで屁垂へたれるから駄目じゃないのか?

蓮美さんを追いかけて来たとでも言えばいい物を、俺を出汁だしに使うとか掛場で見た陣とは大違いである。

何だかキョドっているように見えて面白い。

蓮美さんはそうなのか?と言うように俺の方を見て来た。



偶々たまたま会っただけで特に約束はしていない」

「そうなんだ・・・」



まぁ蓮美さんも知ってますよね?事情は話してる訳ですし。

陣は「それは無いだろ~」と言っているが、それはあるんです。

それを少し遠くで見ていた面々が近づいて来て、家主である智が代表して話し始めた。



「陣さんお久しぶり」

「おう、え~とワイズマンさんだったっけ?」

ともでいいよ」

「おう、智さん久しぶり」

「それで、どうしたのかな?」

「いや・・・茂武と遊ぼうと思って・・・」

「へ~~そうなんだ、じゃあ茂武を午前中だけ貸し出すんで、それでいいかな? (*^▽^*) 」

「え?・・・ (;゚Д゚) 」



智よそう来たか!!面白そうなので俺も乗っかることとした。



「そうか、そうか、そんなに俺と遊びたかったのか。気が付かないですまんかったな」

「あ・・・」

「午前中だけなら付き合うぞ、それでいいか?」



他の面々も雰囲気で気が付いたようで皆一応に┐(´д`)┌ヤレヤレ顔をしている。

陣はこの場を如何どうすべきか、如何どう乗り切るべきか思案しているのか黙っている。

そうしていると、蓮美さんが「はぁ~」と溜息ためいきを吐き、陣へ助け舟を出してきた。



「今回は陣も泊めてやってくれないか?」



蓮美さんのこういうところが姐御肌あねごはだで皆に愛されるところなのだろう。

陣よ、無計画考え無しで動くからこうなることを覚えろよと言いたいが、蓮美さんのことしか考えていない今の陣に何を言っても聞いてないだろうからいうのはあきらめた。

以外にもタツと遠藤さんは陣の事をし知っていて、陣も2人の事を知っていた。

何でも3人は同中おなちゅうらしい。

意外な所にえんがあるな~と思うが、 まぁ世の中は広いようでせまいのである。



「そういう事で、茂武よ、よろしくな!!」



俺に対して勝ちほこったように良い笑顔でそう言う陣が何だかムカつくが、野性の勘的な臭覚でここまで辿たどり着いたことで今回は大目に見てやることとした。

ただし、相良に「陣が抜け駆けしたぞ」とメッセージを送っておくこととした。

皆で楽しくお土産を買い、別荘へと戻った。

別荘に戻ると、女井戸さんを見て固まる陣が居る。

何だか面白そうな予感がするので、後で確認することとしよう。

智も気が付いたようで、俺と同じ悪い顔をしている。

察しの良い天音は俺達2人を見て「程々にね」と言って溜息を吐いている。

俺と智はお互いに笑顔で「陣を連れて来て良かったよ(ね)」と言い合った。


午後からは当初予定通りにシュノーケリングを楽しんでいる。

本当に言われた通り曇の日だと陰影いんえいがあまり無く海の中の様子が見易い。

海外のリゾート地とか沖縄の様に熱帯魚が泳いでいたりと言う事は無いが、普通に面白いと感じた。

女性陣も楽しんでいるようでもぐっては何かを見つけ手振りで意思疎通いしそつうをしているようだ。

借りてきた猫が大人しいかは知らないが、別荘に戻って来てから陣が大人しい。

多分、女井戸さんとの上下関係は陣が下なのだろうとは想像が付くがどんな関係なのだろうか気になるところである。

皆でシュノーケリングを楽しんだが、泳ぐに疲れたのだろう我が妹が舟をいでいる。

紗姫がまた声を掛けているので任せることとして、陣に事情聴取じじょうちょうしゅをしなければなるまい。



「陣、聞きたいことがあるんだが」

「何だ?・・・」

「女井戸・・・」



女井戸さんの名前を出したところで陣の肩がビクッとねる。

反応が面白くてニヤリと笑顔になってしまった。



「女井戸さんとはどんな関係だ?」

「・・・」

如何どうした?何も言わないで」

「紅蓮の数代前のリーダーだ・・・」

「女井戸さんが?」

「他に誰がいる?」



どうやら不良関連での知り合いだったようである。

それにしても、蓮美さんはそのことを知らないのだろうか?



「それなら蓮美さんも知っているのか?」

「面識は無いと思うぞ」

「同じチームなのに?」

「代が離れていれば知らなくても当然だろ?」

「そうなのか?」

「OGとして顔を頻繁ひんぱんに出すなら知っているかもしれないが、彩夏さやかさんは卒業後は全く顔を出さなくなっていたらしいからな」



女井戸さんの下の名前は彩夏さやかさんと言うらしい。

そういえば俺達が女井戸さんを下の名前で呼ぶ事は無いし、智も女井戸さんと呼んでいるので、俺も他のメンバーも下の名前までは知らなかった。

そして驚いたことに女井戸さんは紅蓮の元リーダーらしい。

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