第17話 昔話


 一週間経っても音沙汰なしだったので一回もどってみる。

「ただいま!」

「あらおかえりさね」

「やっぱりここが落ち着くなぁ」

「そりゃそうさね。私が厳選したさね」

「そうかぁ、ワシもここに家建てようかな?モニカとゴタ爺も呼んでさ」

「それはやめとくれよ。私一人がいいのさね」

「そうかぁ、んじゃワシも探さないとなぁ」

「南にはまだ行ってない国があるさね」

「んじゃまだ旅を続けようかね」

「きっとあるさね、自分にあったとこが」

 コーヒーを入れてから渡してくれる。

「じゃな」

「こっちにはどれくらいいるんだい?」

「刀が出来次第だからまだわからんのじゃ」

「そうかそうか、まぁゆっくりしてくさね」

「そうじゃな、中央ダンジョンも攻略したしな」

 タバコをふかしながらびっくりしているメルル。

「『ジグラート』を、攻略したのかい?」

「あぁ、上には何もなかったけど、あ、茶会用の椅子やテーブルがあったのう」

「はぁ、規格外じゃと思うておったが本当に規格外じゃよ」


 メルルが昔話をしてくれた。



 成長する塔、ジグラートが出来始めた頃、

 魔女達は最初から四人ではなかった。


 クロノス・メルルは一人でバベル攻略をしていたからだ。


「こいつら大したことないじゃないさね」

 クロノスの使う時間魔法は万能ではないが、強力で時間を操る。

 だが欠点がある。歳をとるのだ。

「はぁ、また補充しに帰らないといけないじゃない」

 早々に諦めて補充に帰るため遅々として先に進まない。



 次に動いたのは赤の魔女。

 ライラ・ガルシアはバベルをどう攻略するかを考えていた。真祖の血を引くヴァンパイアだが塔の中でどれだけ動けるのか?そしてまだ子供のアリアも心配だった。そして仲間を集めることにした。


 白の魔女は死の魔女。

 だれが言い出したのかわからないが彼女の通った先には死という言葉すら生ぬるい惨劇が残ると、、

 実際は無属性魔法と呪いやバフの使い手で前衛職のメイフィ・ブライトだ。その手にはモーニングスターと呼ばれる武器が存在していた。


 メイフィもジグラートには幾度となく挑戦しているが道半ばで挫折を繰り返していた。



 青の魔女は知の魔女。

 彼女はありとあらゆる魔法を習得するため弛まぬ努力をしていた。城には何千万冊の書物の山が出来、そのすべてを覚えていた。

 ミスティア・マリンは知識とそれを使う技術のために生きている。ミスティアは塔などどうでも良く、なぜ塔があるのかを知りたかった。



 赤の魔女は白の魔女メイフィをまず仲間に入れ、次に青の魔女ミスティアを蔵書を渡すことで仲間に入れた。

 前衛にメイフィ、ライラ、後衛にミスティアでバベルを登っていく。


 だがやはり道半ばで強敵が襲いかかってくる。まだ私達には無理だと思った瞬間。


『クロノ・ロブ』


 モンスターの動きが止まった。

「早く倒して」

「わかった!」

 そこにいたのは黒の魔女。


「貴女がなぜここに?」

「私もこのジグラートを登りたいのさね」

 こともなげに言う。

「なら共闘と行こうじゃないか?」

「良いのかい?私は時を欲するさね」

「私は不老不死さ」

 ライラがそういうと黒の魔女は微笑む。

「なら行こうか」


 四人は互いに足りないところを補い、その頃にはルナディアで一番高い塔をなんとか攻略する。


 オーブに四人で触り、願ったことは平穏。


 四人はそれぞれ四方に陣取って何かあれば会談をして決めると約束をして解散する。


 人々は平穏を保ったのが四人の魔女と知らず、恐れの対象として四人から遠ざかっていった。


「って言うことさね。それを一人で攻略なんてしてんだからやになるさね」

「なんだ、だからなにもなかったんじゃな」

「そうさ、平穏が一番さね」

「ならワシも平穏を願っておこう」

「それがいいさね」


「ヤオキ、タバコが切れそうさね」

「はいよー!たまには自分で言ったらどうじゃ?」

「私が行くよりヤオキが行った方が喜ぶさね」

「はいはい」

 北の街まで15分をきっている。

「おいヤオキ!あまりスピード出しすぎるな!砂埃がひどい」

「おぉ。すまんかったのう」

 見知った兵士に謝って街の中に入る。

裏通りを歩くと、小さな店でたばこを売ってる店にたどり着く。

「あらヤオキちゃんまた来てくれたの?」

「たまにはあのババアにもいけと言ったんじゃが」

「ババアより、ヤオキちゃんが来てよ」

「そっちの方が良さそうじゃ」

 適当にタバコをカートンでもらうとアイテムボックスにしまう。


「モニカは何か欲しいものはないのか?」

「え?、何かくれるの?」

「盗品で悪いが選んでくれ」

「きゃー素敵!これなんか似合う?」

「いいと思うぞ?」

「じゃーこれにしちゃおっと」

「あははこんなに喜ばれるとは思わなんだ」

「ヤオキちゃんは男前だからこんなことしちゃ女の子なんてイチコロよね」

「そうかの?」

「「あははは」」

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