第11話 二人旅


「それでそれで?」

「でワシがガツンと…」

 アリアは話を楽しく聞くのでつい話しすぎてしまう。

「アリア?そろそろ本題に移ろうか?」

「はい…わたしと一緒に白の街に行ってもらえませんか?」

「ん、ライラが連れてけば?」

「今わたしはあまり出れないのでな」

 ワシを迎えに来てたじゃねーか!

「行ってもいいけど何をしに行くんじゃ?」

「あることをしに行きたいのです」

「あることねー。まぁいいけんじゃけど、ワシこの街初めてじゃから観光して来ていいじゃろか?」

「いいわよ。アリア、案内してあげなさい」

「はい。行きましょう」

「おおう!まてまつんじゃ、これ引っ張るでない」

「あははアリアが楽しそうでなによりだ」

「本当にあれが『黒の旅人』とは思えないですね」 

「あいつは本当にあの時の魔女の弟子だよ」

「そうですか、わたしにはただの」

「子供に見えたかい?ならあんたの目は節穴だ、一人で盗賊50近くの首を持ち帰り、中王国の中に入り込んで首謀者の王子を討ち取った豪傑だよあいつは」

 化け物の子は化け物なのさ。

 

「こら、走らんでもいいだろうに」

「だって早く行かないと日が暮れちゃうわよ」

「分かった」 

 しょうがないから付き合ってやろうかの。

「あはははは」

 喜んどるようじゃしのぅ。

  

 城下町は賑わいを見せておりなだらかな坂 道にいっぱいの店が並んでいる。

 人混みを掻き分け手を繋いで歩くが、

「あ、リンゴ飴!」

「買えばいいじゃないか?」

「お金持ってない」

「んじゃ買ってやるかのぉ」

「ありがとう」

 りんご飴を食べていると突然他の食べ物に目移りしたり、まるで子供じゃのぉ。

 そうじゃ子供だった。

「ヤオキは何が買わないの?」

「お、これは懐かしいのぉ」

「何その筒?」

「万華鏡というやつじゃ。中を見てみい」

「うわぁ。綺麗だし模様が変わる」

「いくらじゃ?買ってやろう」

「ありがとー!」

 万華鏡片手に街をぶらつく。

 こういうのは孫の小太郎とよくいっとったな。

『なぁ。爺ちゃん!俺綿菓子』


「ねえヤオキ?大丈夫」

「あ、あぁ。大丈夫じゃよ」

 思い出は大事じゃのぉ。

「ラムネ飲も」

「はいよ」

 二人でベンチに座ってラムネを呑む。

「ぷはぁー!おいしー!」

「そうかそうか」

 この子はアリアじゃ、今のワシと変わらんくらいの年頃じゃて、孫のように接するのはだめじゃよな。


「さてラムネを飲んだろ帰ろう」

「もういいの?」

「またくればいいさ」

「それもそうね」

 王城に戻る。


 殺気を感じる。あの執事からじゃな。

「王よ、手懐けとらんではないのか?」

「さぁ?殺したところで代わりはおる」

「なら殺してもいいんだな」

「め、めそうもございません。申し訳ありませんでした」

「なら良かった」

「もうちょっと男気を見せい」

「殺される場面しか目に浮かばなかったもので」

「で?本当の理由は?秘密じゃワシも命をかけれん」

「本当はワシが行かなくちゃならんのだが中王国を取り込み中でな。白の儀に参列して欲しい」

「それは大丈夫なのか?」

「我が子アリアには儀式のやり方は教えてあるあとは魔力が持つかどうかじゃがの」

「無事連れて行ってくれれば迎えに行こう。黒の魔女メルルも参列する」

「そうか、では行かねばなるまいな」

「いってくれるか」

「金が10000枚」

「なっ!」

「ワシもタダ働きは嫌なのでな!もちろん成功報酬でいいぞ」

「…わかった!出そうではないか」

「交渉成立じゃな」

「ちゃんと守るのだぞ」

「わかっておる」

「今日は宿を取ってあるそこに泊まるとよかろう」

「気がきくのう」

「出発は明日。一週間でついてもらうぞ?」

「は?どうやって一週間でつけるのじゃ?」

「三日後に港町ウォーレンから船が出る、それに乗れば四日で白の街じゃ」

「はぁ、期限ギリギリではないか!送ってやればよかろうに」

「可愛い子には旅をさせろというではないか」

「それは大人になってからで良くないか?それに飛行魔法は覚えておらんのか?」

「アリアにはまだ早いのでな」

「はぁ。無事辿り着くよう願っててくれよ」

「そうするとしよう」

 ニヤリと笑うライラは悪戯っ子の様に笑う。

 やっと自分のことにけりがついたらまた問題じゃ。なんか悪いことでもしたかのぅ。


 宿に行くと一番大きな部屋じゃった。

 ここが最後のゆっくりできる場所か。風呂に入ってさっぱりすると涼みながら茶を飲む。さて、今後の計画を立てねばな。


 翌日は朝から王城じゃ、

「で入って参れ」

「おう、いってくるぞ」

「お母様行ってまいります」

 今日はパンツルックに皮装備に剣をつけておるからそれなりに戦えるのであろうな。

 二人で手を繋いで出ていく。

 港町ウォーレンは歩きで三日、馬車でも二日かかる。ライラめ!

「身体強化をかけるから走るのじゃぞ」

「はい!港町ウォーレンまでですね」

「そうじゃ!遅れそうになったら言ってくれ」

「はい」

 ワシとアリアは走っていく道を選んだ。

 馬車だとギリギリだからじゃ。

 最初は良かったが途中からだんだんと息が切れておる。

「少し休もう」

「すいません!こんなに走ることがなかったもので」

「いいから休めそして剣を預かろう」

「走っとる時は邪魔じゃからのう」

「ありがとうございます」   


 それから途中休憩を挟みながら半分は越した。もう少し先に街があるので今日の宿まで頑張れ。

 なんとか夕方には着いて宿に泊まる。アリアなはヒールをかけて足を労ってやれと言っておいた。

 だが意外と元気なアリアは晩飯をおかわりして寝てしまった。

 

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