第2話
「私はヒーローになり損ねた、ただの人間でしかなかったよ、まよちゃん。はは」
お昼時、彼女の家にお邪魔してお見舞いの品を渡しおえて少しくつろいでいた時彼女は言った。
いつも、明るかった、友達が私に言った。
私は4月から専門学校に入った新一年生で、最寄りが一緒だったんで、よく一緒にいて、仲が良かった。しかし、彼女は、あぁなんと変わったことか。彼女はつぶやいた
「あぁ、なんで、こんなんになってしまったんだろうか、やっぱりあれか、あれが…!」
彼女は専門学校に通っている途中、1年生の11月ごろに精神病になって学校を休学となり最近ようやっとお見舞いというか、家に行ける状態になったので、最寄りが近く様子を見に行ったのだ。久々に見た彼女はなんだか痩せ細って、顔も青白くって、不健康な肌の色の中に瞳だけが黒くギラギラと灯っていた。今にもなんだか死んでしまう、いや、もう死んでるんじゃないかって感じだった。
あ、また呟き始めた。
「あぁ、あれは中学の部活説明の時だった。
桜が水溜りの淵で、茶色くしなってきた時期だった。
今思えば、あれだけが唯一の偶然なのかもしれない。」
きっと会話は成り立つことはないんだろう。と私を一つも見ていないとそう思った時ぐりっと首をこちらに傾げて彼女…茜は言った。
「ねぇ、もう、たふなんかでいられやしないわ。聞いてよ少しだけ。
あんたが同じ人生歩まないようにね。」
私は、今黙ってかつて、明るくてヒーローみたいだった彼女の話を聞くしかできないようだ。
#私の友達。(茜)
空が青かった。しかし、
(あっつぃなぁ…あせでむれちゃうよほんと)
私は暑い廊下で、ぼぉっと、ただ、トロンボーンパートの先輩たちの熱心な勧誘を右から左へ流して首だけを縦に動かしそれだけを思ってした。
1「〜で!…の楽器なの!…先生はすごいキモいけど……だから!!」
同級生1「えぇ!そうなんですかぁ?がんばります!」
こんな調子で絢音が聞いてるから、多少聞いてなくてもバレないし、その隣のもう1人の子も何やら熱心に聞いている。
私は、適当に三人組を組まされた新一年生、同じクラスで最近一緒にいるようになった絢音とその絢音の友達と部活説明会にて各楽器のパートの部屋やら廊下やらを回っていた。
ちなみに、今日が勧誘の最後の日らしくとんでもなく力が入っている。 新入部員がもしかして少ないのかな?としか思えない様で、もうすでに書き終わって明日提出するための入部届を思い出して少しおかしくなってしまった。
1「あ、もう4時半!!あずこの声がするしこれで終わりかな?じゃあ今日は、ありがとね!!みんな!!ぜひ来てね!!」
2「ありがとう!またね!」
3「よかったら入ってね!!!!!」
先輩たちが印象づけようとしているのか知らないがとにかくとんでもなく近いところに顔を寄せてそう言った。そして迅速な感じで、そっと帰る方向へ手をやった。
あぁ、やっと汗ばんできた椅子から立ち上がれる。ここは暑がりにはとんでもないところだ。
「ありがとうござました。」
とりあえずお礼をいって頭を下げながら私は隣の子にそっと目配せした。
「あ、ありがとうございました!!失礼します」
少し恥ずかしそうに
「失礼しますー」
はっきりといって、そして何事もなく終わった。
終わると先輩は先輩で、色々あるんだろう。
私たちの方なんて見ずにさっさと練習に戻り始める。
私たちもすっと、さっき履いてた風みたいに何も気にせずリュックを置いた家庭科室の扉の前あたりまでいく。
「なんか、すごかったねぇ。明日一緒に担任に出しに行こうねぇ〜」
同じクラスの絢音が駆け寄って言った。
「ほんと、なんか、意気込みを感じたね。うん、明日ね、朝?」
「そーだね、朝、ホームルームが終わったらにしようか〜そうだ、原崎さんは?ここに決めたの〜?」
1「うん、先輩も優しそうだし、ここにするかなぁ。」
この子、原崎さんっていうんだ。初知り。
リュックを手に取りながら、新しい情報を忘れないように頭に入れた。
「そっかぁ、じゃあ明日からよろしくねぇ。
じゃあ帰ろっか茜ちゃん」
「うん。あ、原崎さんもじゃあ」
今日一言くらいしか話さなかったが、とりあえず気まずいので挨拶はしておく。
「うん!じゃあねー!」
思ってたより元気に、彼女は他の友達のところへ、走って行った。違うクラスだから知らないが、他の、小学校から仲良かった子のところへ行ったんだろ。
「明日から大変だ、頑張ろうねあかねちゃん」
「そーだね、頑張ってこ」
それから、私たちは吹奏楽部に入った。届を出してから。
コンクールの手伝いやら体育祭の手伝いやら、夏祭りの手伝いやらデビューの曲練やら忙しかった。
新一年生とは、挨拶や自己紹介をして、同じパートの人とも話すようになった。
なぜだか彼女とははいとかうんとかおはよう以外のことを9月くらいまで話すことはなかった。
ひーろー @azby
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