第6話

 ころ、ころ。


 かすかな音がして、足元に消しゴムが転がってくる。


 間違いない。


 これは、彼女の消しゴムだ。


 自然な様子で、机の下に屈み――。


「テスト中は、不審ふしんな動きをしないこと」


 先生は、名簿めいぼに何かを書き込むと、消しゴムを拾って、手をげている彼女の机に置く。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る