怪盗

@simizudayo

怪盗

警察官「警部、警備の配置が完了しました」

警部 「ご苦労。予告状に書いてある時間まではまだ余裕があるが

    気は抜くなと伝えてくれ」

警察官「わかりました。しかし本当に現れますかね。

    警備は三十人以上、最新の人感センサーと赤外線センサーが無数に

    張り巡らされているというのに……」

警部 「そうだ。だがあの怪盗は不可能と思えるような状況で盗みを

    成功させてきた。油断はできない。それにな、何か腑に落ちないんだ」

警察官「というと?」

警部 「長年の勘ってやつだ。何か…忘れている気がするんだ。

    前にもこういう感覚になったんだ。悪いジンクスだよ。

    あの怪盗はいつだって意表を突いてくるからな」

警察官「警部……」

警部 「何かを見落としている。くそっ、あの怪盗ならこんな時どうする?」

警察官「警部……」

警部 「そうかセンサーだ!

人感センサーと赤外線センサーのスイッチ入れ忘れた気がする!」

警察官「…そんな家のこたつみたいなことってあります?」

警部 「前にも同じ方法で盗まれた。やられた。急いで警備室に向かわないと」

●警部を警察官が取り押さえる

警察官「動くな怪盗!警部がそんなミスをするわけないだろ!警部に変装して

    そのまま中に侵入するつもりだったんだろ」

警部 「すまん!気持ちは分かるが、受け入れてほしい。

    君の、上司は、割と、ポンコツなんだ!」

警察官「嘘だ。警部……」

●ガラスが割れる音が響く

●警察官、インカムで連絡をとる

警察官「どうした!何事だ!

    ……予告の時間まで余裕があるからキャッチボールしてた⁉馬鹿野郎!」

警部 「申し訳ない。私がミットとボールを貸した」

警察官「警部――!」

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