タックドラスの憂鬱3

「師匠、浮いてますね、練習積んでたんですか?」


「まあな、練習あるのみだからな。」ドラス


「森の中で、練習しましょう。」俺はドアを開けてAゾーンあたりにつないだ。


Aゾーンに出るとさっそく俺も飛行訓練。この魔法フライと名付けた。


浮く高さ、移動スピード、バランス、体勢のコントロール、宙返り、


飛びながらの魔法攻撃などなど。


自由自在に飛べるようになるまで何時間も飛び続ける。


着地、離陸も何度も行う。


兎に角、しつこく何度も何度も繰り返す。


上空から魔物を攻撃して狩ったりしながら、魔物を掴んで飛んでみたり、


いろんなことを試し遊ぶ。まさに飛んで遊んでいるようだ。


ドラス師匠も上機嫌、2人は自在に飛行できるようになった。


「師匠、瓢箪から駒とはこのことですね。」俺


「瓢箪から駒?なんだそりゃ?」ドラス


転生前の諺だった、あはは


「いえ、なんでもないです。」俺


「飛んで家まで帰ろうか」ドラス


「そうしましょう。」俺


夜も遅くなっていたので人に見られる心配もあまりないだろう。


門の手前に着地して、歩きながら、話をしながらドラス師匠の家に向かう。


「ドラスさん、テスリーさんといつ飛ぶんですか?」俺


「まだ、日取りは決めてないんだがな、」ドラス


「また俺とエンビーも一緒に飛ぶ感じでしょうかね?」俺


「わからんが、そういう流れになる可能性は大だな。」ドラス


「そうですよね、俺もそう思います。」俺


「そん時は、よろしくな。」ドラス


「イエイエ、こちらこそですよ」俺


「うまくいってよかったよなあ、フライ」ドラス


「本当ですね、、しかもかなり使えそうな魔法ですよね。」俺


「使えるぞこの魔法。飛んでる敵を相手にするには必要不可欠になるだろうな。」


「そうですよね」俺


「どうだ、今度果ての山脈にワイバーンを狩りに行かないか、」ドラス


「良いですね、ご一緒したいです。」俺


「よし決まりだな、今度は果ての山脈だ。」ドラス


ドラスの家の前まで来てしまったのでここでお別れ、


家にはいるドラスは何故か大きな溜息をついていた。


さっきまであんなに楽しそうにしていたのに?と不思議に感じながら、


俺はドアを開けてシェアハウスに帰った。


自分の部屋でエンビーのことを思う。


なぜか今日俺のことを避けているように感じた、元気がないようにも。


明日になったらもっとエンビーとはなしをしよう。


そして、空中デートに誘うんだ。




朝練で素振りをしていると、エンビーが部屋から出てきた。


「おはようエンビー」俺はふてりよりも早く声を掛ける。


「おはよう」アポンとアゴン


「おはよう」エンビー


エンビーはまた行ってしまった。


エンビー、、まだ元気ないのかな?


朝練を終えて、俺はエンビーに話しかけた。


「一緒にご飯食べようよ。」


エンビーはコクリと頷いてついてきた。


妙に大人しいし、よそよそしい。


食堂でアゴンとアポンも同じ席に集まった。


「今日はどうする?」アゴン


「またSゾーンで狩りする?」アポン


「強くならねーとな、ノモマのダンジョンのもっと先まで行きてーからな。」アゴン


「そういえば、そうだよね、行きたいよね、あの先に」アポン


「それにな、今の俺たちって、アグルに頼りっぱなしになってるだろう。


相手が強くなるとさ、ちっとはアグルを助けられるようになりてーよな。」アゴン


「そうだね」アポン


「私も強くなりたいわ」エンビー


思い出したようにエンビーが言った。


「あの先に行ってみるかい?


俺は援護に徹するから3人で闘って訓練しながら進んでみようか。」俺


「あの蜘蛛は強いぞ!」アゴン


「やってやるさ!」アポン


エンビーも頷く。




ダンジョンの第31階層


ドアを使って移動してきた。全員にシールドを三重にかける。


前方に蜘蛛の巣を発見、アポンが炎の魔剣で焼き払う。


天井にへばりついて隠れているイエロースパイダーに、


エンビーがアイシクルランスの連弾で攻撃、


スパイダーは床に落ちてきた。


不気味に光る8つの眼、怒っているのか?


すかさずアポンとアゴンが斬りつける。


右からアポンの炎、左からアゴンの氷、正面からアイシクルランス。


スパイダーはエンビーに蜘蛛の糸を吐きつける。


エンビーに届く前に俺がファイヤーで焼き払う。


今度はサンダーがアゴンに落ちる。


魔法攻撃反射の魔盾の効果が発動しカミナリはスパイダーに返された。


攻撃と防御を繰り返し、


エンビーのアイシクルランスでとどめを刺され魔石に変わるスパイダー。


俺はヒールでみんなを回復する。


エンビーは魔力の消費が激しく魔力回復薬を飲む。


アポン、アゴンも魔剣によってだいぶ魔力を消費しているようだ。


「次は俺が倒しても良いかな?」俺


「頼む」アゴン


「了解」アポン


索敵では少し進むと1匹いるようだ。


巣を発見、ファイヤーで燃やす。


また天井にへばりついているのでファイヤーをかけると落ちてきた。


賢者の杖剣で切ってみる。


超音波振動で切れ味を増しているこの剣は、大概の物がスパッと切れる。


スパイダーを切り刻んでなんだ、楽勝だった。


魔力を込めればこめるほど切れ味を増すこの剣は最高だな。


もう少し刀身が長ければもっと使いやすいのにな、、と思って見ていると


光ながら形を変えていく。


賢者の杖がレベル3にアップしたのだった。


賢者の杖 レベル3 持ち主と共に成長する。

          魔力を3倍に増幅し、消費魔力を1/3にする。


賢者の杖は俺好みに成長するようだ。


次のスパイダーも続けて俺が倒す。


3人が充分休めたようなので、4匹目は任せた。


アポンが炎で巣を焼き払う。


エンビーがアイシクルランスでスパイダーを天井から落とす。


全員で攻撃。


また、このパターンになった。乱戦の様相。


防御魔法のおかげで大きなダメージは食らいにくいが、


ダメージを受けていないわけではない。


スパイダーもかなり硬いが、最後には倒せたようだ。


相手のダメージの方が蓄積が早かったということ。


一つ間違うとこちらもきつい。


まあ、こちらには回復魔法もあるから即死でなければ大丈夫だが。


みんなに回復魔法をかけながら、魔力回復薬を飲ませる。


これがお腹にきついんだよな、エンビーは特にだろう。


魔石から吸収できれば楽になるんだけどなー。


俺もそれまではお腹タプタプだったよな〜。


そんなことを思い出す。


「次は俺の出番だね」俺


続け様に3匹俺が狩る。


魔力を込めた超振動の剣で切って。


この調子で交代しながら先に進み、エンビーたちは10匹を狩ったところで


エンビーのもうお腹が無理というギブアップが入ってシェアハウスに戻ることにした。

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