32 Fランク 冒険者 2

ギルドのそばには、店や、宿屋冒険者が利用しそうな施設が並んでいる。

少し離れて、商業ギルドがあった。

ここにヒッコルトさんたちは物を卸していくんだな…と思った。


「チョット、入ってみたいね」とアポン。


「どんなところかな?」アゴンもアポンとおなじきもちのようだ。


商業ギルドに入って行くと「いらっしゃいませ。どのようなご用件ですか?」と声をかかられた。


見れば、白い頭巾と、白いエプロンを身につけた美人がほほえんでいた。

目の色は、青く、頭巾からのぞいた髪の色は茶色がかった金髪で、

背の高さは、160くらいか、ほっそりとした体型をしている。


「ボボボ、ボクたちは、エト、あの……」言い淀むアポン。


アゴンが俺をみる。俺もアゴンを見返した。


「登録かしら?それとも冒険者さん?」


「ボボボ、冒険者、冒険者」


「あら、可愛い冒険者さんたちね。今日は素材を卸しにきてくれたの?」


ここは人見知りのアゴンも、一目惚れで緊張しているアポンも頼りにならない。


ここは俺が2人に代わってはなすしかない。

「あの、街に出るのは初めてで、商業ギルドはどんな物なのか見にきました。ここでも素材を買い取ってもらえるんですね?」


「そうよ。でも解体とかは、やってないから、解体がすんでる物なら買取ります。解体の上手い下手とかで値段に違いが出るから、上手に解体できるようになったら来ると良いわよ」


綺麗なお姉さんは丁寧に教えてくれる。


「わかりました。ありがとうございます。ちなみに買取り価格はどうなってますか」


「基本的には、冒険者ギルドと揃えているの。ギルド間の約束で、

だから、冒険者さんが直接卸してくれるとありがたいのよ。みんな冒険者ギルドに卸すでしょ、同じ価格なら」


「そうでしょうね。買うことはできるんですか?」


「ここは卸しだけなのよ。登録した人にだけ卸してるのよ。まとまった数でね」


「そうですか、では、魔獣の素材を卸したりするときに、お世話になるかもしれません、その時はよろしくお願いします」


俺たちは商業ギルドをあとにする。


アゴンが俺に「アレだぞ」と言ってきた。


ポッとしているアポンをみながら、「アレだな」とかえした。


そのあと、肉屋、服屋、鍛治屋、道具屋など見て回った。


鍛治屋では、お約束の頑固なオヤジが出てくるかと思ったが、そんなこともなく、武器の修理とか格安でしてくれるという。


肉屋でも、肉の買取をやや高めの値段でやってくれるとか、お役立ち情報を仕入れられた。


その晩リザトルに魔獣についてもう一度詳しく聞いた。


「まず、スピーディーポッポだが、こいつに矢を当てるのはむずかしいからかかわるな。ピカケンケンも高速ズキは受けたくない技だからパス。


ホワイトガーコは、混乱させられてボコボコにされかねん。


黒コッコは3対1でなんとかできるだろう。鳥系はこいつ以外は、狙うな。

マンダリンスネープの毒を見たら迷わずすぐ逃げろ、こいつも狙うな。


レッドスネープは炎、イエロースネープは、電気で怪我をさせられるから触るな、スネープ系はビックアイスネープ一択だ。

1人ホールドで、動けなくされても他の2人が殺せば良い。首をはねろ。


みみなが系は3種とも狙えるんじゃないか。


いずれも最初の一撃で倒せないと手はかかることになる。楽したければ外すな」


「わかったぜ」


「3人がかりならほぼ負けないだろうが、できれば怪我で休日を取るのは嫌だろう。無理せず安全第一だぞ」


「ハイ!」


「ところで、明日は荷物持ちやってくれな。明後日は狩でいいから」


「わかったぜ」

「うん」



次の日は荷物持ちをこなし、狩りの時間がやってきた。


「狩じゃ」「狩りだね」「うん」


「魔力草回復草、魔獣は、みみなが系と、黒ポッポ、ビックアイスネープが狙いだからな!」


「うん」


「獣は食べる分だけね」


「行こうぜい」俺たちは2度目の狩りに出かけた。


魔力草回復草を採取しながら、狙い以外はスルーして、とうとう狙いの魔獣と遭遇した。リトルみみながだった。


俺はいつもと同じように、手で合図を送りそっと弓を構えて狙い打つ。

矢は命中してリトルみみながは倒れた。


「よし」俺は小さく呟きながら回収に向かう。


魔獣といえども矢の一撃で絶命する。


一撃で倒せず魔力を使われたら面倒だが、小さな魔獣は、耐久力的には、ただの獣と変わらない。外さなければいいのだ。


索敵し探索しながら魔力草を見つけて取りに行く。


あくまでも、魔力草回復草採集がメインで、魔獣狩りは、次善のターゲットだ。


次に見つけたターゲットは、ビックアイスネープ。

目と目があったら、ホールドされて動けなくなる。


目と目を合わせないようにしていれば、ホールドにかかることもなく、剣で首をはねる。楽勝だった。


次は一角みみながを、矢でしとめる。

黒コッコを矢で仕留め、また一角みみながを仕留めた。


そして魔獣を解体して焼いて食べた。

素材にした方が荷物が軽くなるから肉は自分の腹の中にしまった方が良い。


魔石5、角2、皮3をリュックにしまった。魔力草は17、回復草は6見つけている。


食事の後は、また索敵探索を繰り返し、探索範囲は前回より広がってゆく。

一角みみなが、ビックアイスネープにホールドされながらも倒し、黒コッコを倒した。


苦戦したのは次に遭遇したジャンボみみながだった。

少し大きめのこの魔獣は、体長1mは有る。


ジャンボみみながは、アグルのはなった矢1発では絶命しなかった。


1発めの矢を受けたそいつは、矢を受けると共に身体強化を発動、すかさず放たれたアゴンとアポンの2の矢、3の矢を受けたが、身体強化のせいでささりが浅く、こちらに走り寄ってきた。


突進攻撃だ。


俺たちは、素早く荷を下ろすと盾をとり剣を構えた。


ジャンボみみながは俺にっ込んでくる。


左脚を横に踏み出してみみながの突進攻撃をスレスレでかわしざまに剣で切りつける。


致命傷ではない!浅い。


みみながが止まって向きを変えようとしたその刹那、俺の右にいたアゴンの渾身のツキがみみながの胸に深々と突き刺さった。


みみながは絶命した。


俺の背中に冷たい汗が流れていた。そしてホッと大きく息をした。


「フン、しぶといじゃねえか、ジャンボみみなが」


「大きいから、結構重いかもね」


「高く売れねーと、効率悪いぜ」


「うん」


「肉は取れそうだけど、魔石大きいのかな?」


「体の大きさと魔石の大きさは、関係ねーてよ」


「それは知ってるけど、なんか期待しちゃってさ」


「うん」


俺達はその後一角みみながと黒コッコ、リトルみみながを1匹ずつ狩ってギルドに戻った。


買取り所に今日の成果を買い取ってもらう。


「やるわね、君たち、こんなに1日でよくみつけたわ。誰か、探索とか索敵とかできるの?」


「こいつが両方できるんだぜ」


「うん、アグルはどっちもできるよ」


「だからこんなにたくさん獲れたのね!普通は、探すだけで一苦労だもの。こんなに遭遇できないわよ」


「まあ、俺の従兄弟だからな!」


「うん」


「チョット、待っててね、査定してくるから」モルネットは中に入っていった。


少し待っていると彼女が戻ってきて「ハイ、大金よ」と金を渡してくれて内訳を教えてくれた。


   魔石  2000 *12

   皮   100 *8

   肉   200 *8  

   角   700 *4

   魔力草 300 *38

   回復草 300 *14

 合計      44800


 1人あたり15000弱………


「「「いいね」」」3人の声がかさなった。

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