第6話 冒険 6

冒険 6


祭りの後の静けさ・・・とでも言うのか。

精一杯はしゃいで、遊んで・・・何か、物悲しい。5人はそれぞれに思いに耽っていた。


テリウスとジェミーは、思った。もう旅も終盤ではないだろうか。

油断は無いか。装備は揃っているか。


チコリは思った。マジョリは今まで沢山傷付いてきただろう。もう幸せになっても良いじゃん。


マジェリは思った。過去は振り返らず、今の仲間達の役に立ちたい。

こんな自分を救ってくれた仲間だ。心から大切にしたい。


キサラは思った。・・・・



   ***


「気のせいかもしれないけど・・・俺、レベルが上がるのが早い気がする。キサラとの旅が楽しいからかな?」テリウスが唐突に口を開いた。


「それっ!私も思っていました。気のせいじゃ無く明らかに早いです。」マジェリが答える。


「ごめん・・・オイラのせいだ。」


「??何でキサラのせい?それに何で謝るの?」


「オイラの特殊能力なんだ・・・パーティにも影響するなんて。」


「例えレベルが上がるのがリーダーのせいだとして・・・良い事じゃん。」


「良い事だけじゃない。対策を考えておくよ。」


「キサラ、あんまり考え込むなよ。あんたらしくいてくれ。」


「有り難うストイック。」


「こらっ!ジェミー、キサラから離れろ。キサラ、俺だって何時もキサラの味方だから。」


「油断しないで、来たよ。」マジェリが叫んだ。


「何で別のパーティが襲って来るんだ?」チコリも臨戦態勢に入っている。


「キサラ、下がって。」ジェミーがキサラの前に立つ。


「相手の動きを止める。」キサラだけが冷静な声をしている。

「あわてん坊、捕獲して。」


「リーダー、捕獲OKで~す。」


「キサラ、こいつらどうする?」


「解放してあげて。」


「リーダー、デコピン入れてもいいですか?」


「手加減してやれよ。」


「やったー。お前らもう向かってくるなよ・・・えい!」


敵のパーティは逃げ出した。


「手応えの無い相手でしたね。レベル上げのつもりでしょうか?」


「マジェリ違うよ。敵が弱いんじゃない。俺らが、強くなってる。」


   ***


「みんな、座って。」


今日は野営をする事にした。森の中にテントを張り、チコリが食料の確保をした。

薪で火を熾して、その回りを皆で囲み食事を摂った。


食後もチコリは動物達にきいて木の実をとってきたりと、落ち着かない様子ではあったが

キサラの一言で集合した。


「デメリットを説明する・・・オイラもう少しでオールマスターになる。」


「えっ!?有り得ないでしょう?」


「オールマスターって何?」


「全ての職業、その上級職までレベルマックスに極めた人の事だよ。」


「でもそれ、伝説だろ?全ての職業を極めるには、早くても350年位かかるって。」


「特殊能力で、レベル上がるのが早いって言ったでしょ?」


「じゃぁもう少ししたら、オールマスターの本物を見れるって事?」


「オールマスターって、そんなに良いものじゃないよ。」


「まだなってないのに・・・何で分るの?」


「家系だよ。100年に1人オールマスターが出てる。」


「例えば、その人の人生が良くないものだったとして・・・それは、偶然かもしれないよ。」


「オールマスターになった人は、夢を無くし無気力になる。・・・練習も修行も必要ないからね。」


「怠け者になるって事?」


「半分はね。後の半分は悪に染まる。・・・諫めれる人も居ないから。」


「えーっ!!リーダー本当はメッチャ強いの?」


「まぁな。」


「う~~。カッコ悪ぃ。キサラを守るって思ってた。」


「うん。ストイックの優しさが、守ってくれていたよ。」


「本当!?俺もっと頑張る。」


「パーティからは、何時出て行っても良い。各々のレベルで判断してくれ。」


「俺はキサラのパーティから、出て行かない。死ぬまでキサラの世話を焼く。」


「それと、もう一つ秘密がある・・・」


「まただ、別のパーティが襲ってきた!!」




キサラはレベルが上がった。

敵のパーティを倒した・・・


旅は続く・・・只今のレベルMAX



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