パーティーのリーダーが愚痴をこぼす。愛されすぎて冒険が進みません。

七西 誠

第1話 冒険 1 

冒険 1 


程好い風が吹く、小川のせせらぎ。

川端の岩場で1人の男が、釣りをしている。彼の名はキサラ。

明るい金色で、ゆるふわの髪が風に揺れている。


彼の職業は、遊び人。今日登録を済ませたばかりだ。レベル上げは、したくない。

でも、1人は淋しいし・・・仲間を見つけて、ぶらり旅でもしたいな。

そんな呑気な事を考えながら、釣りをしていた。


「あ~、釣れないし。眠いから、お昼寝タイムにするか・・・パーティの事は起きてから考えるとして」

独り言を言いながら、1人テントに入って即に眠りについた。


   ***


2時間程のお昼寝を経て、少し陽が傾いてきたけれども

「やっぱ、釣りするか!」

鼻歌を唄いながら、釣り糸を垂らした。只単に、釣りが好きなだけなのだ。


少し時間が経った頃、後方から男がやって来た。

「釣れていますか?少し見ていても、良いですか?」


ありふれたココアブラウンの髪と目の色をした男が声を掛けてきた。


「全然良いよ。もう少しで、陽が暮れるけど・・・。君は釣りはしないの?」


「やりたいんだけど・・・回復魔法の修行もあるし。

 他にも色々とやらなくちゃ・・・でも、時間も取れないし・・・。」


何か、愚痴を言っている。人生相談をしているんじゃ、ないんだが・・・


「ふ~ん。君は、回復呪文系なんだ。職業は決まっているの?」


「うん。一応、白魔術師です。君は?」


「オイラは、今日転職したばかりなんだけど、遊び人のキサラ。宜しくね。」


(笑顔まぶしっ!!可愛い人だな。)と思いながら返事をする。

「俺は、世話焼きのテリウス。宜しく。え~と、キサラって呼んで良い?」


「うん、良いよ。じゃぁ、オイラもテリーって呼ぶね。テリーは、真面目そうだね。

 回復魔法の練習も、ちゃんとしているんだ。」


「真面目って訳ではないんだけど、練習をしないと何も出来ない人なのよ。

 人より不器用なんだよね。」


「ふ~ん。でも、イケメンだから良いじゃん。」


(えっ?!それって、どんな理屈?)などと思いながら聞く。


「オイラなんて、レベル上げが嫌だから・・・

 パーティ作れば良いんだけど。求人活動やってないんだ。」


「逆に・・・何でやってないの?」


「面倒臭いから・・・(笑)」


「じゃぁさ、じゃぁさ、俺をキサラのパーティに入れてくれない?」


「オイラは別に良いけど・・・」


「けど・・・何?」


「オイラのパーティに入っても、何も良い事なんて無いと思うよ。」


「全然良いよ~。折角、友達になったんだし~。」

(何より、キサラが可愛いし・・・)

「ねっ。良いでしょ?」


「テリーが良ければ、オイラは別に良いよ。」


「やった~。」


   ***


♫♪♫♪~テリウスが仲間に加わった。


   ***


「改めて宜しくね。」テリウスが右手を差し出した。


「こちらこそ。」その手をシッカリと握った。


「ねぇねぇ、モンスターとか倒す旅にでる?」


「嫌!!モンスターとか、ないな。ぶらり旅で、良いんじゃね?」


「でも何時の日か、魔王を倒さないとダメなんじゃない?」


「それも、他のパーティが何とかするんじゃね?」

随分とゆるいリーダである。


「パーティリーダーのキサラに全部従うよ。」


「有り難う。じゃぁぶらり旅、出発~。先ずは、温泉に行こう。」


(まだ何もやっていないのに、宿屋で休憩って事?)(笑)


「ついでに仲間を集めなきゃね。」


(仲間集め・・・ついでなんだ。そっちが先だと思うよ?)


「まぁ、のんびり歩いて行こう。道中に何か見つかるでしょ?」


(そんなもんなの?)


そうして旅が始った。



キサラのレベルが上がった。

昼寝・・・3up

釣り・・・5up

仲間・・・10up


旅は続く・・・只今のレベル 19



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