白いカーテンブルーン

エリー.ファー

白いカーテンブルーン

「また、文句ですか」

「別に文句なんか言ってません」

「いやいや、また文句を言っていましたよ」


「また、文句ですか」

「文句じゃないからっ、言葉デトックスだからっ」


「また、文句ですか」

「言ってないです」


「また、文句ですか」

「文句がある時は、半紙に毛筆で文句の内容を書きます」


「また、文句ですか」

「文句じゃないんですけどねぇ。そのぉ、なんていうか。一言、一言あるって感じかなぁ。うん」


「また、文句ですか」

「文句はあるよ。でもさぁ、言ったところで直せないよね」


「また、文句ですか」

「文句じゃないんだよ。なんていうのかな、その、こうすればよくなるよ的なアドバイスなんだよね」


「また、文句ですか」

「文句ねぇ。違うんだけどなぁ。伝わらないかぁ。うん、あのぉ、うん。伝わらないかなぁ、うん。難しいかぁ、君にはねぇ。うん。ちょっと難しいかもねぇ。うん、うんうん」


「また、文句ですか」

「文句じゃないよっ、うるさいなぁっ、違うって言ってるでしょうがっ。これは、文句じゃないっ、正当っ、絶対に正しい意見だからっ」


「また、文句ですか」

「いいえ、文句なんか一頃も言ってませんよ」


「また、文句ですか」

「そういうネガティブなワードは言わないし、聞かないようにしてるの」


「また、文句ですか」

「文句じゃないから、意見だから。いい、ちゃんと聞いてね。あなたのために言ってるんだからね」


「また、文句ですか」

「確かに文句ですが、また、ではありません。初めて言う内容です」


「また、文句ですか」

「えぇ、文句ですよ。でも、今度のはかなり重要です。あなたにとっても。私にとってもね」


「また、文句ですか」

「アドバイスだ。聞いた方がいいと思うがね」


「また、文句ですか」

「なんだと思う」

「だから文句なんでしょう」

「そう、当たり」

「無駄な会話でしたね」

「それが文句」


「また、文句ですか」

「どう解釈しても構わないがね」


「また、文句ですか」

「いや、君の家の二階だけど」

「はい」

「雨漏りしてるよ」


「また、文句ですか」

「えぇ、文句ですよ。ダメですか、文句を言っちゃいけないんですか。へぇ、あなたって随分と嫌なことを言うんですね。文句の一つも言っちゃいけないなんて、頭おかしいんじゃないですか」


「また、文句ですか」

「文句じゃなくて、注文なんですけど」


「また、文句ですか」

「文句の叫び、なんつって」


「また、文句ですか」

「文句じゃなくて、俳句じゃな」


「また、文句ですか」

「まぁ、状況が状況なので説明をしにきたんですが。その、御迷惑でしたか」


「また、文句ですか」

「何度でも言いますよ。これが、戦うということですからね」


「また、文句ですか」

「いいえ、文句を言いに来たのではありません。ただ、お茶でも飲まないかと誘いに来たのです」


「また、文句ですか」

「また、反発ですか」


「また、文句ですか」

「文句から生まれる平和もありますよ」


「また、文句ですか」

「文句は正解です。ただし、文句があるのは私ではなく、私のペットです。さあ、彼の話を聞いてあげて下さい。いや、待てよ。彼女だったかな」


「また、文句ですか」

「いや、ただお喋りをしに来ただけさ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

白いカーテンブルーン エリー.ファー @eri-far-

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ