(2)
頭の中をいくつもの疑問がぐるぐる巡るうちに、伯爵令嬢はすべての的を斬ってしまった。
うーん見事なおてまえ。あれは殺人鬼も手を出せないよ、返り討ち確定です本当にありがとうございました。
「狩人さんさ、『狩人は伯爵令嬢が殺されるのを憐れんで、殺すのをやめる』ってさっき言ってたけど、本当はツヨツヨ伯爵令嬢に怖気づいたんじゃないの?」
「そんなことないさ、伯爵令嬢は意外と清楚で儚いに違いないよ、内面は」
「ふ~ん、じゃあ、あの人にちょっかいかけてきてよ。これは悪役令嬢命令です! なーんて……」
わたしが冗談めかしてそう言うと、狩人は意外にも「まったく人使いの荒いお嬢さんだ」とボヤキつつ伯爵令嬢に向って行った。度胸が据わっているんだ、すごい!
「よう伯爵令嬢さん、ちょっといいかい?」
「あん? なんだてめえ」
「あそこに隠れている悪役令嬢が、お前さんにちょっかいかけてこいって言ってました」
「コラー! 早々に裏切るなー!」
早い! 裏切るのが早い! 急いで狩人の元へ走る。
「お嬢さん、世の中こういうもんさ。刃物を持った相手に挑めるわけがないだろう」
いっそ清々しいなあ。そんなわたしたちの様子を見ていた伯爵令嬢は、刀を鞘に納めると、しげしげとわたしを見つめた。
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