第24話 野外授業3 いじめの域を越えてないか?

【野外授業3】


 しかし、そこへ雰囲気をぶち壊す輩が登場した。


「……よ、ようこそ、3階へ」


 出てきたのは、俺が叩きのめしたあの3人のいじめっ子だ。


「……か、か、借りができたからな、た、たっぷりお返ししてやるぜ」


「は?おまえらのような弱っちいのが何イキってるんだ?また泣きたいのか?」


「……お、お、俺たちもお、お友達がいてな。モルガンさん、頼んます」


「おまえら、本当に情けないな。こんなデブチビにやられるなんて」


「すんません。こいつ、意外と強くって」


「ま、そうは言っても所詮Eクラス。しかも、補欠合格なんだろ?恥ずかしい奴らだな」


「あんた、誰?」


「俺はD組のモルガンさ。まあ、お前は今から俺に叩きのめされるんだから、名乗っても仕方がないけどな」


「は?」


「俺のダンジョンレベルは15だ。学園1年生の中では最上位の部類だろ。今から俺の強さを見せてやるからな」


「なあ、おしゃべりくん。ダンジョンレベルがそれだけ高くて、なんでA組じゃなくてD組なんだ?頭が悪いのか?それとも、基礎体力がへなちょこなのか?」


 ダンジョンレベルは学園の合格基準には関係ないけどな。


「E組のおまえがそれを言うか!」


 突然、モルガンから凄まじい殺気が溢れてきた。

 これは威圧だ。


「ううう」


 横にいたエマとジャンヌは耐えきれなくて

 地面にうつ伏せになってしまった。

 気を失ったらしい。


「くそっ」


「ほう、俺の威圧に耐えるか。じゃあ、これならどうだ」


 さらに強まる奴の威圧。

 俺は威圧返しを行った。


「なんと!俺の威圧を跳ね返したのか?」


 俺はさらに威圧を強めた。

 俺の威圧はダンジョンレベル12。

 なおかつ強化されたもので、実質レベル20前後。

 奴のレベルは15というが、奴のほうが強いとは思えない。


 強さは基礎体力に依存するので、

 レベル20が15よりも強いとは限らない。

 ただ、奴はD組だ。基礎体力は似たようなものだろう。


「くそ、こいつ俺よりも威圧がつえーぞ」


 いじめっ子3人組はすでに撃沈して、体液をだだ漏れさせている。

 俺は一歩一歩近づきつつ、さらに威圧を強める。

 そして、拳を突き出しそこに威圧を乗っける。

 

「闘気拳!」


 威圧はさらに上位の闘気となり、モルガンに襲いかかる。


「グワっ」


 モルガンは吹き飛んで、洞窟の壁に叩きつけられた。


「ウググ」


 俺はすぐさま奴に飛びつき、蹴りを奴の上半身に叩きつけた。


「グギギ」


 それからはずっと俺のターンだ。

 ボロボロになるまで蹴りまくってやった。


「おい、やめろ」


 それでも、うずくまった男を蹴っていると、


「すんません」

「ゆ、許してください」

「もうや、辞めてください」


 ああ、この声が出たらもう少しだ。

 こういうときは徹底的な恐怖を叩き込むに限る。

 俺はさらに蹴りまくり、奴は気を失った。


 俺は横でゲロを吐きまくって気絶している3人組を叩き起こした。


「……?ああ、モルガンさんが!」


「おまえら、許されると思うなよ。あの世に行きな」


「ひぃぃ、許してください、モルガンに無理強いさせられたんですぅ」


 もうサッカーボールのように蹴りまくってやった。

 気絶しても、怒りにまかせて蹴ったぐらいだ。

 何箇所か、骨がボキボキになっているだろう。


 蹴りに遠慮がなくなっている。

 俺にとっておきの薬があるからだ。

 魔石回復薬の試作品。


 魔石回復薬を気絶している奴らにふりかける。

 すると、みるみるうちに傷が回復していく。


 おれは4人を叩き起こす。



「……?ああ、す、すんません、勘違いしてましたぁ」


 モルガンはいきなり土下座。


「あのさ、なんで俺を狙ってくるわけ?どんな意味があるっての?」


「い、いや、それは……」


「ほお。しゃべらんと。じゃあ」

 

 俺は更に蹴りを入れようとした。


「いやいや!ちょっとまってください!上から言われているんです!」


「上って誰だよ」


「す、すんません、それはわからんのです」


「ボガ!」


「蹴らないでください!本当なんです!俺たちはトカゲの尻尾なんです!」


 え?こいつ、嘘をついているように見えない。

 じゃあ、誰が俺を叩こうとしてるんだ?


「3人組もお前の仲間っていうことだな?」


「3人組を使ってE組をコントロールするつもりでしたぁ!すんません!」


 なんだ、それ。

 ここ、アカデミーだよな?

 王国の最上位に優秀な学生の集まる学びやだよな?

 やけに頭の悪い展開になってるぞ。


「まあ、いいか。これ以上やると本当に殺人になるからな。おまえの上とかに言っておきな。直接こいってな」


「はいぃぃぃ」



 4人はあっという間にどこかへ言ってしまった。

 俺は地面に伏せているエマとジャンヌに回復薬を少しふりかけ、

 気絶から覚まさせた。


「あ……!どうなったの、あの人だれ?」


「なんか、勘違いしてたようだ。話し合ったら謝ってくれたよ」


「?」


「たださ、俺だけの問題じゃないみたいだな」


「どういうこと?」


「アカデミーは案外頭の悪い学園だってことさ」


 俺は軽く体の埃を払い落とし、


「とにかく、授業を続行しようか」


 なんだか、気が沈んでしまった。

 エマとジャンヌの表情も暗い。


 俺は今後どうしようか考えつつ、

 適当に狩りを続け、

 だいたいの時間になったら入り口に戻った。


 本日のは別に順位を決めるもんじゃないからな。

 そこそこの成果があれば問題ない。



 それにしてもだ。

 いじめっ子三人組の奴らはヒートアップした結果だと言っても、

 マット殺人事件になりかけた。

 モルガンは明らかに俺をボコボコにする意図があった。

 傷害罪だ。

 俺の心を折ろうとしているのだろうが、いじめの範疇を越えてないか?

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