骨骨(コツコツ)から始まる支援者(サポーター)ライフ
ヒーズ
第1話
スライムが最弱でなければ、一体何者が最弱なのか・・・答えは一つ、骸骨人(スケルトン)だ!それも人型のものである。
なぜこんなことを話すかって?無論、それは骸骨人(スケルトン)に転生して
しまったからであ~る!
これは天罰か何かか、そう思ったが諦めて生きる?死ぬ?ことにした。
(骸骨人(スケルトン)だから、表現がややこしい?)
俺が転生したのは、魔物の国の辺境 死霊沼 と言われる、人間はおろか魔物でさえ中々寄り付かない魔帝国屈指の危険地帯であった。
まあ、骸骨人(スケルトン)が生まれながら持っている『状態異常無効』スキルのお陰で、俺達には何の害もないんだけどな。
それに他にスキルを持って生まれくることが殆どないから、唯一のスキルと言っても過言じゃないんだよな。
どの魔物も基本的には一つだが、魔王や龍、魔人などの高位種族は基本的に
複数個持って生まれてくる。
それ以外の魔物も、種・固有以外のスキルを持って生まれてくることがあるのだが、それらの魔物は希少(レア)と言われ、部落どかだったら種族長になったりする。
なぜこんなことを話すかって?それは俺がその希少(レア)として生まれたからだ!
まあ、面倒事(ぞくちょう)に発展(なる)ことを避けたいから、誰にも話して
いないけど・・・。
それに、俺の持って生まれたスキルは恐らく・・・魔物からも人間からも危険視
される様なものだからな。
俺は極・希少(レア)種と言っても過言ではない、と思う(ちょっと自信ない)。
理由は、生まれた時点でスキルを3つ所持していたからなんだけどね。
魔王・龍級とは言わないけど、魔人級の魔物だけに可能なことが、最弱種である
俺の身に起こった。
このスキルは 魔王級 のスキルと言っていいと思う。
その一つが 『存在進化』 もう一つが 『開発家』 だ!
開発家は兎も角、この『存在進化』のスキルがかなりやばいスキルで・・・特に人間からは、魔王よりも危険視されるかもしれない。
と言うのも、この『存在進化』スキルはその名の通り魔物の存在を進化させる。
魔物が進化するのは当たり前のことだが・・・問題は、この『存在進化』スキルは 新種への進化 をも可能にしてしまうことにある。
つまり、俺が新たな魔物種の始祖になる可能性が出てくるわけだ。
それが、骸骨人(スケルトン)の様な弱小種ならば良いんだろうけど・・・魔人や龍、魔王に次ぐ強大な種に進化でもすれば、更に人間側が不利になってしまう?
かな。
魔王も魔王で、自分の立場を奪われる可能性があると考えるかもだし、最弱種に
転生した特典なのだとしたら、最もいらないかも。
とは言え、格(レベル)を上げないと進化も出来ないから、骸骨人(スケルトン)が存在進化スキルを持ってても無意味・・・とでも言うと思ったか!
ここで『開発家』である!!
開発家は・・・まあ、錬金術の様なものだ。
そこまで便利ではないが、強力な上、強化されたアイテムを手に入れることが
出来る。
それを使って戦う戦闘スタイルになる!かな?
・・・暫くは、この骸骨人(スケルトン)の集落(?)に滞在して格を上げることに
集中しようと思う。
最弱種族の俺が格上げ{レベリング}するには、魔物ではなく生き物を狩る
しかない。
飯を食えない分、無駄死にさせてしまうことになるが、そこは仕方ないと割り切るしかない。
ここから本格的に、俺の骨ライフが始まるのであった!
ここら辺で狩りをするにあたって、何かしら道具を作りたいのだが・・・ここら辺で採取できるものと言ったら、毒草やボロボロの板材くらい。
狩をするための道具を作る素材を集められない。
となると・・・魔法とかで攻撃手段を作る、と言いたいところだが、そう簡単に
魔法は使えないだろう。
人に聞こうにも、骸骨人(スケルトン)には声帯がないし、そもそも
骸骨人(スケルトン)の殆どは知能すらなく、族長やその周辺の骸骨人(スケルトン)が多少の知能を持っているぐらい。
魔法について聞くどころか、会話すらままならない。
幸い、俺は異世界人であり、強力なスキルを保有している!
前世のゲームや漫画の知識に頼って独学で魔法を研究するか、開発家スキルを使って、ここら辺りの猛毒草を採取してポーションを作成、それを持ってこの沼地から
離れる。
これら二択が多分、最善の策だと思う。
前者か後者かで言えば、俺は前者を行おうと思う!
俺の様な最弱種がわざわざ安息地から離れて、危険を冒(おか)す意味が
分からない。
それに、俺はこの世界に対する知識が不足しすぎている。
そんな状況で、通用するかも分からないスキルを使って、冒険をする必要はない!
だが、前者にも問題はある。
前世の知識では、リッチや役職持ちの強力な骸骨人(スケルトン)は存在した。
実際、某小説に登場する地下の大墳墓に住んでる強力な不死者(アンデッド)を俺は知っている。
不死者(アンデッド)・・・そう、この世界で不死者(アンデッド)と
骸骨人(スケルトン)がどの様に差別化されているか気になる。
骸骨人(スケルトン)が死霊術師(ネクロマンサー)になれるかどうか・・・。
そもそも、魔法構造は世界によって異なっている。
どの様な魔法形態なのか・・・やはりこの世界に対する知識量の不足が顕著だ。
少し魔法について研究して、魔法の行使が不可能だと分かれば、魔法の勉強を
諦めよう。
ここから、俺の魔法研究の日々が始まるのであった。
魔法は・・・思ったよりも複雑で、創造性が必要なものだった。
魔法の行使は、研究開始から一週間程度で可能だったけど、ここからの応用が
難しかった。
初級魔法の中で最も簡単な魔法ですら、創造性を必要とする。
例えば火魔法の初級魔法、火弾は 『発火』『維持』 で火の弾を作り上げ
『発射』 で
完成する。
『発火』や『発射』の様な『初期原型』と呼ぼうと思うモノを組み合わせて、魔法を完成させる。
他にも、それぞれの初期原型に込める魔力量の差で、微調整を行うことも出来る。
例えば、『維持』の初期原型に魔力を込めることで、燃焼時間を引き延ばすことが出来る。
更には、火弾を構成する初期原型を増やすことで、更に強力な火弾となる。
例:火の弾→『発火』『維持』『増幅』『温度上昇』
火弾を飛ばす→『発射』『飛距離増幅』『速度加速』『空気抵抗低下』
が恐らく火弾の最大術式、だと思う。
この術式はもう、火弾と言うレベルではないと思うけど。
まあ、この様な複雑な初期原型を組み込んだ魔法術式を組み上げるより、高度基本術式を組み込んだ中級や上級魔法を行使した方が効率が良い。
高度基本術式とは、初期原型を幾つか組み合わせた基本的な術式なことで、
幾つか種類があるんだけど、面倒なのでまとめて高度基本術式と呼んでいる。
簡単に言えば、魔法詠唱だ!
まあ異なる点もあるけど、大きくは変わらない・・・はず。
ここまでの説明も長かったし、魔法について細かく説明するのはまた今度に
しよう。
とまあ、この様に魔法の原理についての理解はできたが・・・問題は別にある。
魔力量が圧倒的に足りない。
骸骨人(スケルトン)は格と存在格が元々低い魔物、内在魔力が魔物の中でトップクラスに少ないようだ。
でも簡単な魔法程度なら使えるし・・・まあ、問題はない、と思いたい。
火弾等の魔法は使えないけど、初期原型単体なら扱うことが出来る。
そこで俺が最初に考案した作戦はこうだ!
1,『掘削』で熊でも落ちる程の大きな穴を作る(魔力切れで気絶)。
2,『変形』の魔法で岩を尖らせ、罠の底に置いた(魔力切れで気絶×2)。
3,罠の中に『開発家』のスキルで作った、超猛毒薬を塗っておく。
4,罠に獲物が掛かるまで待つ。
5,罠に掛かり弱った魔物に、『開発家』のスキルで作った槍でトドメを刺す。
以上が俺の作戦だ。
この作戦の効果は抜群で、格が順調に上がっていった。
格が上がるごとに、内在魔力が多くなり、罠の数も増やせるようになった!
あまり生物の住んでいない毒沼地帯だけそ、罠の数を増やせば獲れる生き物の数も増える。
更に、罠に掛かった生き物の死骸を放置しておけば、それらを捕食する生物も誘き寄せられる。
そうして最終的には、この毒沼地帯の最強魔獣である、死霊憑大熊を殺すことに
成功した!
ここまでに要した時間は・・・たしか9年!やっと脱骸骨人(だつスケルトン)に
成功した!
まあ、存在進化のスキルはまず、自らの種の最大存在進化を行うことが前提だから、
まだまだ新種になるには存在格が足りない。
これからも精進しなければな!
それはいいとして、今回の存在進化で俺は大きなモノを得られた・・・。
声だ。
声が出せる様になったのだ。
不死者(アンデッド)、つまりはゾンビへの進化に成功したことによって、骨以外の人間に必要な器官を手に入れることが出来た!
9年、9年と言う長い月日の努力が、やっと実を結んだのだ(切実)。
俺が喜んでいると、後ろから拍手が聞こえてきた。
俺は急いで後ろを振り返り、槍を構える。
・・・そこに立っていたのは、魔人だった。
「いやはや、貴方は非常に希少(レア)な骸骨人(スケルトン)のようだ」
黒いスーツを身に纏い、狐の仮面を付けている魔人からは・・・圧倒的なまでの
内在魔力を感じる。
格も、存在格も俺では到底及ばない相手、敵対するのは愚策だな。
俺は構えていた槍を下ろし、膝をついて無礼な行いを詫びることにした。
「魔人・・様・・・ご・・無礼・・・を、お許・・・し、くだ・・さい」
俺の声帯は出来たばかり。まだうまく言葉を発することが出来なかった。
しかし、謎の魔人はそんなことは気にせずに、と言うか半分無視するような形で、自らの話を進めた。
俺もこれ以上この魔人に話しかけても無意味だと思い、彼の話を聞くことにする。
彼の話曰く、強者(つわもの)を探している?らしい。
彼の生まれ持ってのスキル 『内在格感知眼』 を使って、魔王からそうする様に
命令されたそうだ。
内在格、それが一体何なのか分からないが・・・厄介な相手に目を付けられたことだけは分かる。
そして彼は最後に
「貴方は是非・・・いえ、絶対に魔王城にお招きしたい、来てくださいますね?」
と言い、肩を力強く握って来た。
まあ、何時かは人々の為に働こうと思っていた。
国家所属の立場の一つや二つ持っていても、損はしないだろうしな!
そもそも、俺に拒否する権利は元よりないようだし。
俺は軽く頷き、彼の意見を受け入れる意思を示す。
「そうですか、良かった」
そう言った彼は、地図と身分証?を俺に渡してきた。
どうやら、魔王城まで送ってくれないらしい。
理由は恐らく二つ。
一つは彼自身が言った、引き続き強者を探す、ことだ(まだ仕事が残ってる)。
二つ目は、恐らく・・・格を旅の中で少しでも上げさせること。
魔帝国には知恵ある魔物と知恵無き魔物の二種が混在している。
知恵ある魔物は群れを成し、国を作り上げているが、知恵無き魔物はただただ生物を襲うだけの害獣である。
同じ魔族という分類ではあるが、本質は全くの別物、故に殺しても問題ない。
はぁ、平和な世界だったら良かったのに。
それより、一つ大きな問題がある。
この骸骨人(スケルトン)の集落ともお別れ、族長辺りに挨拶とかした方が
いいのか・・・。
前世でもコミュ障だった俺が、一人で挨拶など到底出来ないぞ。
でも、そういう挨拶を行った方がいいことも分かっている。
難しいところだ。(結局黙って行ってしまった。)
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