第7話 奴隷商は胸糞なので許しません


 謁見が終わり、一度家の者に無事を伝えるため、飛行船に乗って皇都郊外にある領地に戻ってきた。

 他の領地よりも発展していないが自然が生い茂り、畜産が盛んな牧歌的な場所で俺はどちらかというと皇都のような都会よりこの領地の方が好きだ。


「ささっと歩け! ウスノロが!」


 小鳥のせせらぎを聴きながら、木々の間にできる陽だまりの中を歩いていくと、薄汚い男がボロを着た猫耳の少女を怒鳴りつけ、腕を振り上げていた。

 俺の大嫌いな胸糞の悪い光景だ。


「貴様」


「あん? なんだクソガキぃ文句あんのか! ぶん殴るぞ!」


「この領地では奴隷商人の出入りは禁じている」


「だからなんだ? この先に奴隷を必要としている領地があるのに、俺ら奴隷商を通せんぼするヴィラン伯爵家が悪いんだろうが!」


「知っていてやっていたというか」


「そうだよ。俺は頭がいいんだ」


「よくも俺の前で罪状を告白したな。俺はこの領地を取り仕切るヴィラン伯爵家のものだ。能無が! 死ね!」


「ぎゃああああああ!」


 いけしゃあしゃあと罪状を自白してきたので、苛立ちそのまま風魔法で吹き飛ばした。


『ナイスショットです、マスター。 着地地点に衛兵の詰め所があります』


『チッ! 衛兵の詰め所ということは着地地点は地面か。水魔法のクッションを用意してやるか』


「あの……」


 魔力で視力を強化して水魔法のクッションを詰め所前に作ると猫耳の少女が話しかけてきた。


「どうした?」


「あのどうしたらいいのかわからなくて」


「この領地では奴隷の存在は許されていない。だから今日からはお前は自由民だ、俺の顔に泥を塗りたくなければ好きにしろ」


「は、はい!」


 俺がそういうと返事はしたが、どうしたらいいのかわからず右往左往していた。


「ついてこい。客人として家に招いてやる。その時にここでの生き方をしっかりと覚えろ」



ーーー


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