第3話 マスター登録


『認証を行います。コードを入力してください』


「123456と、サイコロの目から着想を得たって言うけど、改めて見ても適当に作ったパスワードにしか見えないな」


 コードを操縦席に浮かび上がったコマンドキーで入力すると、認証されたようで、操縦席内の照明が点る。


『コード認証。個体名クリア・ヴィランをマスターとして登録。人造神鎧デウス・エクス・マキナ起動します』


 外の景色が操縦席から見えるようになり、背面ブースターの起動音が聞こえる。

 操縦可能になったことを悟り、操縦竿に手を伸ばそうと思うと、俺が思い描いた通りに動き始めた。


「オートで動けるのか」


『当該鎧はマスターの脳から検出される魔力波をそのまま動きに反映することできます』


 この世界でも聞いたことのない思考のみで鎧を動かすメカニズムを説明すると、ブースターを吹かして、穴から抜け、そのまま赤いスピアの隣に降り立つ。


『マスターの目標を私と同期するために脳に魔力スキャンをかけました。目標は最小限のを損耗を持ってしての皇国軍の勝利。最速での目標達成には私とマスターが別々に行動する必要があると演算結果が出ました。マスター、独立行動の許可を』


 独立行動ってことは、このワンパン鎧ーーデウス・エクス・マキナが自動で敵を殲滅してくれると言うことか。

 ゲーム時から操作アシスト機能搭載で回避時に回避コマンドを表示してくれる親切設計だったが、現実になればもはや自動で動くほどになるとは。

 予想の斜め上を行っている。


「許可する」


『独立行動を開始します』


 独立行動に移ったことを確認すると、デウス・エクス・マキナの搭乗席から出て、再度赤いスピアに搭乗する。


『鎧名スピア0981号機の魔導骨子を私がアシストできるように最適化します。最適化完了しました』


 鎧をスマホだとするのなら、魔導骨子はそれを司るシステムのようなものだ。

 今デウス・エクス・マキナーー略称デマキが干渉をかけたことで、操作をアシストしてくれるらしい。

 スピアは魔石を乗せた他の国の鎧と違い、装甲と機動制御に魔力は自らの魔力を調節して送らなければならないため、非常に助かる。

 正直魔法を展開しつつ、装甲と機動の二つの魔力調節をするのは頭が疲れるのだ。

 実際皇国兵の死因の大半は、この鎧の複雑すぎる操作によるものだと言われているほどだし。


「ほう、自分の写し身以外にも干渉できる上に、機動も程よくアシストできるとはこの世界のお前はこれほどか」


 早速スピアを動かしてみると、魔法の量を調節せずとも思った通りの出力で動き出した。

 調整でピッタリと決まっているようで、イメージと全くブレがない。


『イグザクトリー。私は完璧な存在です。マスター』


 自分で言うか、こいつ。

 ゲームでは事務的なやつだったが、この世界では割とお調子もののようだ。



ーーー


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