欲しがり義妹メアリー~~欲しがりの心とは?
山田 勝
第1話 婚約破棄&修道院に追放されたアリシア
「ウグ、グハ」
ガタン!バタン
「スザンナ、どうしたの?」
「義姉様、そんなに、私のことを嫌いですの・・・」
「大変だ!スザンナ様が、アリシア様が入れたお茶を飲んで倒れた!」
「医者を呼べ!」
・・・そんな。私はアリシア、従姉妹のスザンナにお茶会のマナーを教えていたら、急に泡を吹いて倒れたわ。
彼女は、お父様の兄の子、伯父様は、画家を志して、爵位をお父様に譲って、平民になったわ。
そして、伯父様が亡くなった後、スザンナを引き取ったの。
「アリシア様は、スザンナ様に触らないで下さい!」
「ええ、アリシア様がお嫌いな平民出身だからって」
・・・えっ、おかしい。使用人達の態度が、カーター様なら信じて下さいますよね。
私がお茶に毒を入れてないって、
「アリシア!見損なった!婚約破棄だ!君ってやつは」
「そんな。私は毒など入れておりません!」
☆数日後
「アリシアが、平民出身であるスザンナを嫌っていたと報告があったが・・・そこまでとは」
「信じて下さいませ。私は何もしておりません」
「・・・アリシアの部屋から毒の入ったビンが出て来た・・・お茶に入っていた毒と同じだ。シビレ薬だ。
分量を間違えると死に至る毒だ・・・」
「それは・・何かの間違いです。そう言えば、スザンナは私の部屋に頻繁に訪れていましたわ。もっと、お調べになって下さい」
「姉上、見苦しいですよ。もう、姉上とよびたくない!」
「「「私たち使用人一同も、お嬢様の性格の矯正が必要だと思います」」
「修道院に行け!貴族学園は退学だ!」
☆
・・・私はスザンナ、ようやく、うっとうしいアリシアを追い出した。この伯爵家には伯爵夫人はいない。
使用人達は平民出身者が多い。下町の話をして、アリシアにイジメられていると吹聴したわ。
効果出ているわね。
これから
義弟のデービットと結婚して伯爵家を継ぐもよし。アリシアの婚約者カーターを奪って結婚するもよし。
「スザンナ、すまない」
「いいえ。伯父様、私が至らないせいでアリシア様を怒らせました。私が悪いのです」
「しばらく、休みなさい。家庭教師達に休ますように言っておくから」
「はい、グスン、ショックで何も手が付きませんわ」
また、貴族学園に入学して、より高位の貴公子を狙おううも良し。
マナー、勉学は苦手だが。当主の推薦状があれば、入学出来ると、調査済みよ。
私は平民生活が長かったから、勉学やマナーが遅れている。アリシアが指導役でうるさく文句を言ってきたけど、
女は愛嬌、ニコニコ笑って、男を立てていればいいのよ。
と、その時は、思っていた。
☆数ヶ月後
嵐の日、私の誕生日の日に、
あいつが、やってきた。悪魔がやって来た。メアリーだ。
年齢12歳、ツインテールに、金髪碧眼で、悔しいけど可愛い。
「大変だ!この子が、道端でうずくまっていた。至急、医者を呼んでくれ!」
「はい、旦那様」
「誕生日会が中止!義姉上のお披露目会も兼ねているのに、行き倒れた平民の子のために?」
「まあ、デービット様、そのようなこと。私の誕生日会なんて、人の命に比べればなんてことありませんわ」
「さすが、慈愛の令嬢、スザンナ」
「平民を差別しないなんて、さすが義姉上」
そうよ。もっと、褒めなさい。
私は慈愛の令嬢スザンナよ。
「お嬢様・・これを」
「まあ、これは」
御者が、プレゼントを持って来た。潰れてビシャビシャだわ。
これが、これからの私の姿だとは思いもしなかったわ。
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