おまけ(夏の終わり~秋 編)
第52話 タピ活……? 新勇者ミスティお披露目!
「ハルトよ、遊びに来たのじゃよ」
「ハルト様こんにちは。お邪魔しますね」
今日も今日とて、俺の部屋にやってきた幼女魔王さまとミスティ。
しかしいつもと違って、新たに『勇者』になったミスティが、美しい金の意匠が入った白鞘に納められた『聖剣』を、左の腰に携えていた。
服もいつものメイド服ではなく、これまた美しい白銀の軽鎧を着込んでいる。
「よっ、2人とも。ミスティは聖剣が似合ってるな。ミスティは美人だから、凛々しい勇者スタイルはよく映えるよな」
「えへへ、ありがとうございます」
「鎧は新調したのか? いい出来だな。聖剣にもよくあってるし」
「ついさっき届いたので、すぐにハルト様にお見せしようと思って、王宮の中なんですけど、着てきちゃいました」
ミスティが少し恥ずかしそうにはにかみながら、くるりと回って見せた。
「ふふん、聞いて驚くでないぞ。この鎧はなんと、ミスリルで作られておるのじゃよ」
と、なぜか幼女魔王さまが自分のことのように得意げに説明を始める。
「ミスリルとはまた奮発したな」
ミスリルとは超希少なミスリル鉱石から作られた金属で、軽いのに硬く、さらに精霊術などへの特殊耐性まで兼ね備えた、現存する最強の金属だ。
あまりに硬いため、加工するには錬金術と呼ばれる特殊な技術が必要になる。
「実は、実家の方がそれはもう喜んでおりまして……」
「ミスティの実家アーレント家は、武門の名門じゃからの。そこから勇者が出たとなれば、一族総出で全力のサポートをするのも道理というものじゃろうて」
「武門の家系から勇者が出たら、そりゃそうなるよなぁ」
「近く勇者継承の大々的なお披露目イベントを行うと言っておいたじゃろう? これで準備は万端なのじゃ」
「主役の勇者ミスティが決まってないと、話にならないもんな」
ちなみに俺もそこで新生・勇者パーティのメンバーとして紹介されることになっていた。
ちなみについでに、聖剣は天使の加護によって普段はすごく軽くなっており、持ち運びには苦労しない。
(逆に勇者以外が手にすると、とてつもない重さと倦怠感を感じるのだ)
とまぁミスティwith聖剣なこと以外は、いつもとなんら変わらない様子だったんだけど、
「さてと、前置きはそれくらいにして。今日はタピ活をするのじゃよ」
そこで幼女魔王さまがなにやら変なことを言い出した。
「タピ……? なんだって……?」
俺は言っている意味が分からずに小首をかしげる。
「タピ活じゃよ。タピオカ活動の略なのじゃ」
「タピオカ……カツドウ……? なんだそれは? そもそもタピオカってのは、なんなんだ?」
俺は思わず首をかしげてしまう。
「おや? ハルトはタピオカドリンクを知らんのかえ? 最近ナウでヤングなガール達にバカウケな、スイーツっぽいドリンクなのじゃが。こうビッグウェーブ的な感じでムーブメントなのじゃよ」
幼女魔王さまが謎な外来語をふんだんに使った、とってもふんわりした説明をしてくれた。
「初めて聞いたな。でもそんなに流行っている飲み物なら。いっぺん飲んでみたいな」
なにせタピオカドリンクとやらは、最先端文化都市ゲーゲンパレスにおける最先端の流行なのだ。
ならばそれは『全世界における最先端』と言っても過言ではないだろう。
「ではちょうどいいんじゃないでしょうか、これを機に初めてのハルト様に初めてのタピ活を経験してもらいませんか?」
「いいのぅ。それではこれより、城下にてハルトと3人でタピ活としゃれこもうではないか。レッツ・ゴーなのじゃ」
「そう言うことならぜひ頼む。そのタピオカカツドウとやらに俺はとても興味がある!」
「うむうむ、面白い飲み物なのでハルトもきっと気に入るのじゃよ」
「あ、ということは」
「どうしたミスティ?」
「これは新生・勇者パーティの初めての任務ということですね?」
「うむ、心して初任務にかかるのじゃぞ勇者ミスティ」
「おまかせあれ」
ってなわけで。
俺は幼女魔王さまとミスティに案内してもらって城下へと出かけた。
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