第15話 初めてのお店と商品陳列。最初のターゲットは女性に決定!

「後はどんなモノが良いかな」

「先生。私試しに売りたいのがあるんですけど」

「ん?」

「シルクのパジャマ」

「ああ、試しに売ってみたらどうだ? 触り心地を触れる展示品も用意して」

「そうですね」

「そう言えばレベルが上がって何か選べるようになったのか?」



そう問い掛けると、今まで忘れていたかのような顔をしてハッとしていた為、どこか抜けてる所があるカナエに苦笑いが零れた。



「そうでした、私二つレベル上がって」

「二店舗選べるって事か?」

「そうですね」

「選べる店は……酒屋、宝石店、アウトドアグッズ店、化粧品店。この四つの中から二つか」

「そうなんですよ。酒屋は先生にと思って取ってるんですけど、宝石店にするか化粧品店にするか悩んでて」

「俺なら化粧品店だな」

「やっぱりそう思います?」

「女は見た目を兎に角気にするだろう?」

「まぁ、確かに」

「それに選んだことに寄ってネットスーパーの中身も充実してくる。最初は第三ビールしかなかったのが、今は普通のも売ってるからな」

「先生お酒好きなんですね」

「偶には飲むさ」

「じゃあ、お酒と化粧品選びますね」

「うむ!」



こうして二つを選び、更に店に置くものを考える。

店内は広かったが、甘い物、化粧品、酒となると……何か違う気がするのだ。

いや、それでいかもしれない。

シャンプー関連はボルドーナ商会との顔つなぎとして売りに出し、店では化粧品関連を扱うのは一つの手だ。

店の外観も可愛い物を選んだし、まずは女性が喜びそうな物から売ろう。



「第一号店は、女性有利の店にする」

「え、お酒売らないんですか?」

「まだ売らない。女性が喜びそうな店にして、財布を握る女性にこそお金を落として欲しい」

「なるほど」

「ただ、店の売り上げが俺だけのものになるのか、カナエにも入って来るのか不透明だが」

「両方に入るといいですね」

「気になるから調べてみよう」



【店舗】を鑑定して調べると、共同で店をしている場合、相手にも半分の売り上げがいく様になっているようだ。

つまり、最初の店舗は二人でやるし、半分ずつ経験値が入ると言う事だ。

その事をカナエに話すと、ホッと安堵の息を吐き「良かった~」と安心したようだ。



「と言う訳で、俺も売りたいものを考えて売るとしよう。貴族が集まる場所らしいから、甘いお菓子もいるな。小さいクッキーの詰め合わせとか」

「いいですね」

「茶葉コーナーにドリップ紅茶コーナーに、甘味用コーナー。後は展示品で時間になると音が鳴る掛け時計と、ちょっと小さな冷蔵庫を用意してもいいか?」

「小さな冷蔵庫ですか?」

「ああ、帰りに喉が渇いたお嬢様方が飲むストローを刺して飲むパックのジュースとかがあれば、それもまた甘味だろう?」

「確かに! コンビニでよく見たあのコーナーですね!」

「そうそう!」

「だとしたら、サクッとするお菓子とかも」

「置くしかないだろう!」

「移動中に食べるちょっとしたチョコレートも」

「無論だな!」

「これは革命ですよ!!」

「うむ! で、君の売るものは決まったのか?」

「あ、私のは詰め替え必須なのもあるので、もう決まってます」



こうして話をしているうちに子供達がバタバタと出て来て、「凄くスッキリした!!」「おふろすごかった!!」「綺麗になれました!」と興奮しているようだ。



「歯磨きも教えてやれたか?」

「はい。自分の色を覚えたので大丈夫と思います」

「そうか、なら子供達には早速詰め替え作業をして貰わねばならない。奥の作業場でして貰う事になるが大丈夫か?」

「あ、私も移動します」



こうして奥の作業場とした一室を開けると、テーブルがズラリと並んで長方形になっており、そこに一人ずつ背もたれのある椅子をネットスーパーで購入して配置する。

その間にカナエは詰め替え用の瓶を段ボールのまま台に置き、右が空の瓶、左が入れ替えて欲しい物を置いていく。

出来上がった商品は下の段ボールに入れて貰う事にしていて、段ボールの組み立ては一通り教えたが、不安がある場合は「此処での責任者」としてシュウに頼み、段ボールチェックをしてもらうことにした。

必要なガムテープは箱に入って床に置いてあり、そこから次々出す感じだ。

また、音が鳴る時計も設置して、時間が来たら鳥の声が聞こえる物を設置した。



「仕事をした分だけ、君たちには毎月賃金が支払われる。月末に賃金を渡すが、自分の仕事量がどれくらいか、各自分かるようにしておいてくれ。それとナノとシュウは先月の分も含めて出すので少し多くなる。後、シュウは現場責任者として気持ち給料を上げる。いいな?」

「ありがとうございます!」

「わぁ!!」

「あの! 奴隷の私たちも貰えるんですか!?」

「勿論だとも! 俺はそもそも君たちを奴隷とは思っていない!」

「「「!!」」」

「俺とカナエは今から店の準備をしてくるから、昼の15時、時計で言う3の所に来たら戻ってくる。そしたらオヤツ時間にしよう」

「「はい!!」」

「「「おやつじかん?」」」

「楽しみにしてるといい。では皆頑張って作業に励む様に! 喉が渇いたらリビングにいって牛乳を飲むのは自由だからな。シュウ、付き添ってやってくれ」

「はい!」



こうして後の事はシュウに任せ、俺とカナエは扉経由で店にやってきた。

マジックミラーになっているので、店の外は鏡になっているが、中からは好きなように見ることが出来る。

その間にサッサと終わらせるに限るな。

アイテムを置く台の設置等は俺の頭で設定出来るらしく、パパッとその辺りは何となくの気分で設置していく。

カナエは必要なマネキン等を用意し、シルクのパジャマを着せたりと忙しいようだ。

幾つかのアイテムを子供たちに頼んで詰め替えて貰っていたので、かなりの数を出す予定だろう。


俺も少しだけ斜めになっている棚に、茶葉とその名前を記載して貼っていく作業を続け、ついでに角砂糖と薔薇の模様のついた角砂糖も用意。

二弾目はお菓子コーナーだ。

瓶詰めの金平糖に、瓶詰めの飴。

移動中に食べる小袋クッキーにチョコレート各種。

袋菓子は一番下に並べて、俺の勘が正しければリピーターは必ず出るだろう。

棚自体はそれなりの大きさにしたので、後はちょっと奮発してコンビニにあるようなドリンク用の冷蔵棚を購入した。

金貨400枚は痛かったが、これは絶対に必要な物だった。

既に稼働しているのは魔素をつかっているからだろうか?

取り敢えずそこに、移動中に飲む珈琲やジュースを並べていく。

所謂『色々お買い物した後の一服先ですわ~』と言う感じで寄って貰おうと言う訳だ。

無論大人用に、冷やして飲む小ぶりのワインとチーズも置いてある。

全体的にお値段は高めの設定にしたが、絶対に売れる筈だ。

この世界には砂糖菓子は少ない筈。

それが高くてもこの値段で買えるなら絶対買うだろう。

ワインとチーズは微妙だが、売れれば良し!!



「俺の方の設置は終わったぞ」

「こっちは後少しです」

「手伝おう」

「ありがとう御座います!」



こうしてハンドクリーム各種と、そのサンプルなどを置きながら棚に陳列していく。

女性の物はよくわからないが、どれも試供品があるようで「一度使ってみてね」と言う事だろう。

鑑もある事からそれが伺える。

ただし、女性用の物はどれも驚くほどの値段がついていて俺が軽くビビった。



「そんなに高い値段にして大丈夫か?」

「大丈夫です、売れます」

「そ、そうか」

「女性の美への欲は凄いんです」

「そ、そうか」



女性の化粧品売り場のように口紅も並び、化粧落とし等も置かれている。

うん、女性の物は俺には分からん!

カナエの力を信じよう!!

そう思った頃、時計が昼の3時を知らせる音を鳴らし、俺達は一旦本拠地へと戻った。

さぁ、おやつタイムだ。

今日は何がでるだろうか。




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読んで下さり有難う御座います。

明日も朝8時からの一日三回更新となります。

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