第14話 新しい奴隷三姉弟と、商品の詰め替え作業に向けて。
欲しい人材は三人程。
手先が器用で仕事が早い人が望ましい。
雇うのなら女性が良いだろう。男性は雇うかは分からない。これは要相談だ。
奴隷市場は何処の国にもあるようで、その中でも最初にいた国、オスカール王国よりは綺麗だと思った。
「やはり獣人が多いな」
「そうね……」
戦争があるかも知れないと逃げて来たのに、行きついた先が奴隷というのはどうなんだろうな……。
そんな事を考えながらお互い鑑定を使いつついい人材がいないかチェックしていく。
だが、早々いい人材がいる筈がないのだ。
酒癖、盗み癖、セクハラ、パワハラ、DV等々、雇いたくないポイントが書かれている。
その時ふと目に入った3人のグループがいた。
「なぁ、カナエ」
「はい」
「あそこの三人」
女の子、男の子、女の子と幼い獣人の兄妹が蹲っていた。
【テリア 12歳・生活魔法5・料理スキル6・器用さ8】
【テリー 10歳・器用さ7・水魔法5・緑の手】
【テリアナ 8歳・器用さ4・水魔法4・緑の手】
鑑定で【緑の手】を調べてみると、作物や植物といったものが育てやすくなる珍しいレアスキルらしい。
まだ畑を手に入れる予定はないが……皆それぞれ器用さがある為、手に入れるのが一番だろう。
「すみません」
「はいよ」
「そこの三人の子供たちはどうしたんですか?」
「ああ、親が両方流行り病で死んでね。行く当てもなくここに売り出されたって訳だ」
「なるほど。この三人を買いたいのですが、幾らになりますか?」
「ん? 三人同時か?」
「ええ、姉弟の様ですし離れ離れは辛いだろうと」
「アンタ、良い人だねぇ……3人揃って金貨30枚だ」
「買います」
「奴隷の首輪にするかね?」
「いえ。一番小さい刻印でお願いします。見えない所に」
そう伝えると三人の子供たちは俺達を見て何かされると思っているのだろう、恐怖に震えつつ押し印を刻まれ、契約を交わされる。
これでまた、俺は子持ちになったのであった……。違うか。
「三人の主になったアツシと言う。君たちにやって欲しい仕事がある為雇ったが、衣食住には絶対困らせないと約束しよう」
「「「はい……」」」
「あと、先住に君たちと同じ獣人の子が二人いるが、喧嘩は出来るだけしないように」
「「「はい」」」
「俺は性格上余り命令はしない主義だ。だからお願いを聞いて欲しい時は聞いて欲しい」
「「「はい」」」
「では、皆で取り敢えず家に行こう。やる事が多くてな」
こうして三人を連れて俺達は家路へと付き、辿り着いた家を見て三人は口をポカーンと開けてビックリしていたが、中に入るよう促すと俺たちの真似をして靴を脱いで上がった。
「お帰りなさい!」
「先生もお姉ちゃんもおかえりなさーい」
「ただいま、二人共」
「ただいま」
「そちらのご兄弟たちは」
「新たに奴隷と言う形でうちに来た長女のテリア、長男のテリー、次女のテリアナだ」
「初めまして……」
「うっす……」
「ん……」
「初めまして、俺の名はシュウ。こっちは妹のナノです」
「先に獣人がいるって聞いてたけど、本当だったんだな」
「俺達はオスカール王国で明日処分されるところを先生とカナエさんに助けて貰ったんだ」
「って事は、元奴隷?」
「そうだよ」
「うん」
「でも、先生の所が居心地が良くて、ずっと一緒にいたいって泣いて我儘言ってしまったんだ。そしたら家族に入れて貰えた」
「そうだったの……」
「でも、俺も君たちと同じ仕事しかしない。後、奴隷だと思っていても先生たちは俺達を奴隷とは見ない事だけは覚えていた方がいい」
シュウの言葉に俺を見つめる三人。
俺はニカッと笑って「そうだな!」と口にした。
「さて、やる事は多いがまずは君たちの服装やお風呂からだな。テリアは12歳だから一人でお風呂に入れるか?」
「えっと、使い方が分かれば……」
「ナノ、教えて上げられるか?」
「うん、おしえる」
「じゃあテリーには俺が教えます」
「ああ、頼んだ。その間に服を用意するよ」
「お願いします」
こうして、テリーとテリアナに関しては、サイズ的にシュウとナノと変わらない事から、色違いの服を洗い替えも含めて購入し、問題のテリアには動きやすいこの世界にある程度馴染む服装を選んだ。
下着類は流石に男の子は選べても、女の子は分からないのでカナエに丸投げだが。
ついでにタオルや必要な物を購入し、ベッドメイキングも済ませるとこれで三人よく眠れるだろうとホッと安堵する。
新しい歯ブラシもタオルの色で色分けしているので分かりやすい。
子供用歯磨き粉は、まぁ、大人の俺とカナエは使わないのでアレだが。
「こうなると脱衣所が大きくなったのは良かったな」
「それぞれに歯ブラシとコップ、お揃いの色で出せますしね」
「蛇口も増えて使いやすいし、脱衣所はタオルを干す場所も多くあるからな」
「換気は絶対ですけど」
「その辺りどうなんだろうなこの家は」
「そうですね、前のログハウスでも換気余り気にしてなかったけど、タオル乾きやすかった気がします」
「地下室がある家もその内出るんだろうか」
「地下室!」
「ま、楽しみだな! その間に店に出す商品を大人買いしよう。金貨はたんまりある」
「そうですね!!」
リビングのソファーに座り、子供たちがお風呂に入っている間に諸々終わらせることになったのだが……やはり茶葉は欠かせないし甘いものも欠かせない!
貴族が多く通る道だと言う事だったし、キャンディーの瓶詰めに金平糖、角砂糖やお洒落な薔薇の模様のついた角砂糖もいいだろう。
茶葉もある程度起き揃えて、お試しで飲めるディーパッグは5本入りで袋に詰め直して貰おう。
「後はどんなモノが良いかな」
「先生。私試しに売りたいのがあるんですけど」
「ん?」
「シルクのパジャマ」
「ああ、試しに売ってみたらどうだ? 触り心地を触れる展示品も用意して」
「そうですね」
「そう言えばレベルが上がって何か選べるようになったのか?」
そう問い掛けると、今まで忘れていたかのような顔をしてハッとしていた為、どこか抜けてる所があるカナエに苦笑いが零れた。
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お越し下さり有難う御座います。
次の更新は夜8時です。
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