第3話 テンプレ通り、胡椒や砂糖は高かったです。

「運転席も中々いいな。長時間運転しても尻が痛くなり難そうだ」

「飲み物ホルダーもついてますし良いですね」

「問題は中だな」

「ドキドキしますね!」

「出来れば一軒家くらいのものになっているのを願いたい!!」

「そうですね!! お風呂は無理でもシャワー室は欲しいです! あとトイレ!」

「それは必須だな! では……開けるぞ!!」



ドキドキしながら俺と姫島はキャンピングカーの中に入るべくドアを開けると、そこは広々とした空間が待っていた。

思わず姫島と「「おおおお!!」」と感動してしまうくらいには凄かった。

中に入ってみると普通のキャンピングカーの見た目とは裏腹に、大きめのキッチンに炊飯器と中型冷蔵庫にオーブンレンジ。キッチン用品は大体揃っていた。

更に言えばケトルもある。これは嬉しい。

冷蔵庫は、冷凍庫、氷用、冷蔵庫と分かれているようで、氷は少なく成れば随時作られるらしい。

至れり尽くせりだな!!


リビング的なソファーに大きな机、それなりの人数でも座れるだけの広さがあり、ゴミ捨て場を開けると真っ暗で鑑定してみると【ゴミなら何でも燃料になる】と書いてあった為、姫島に伝えると喜んでいた。

更にウォシュレット付きのトイレに、二人は入れるシャワールーム付き!

トイレットペーパーは無くなったら新しいものが現れる仕様らしい!

床は広い為、寝袋か布団があれば数名は寝れるだろう。

二階付きで、そこはベッドルームのようで、とても広々としている。

大の大人が5人くらいは寝れるんじゃないか?

全てを見終わった俺達は、一階のリビングにて暫く口を閉じ……同時に。



「「これは凄い」」



と口にした。



「凄くないですかこのキャンピングカー!」

「凄いな!! 使い勝手最高じゃないか!?」

「これならここで生活できますよ! でも拠点は大きくしたいし……これより凄くなるんですかね?」

「多分な。ただ今は想像の域でしかない。取り敢えず商業ギルドで明日売れる物を持って行こう。ネットスーパーを見せてくれないか?」

「はい、じゃあソファーに座りつつで。あ、食事代は私が出しますので」

「助かる、軽く食事しながら明日の商品を探そう」



こうしてソファーに座り、姫島の隣でネットスーパーを見せて貰った。

確かに商品としては軽めのネットスーパーと言った感じで、これもレベルが上がっていくのか……。



「一般的な高い物って言うとなんでしょうね。異世界関係はサッパリで」

「そうだな、よく読んだりアニメになっているのだと、塩、砂糖、胡椒は鉄板だな」

「なるほど、その三つは鉄板なんですね」

「取り敢えず空の空き瓶が幾つか欲しいな。ラベルとかあると面倒だろ?」

「そうですね、そこも考えながら……先生は胡椒を、私は砂糖で行ってみます」

「分かった」

「瓶も透明のでいいですよね」

「そうだな、そっちの方がありがたい。詰め替え作業は大変だが」

「井上君たちの言葉でイライラしてるので私はまだ大丈夫です」

「ははは!」



こうして形の違う瓶を二つ用意し、俺は胡椒を小さめの瓶に入れ替えて行き、姫島は砂糖を違う瓶に入れ込んでいく作業を延々とする。

これが当たりなら大きなお金になるが……。



「この金貨は日本円にすると一万らしいな」

「これが化けてくれるといいんですけど」

「化けてくれる事を祈ろう。それにこの国からは早く出たい」

「そうですね……どうもきな臭い匂いがします」



そんな話をしながら食事も済ませ、詰め替えた物は鞄に入れ込み、ゴミ箱にゴミを入れて片付けも終わりホッと安堵したところで、姫島には二階のベッドを使って貰う事にした。

それに猛反発した姫島に、「あれだけ広いなら」と一緒に寝ることにしたが、その前に買わねばならない物がある。



「姫島」

「はい」

「ネットスーパーで身体を擦る奴とボディーソープ、あとシャンプー関係は買っておこう」

「後バスタオルにフェイスタオルに下着類や部屋着やパジャマですね」

「ああ、絶対必要だ」

「洗剤も買って良いですか?」

「ああ、そこは好きにしてくれ。俺の洗濯も頼んでしまう事になるだろうし……悪いな」

「大丈夫ですよ。運命共同体です!」

「ははは! 確かにな!」



こうしてネットスーパーでお互いが何時も使っていたシャンプーやボディーソープなどを買い、身体を擦るのもピンクと青で購入し、他のモノも色分け出来るモノは姫島はピンク、俺は青で購入した。

色分けしていた方が使いやすいからだ。

ドライヤーを購入してから、俺の分の下着や靴下、寝間着替わりのTシャツとハーフパンツを購入。姫島の分は・・・、じっくり検討中だ。生徒とはいえ年頃の女性のそれらの買い物を近くで見るのはよくないだろう。



「女性用の下着って高いんですよね……」

「ああ……らしいな」

「その分ドンドン稼ぎますからね!!」

「そうだな、稼ぎに稼いでレベルを上げていこう!」

「はい!!」



姫島の買い物はもう少しかかりそうなので、俺から先にシャワーを浴びた。次に姫島がシャワーを浴びに脱衣所に入った時にハッと気づいたようでネットスーパーを再び出すと、二つの可愛い柄がついた洗濯籠を置いた。



「先生、先生はライオンのマークの洗濯籠に洗濯物を。私はウサギに入れます」

「そ、そうか」

「後、この国にいる間は今の服装で良いと思うのですが、他の国に着いたら服装を変えましょう」

「と言うと?」

「私たちは商人です。ええ、商人と言う事にします。なので、商売をするには勝負服がいると思うんです」

「勝負服と言うとスーツだが」

「はい、私たちはスーツで行動します!」

「め、目立つのは、」

「商人は目立ってナンボです」

「そ、そうか」

「それと、私の事はカナエと呼んでください。先生は私の師匠と言う事で先生と呼びますが」

「むう、まぁそれも仕方ないか。カナエ、色々大変かもしれんが……よろしく頼む」

「はい!」



こうしてやっと眠りに就き、疲れもあってかそのままグッスリ眠ってしまった。

翌朝カナエに起こされて、あくびをしながら一つ困った事を思い出し、カナエにネットスーパーを開いて貰い、髭剃りを購入した。



「男性って朝は大変なんですね」

「俺は髭はそう濃くない方だが、商人なら身だしなみは大事だろう?」

「そうですね。先生が起きてくる前に必要な日用品を並べておいたので、髪を整えたりしてから行きましょう」

「そうだな。シッカリした生徒で頼もしいな!!」

「そう言ってくれると嬉しいです!」

「さて、まずは腹ごしらえをしてから商業ギルドに行って、その後奴隷市場だが……」

「鑑定しながら危険の少なそうな人を選びましょう」

「そうだな、鑑定様がいらっしゃったな!」



こうして朝食は簡単なパンと珈琲で済ませ、キャンピングカーから出ると「消えろ」と念じて消してもう一度街の中に入る。

まずは商業ギルドだが、中に入り「売りたいものが少しあるのですが」と伝えると、俺達は別室に通された。

そこで出した俺が詰め替えた【胡椒】と、姫島の詰め替えた【砂糖】を見て、職員は驚き商人ギルドマスターを呼んでくる羽目になった。

行き成りお偉いさんが来るなと思ったが、俺達は堂々としていればいい。

数はそう多くは詰め替えれなかったが、あるだけ高値で売り飛ばそう。

暫くして商業ギルドマスターが現れると、胡椒と砂糖を調べて「これは……」とお決まりの言葉を口にする。



「これは、どちらで?」

「秘密です。商人にとって情報は命ですから」

「それもそうですが……これほどのものは早々出回りませんぞ!」

「どうでしょう? 余り数は無いのですが全て買い取り……と言うのは出来ますでしょうか? 無論、砂糖と胡椒どちらもですが」

「買いましょう。これほどの物は二度と手に入らない代物です」

「では、一つ幾らで購入為さいますか?」

「胡椒を1つ金貨50枚、砂糖を1つ金貨30枚ではどうでしょうか?」



高!!!!



と、内心叫んだが、それは隣の姫島も一緒だろう。

だが表情を崩さずニコニコと笑顔でいるとそのまま値段はつり上がって行き――。



「胡椒1つ金貨90枚! 砂糖を1つ70枚!! これ以上は出せません!」

「分かりました。ではある分全てのお買い上げですね?」

「ではお納めくださいませ」



そう言うと俺が胡椒の瓶を50個、姫島が砂糖の瓶を50個並べ、俺は4500枚の金貨を。

姫島は3500枚の金貨を手に入れた。

途端耳元で――。


【拠点レベルが上がりました。始まりの掘立て小屋から、ログハウスに進化しました】


と聞こえた為、内心「おおおお」と声が出る。

隣の姫島も同じようで、俺の顔を見て呆然としていた為、頷くとハッとした表情で頷き返した。



「それでは、良い取引をありがとう御座いました」

「こちらこそ! またありましたら是非お越しください! 商人ランクを一つ上げておきます!」

「それは有難い。是非お願いします」



こうして俺と姫島は大金を手に入れ、鞄がずっしりと重いがその足で奴隷市場へと向かう。

この国は奴隷の販売が当たり前の様で、幾つもの奴隷市場があった。

心理的にはいい気持ちは一切しない。

だが、どうしても裏切らない相手と言うのは必要だったのだ。

すると――。





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一日三回更新です。

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