第81話 「にっこり」して生きる

 スピリチュアル的に、もっともよい気分の状態は「ワクワクする」ことです。

 元は海外のスピリチュアリストの本によって紹介された言葉です。

 元々は英語で「エキサイト」みたいですが、翻訳者さんによって、ちょうどよい日本語「ワクワクする」になったようです。なので、本来は興奮するという意味も含んでいるのではないかと思っています。

 この「ワクワクする」という言葉。字面では簡単に見えますが、実際の日常生活でそんな気分で生きていること、ありますか。ぼくはほとんど体験がないです。何かしらの大きなイベントごと、たとえば旅行に行くとか、長年欲しかったモノが手に入ったとか、そういうことでもあればワクワクするかもしれませんが、日常の中でそんな気分になることはほとんどなかったように記憶しています。

 無理にでもワクワクすることはできるかも知れませんが、無理をしているということは本心ではないわけですから、「引き寄せの法則」を利用するにしても、ワクワクしない体験を引き寄せることになります。とは言え、それほどワクワクしなくても、人生や生活に支障はないような気もしますけどね。

 ですから、日常生活の中で「ワクワクする」というのは、一般的に考えられるような派手なニュアンスではなく、もうすこし穏やかな感じではないかと考えます。

 たとえば、卵を割ったら双子だったとか、学校や会社に行くまでの信号が全部青だったとか、それぐらいの感じであれば、日常の中にも時々まぎれていますよね。

 ここで大切なことは、気持ちのテンションをいつも上げておくということです。そういう意味で言えば「エキサイト」も分かる気がします。

 すぐイライラしたり怒ったりするような、ヒステリックな人は別として、気分にムラがあったり、寝起きの機嫌が悪いという人は結構いらっしゃると思います。そのせいで、今日の分の人生を損しているとしたらどう思われるでしょうか。

 それがすべてではありませんが、かなり大きな要因であることも事実です。

 基本的な前提として、どんな時も、今後の人生の展開を決めているのは「呼び水」である自分自身だということです。これは大前提と言ってもいいかもしれません。

 「今・ここ」に存在するあなたの思考や気分、状況や状態などに沿ったものを集めてこい、という波動が出ている、というのが「呼び水」です。

 その中でもとくに「気分」が重要です。

 思考や状況・状態は事細かに説明することが可能です。つまり言葉にできるということです。言葉にできるものは物質世界のものですから、物理のルールの範囲内ということになります。

 気分だけは、言葉にしようとしても、どうしても説明しきれない部分があります。言葉にできる範囲はありますが、それだけでは伝えられない本当にささいなニュアンスなどがあります。この言葉にできない部分が「呼び水」として重要な部分です。

 物質世界における物理のルールは物理のルールに則ったもの同士でしか成り立ちません。それと同じように、非物質世界における霊的なルールはそれに則ったもの同士でしか通じ合うことがありません。

 ですから、思考、状況や状態は言葉という文字に書いてカタチにできるという物理のルールに則ったものですから、物質世界のお話です。そして「気分」は先ほども書いたように、言葉で表現できない部分、つまり文字にすることが出来ない、カタチにすることができませんから、非物質世界のお話ということになります。

 「呼び水」は目に見えないエネルギーですから、「気分」の中の、言葉にすることができない部分が、「引き寄せの法則」などと通じ合います。

 たとえば、あなたの「気分」のすべてが楽しいと感じているとします。「楽しい」は言葉にできていますが、どう楽しいのか、楽しさの規模はどれぐらいかなど、言葉にすることができない部分があります。この部分が「呼び水」となって、あなたを中心に宇宙の隅々、次元を超える波紋となって広がっていきます。隅々がどこなのかはぼくも知りませんが、そこまで行った波紋は、あなただけが感じている「楽しい」と同じ波動のものを引き連れて戻ってきます。あとはあなたが「受け入れて許す」だけで、あなたの「楽しい」と同等かそれ以上である、引き連れて帰ってきたモノやコトを体験することになります。

 人生の中心、宇宙の中心、次元の中心はいつもあなたです。あなたが「呼び水」となって発信することで、今後の人生の展開が決まります。

 すべての中心であるというのは、あなたの人生における主人公は、あなた以外にいないということです。

 周囲の人やモノやコトは諸行無常で、どこかへ流されてたり、あなたの視界から消えたり、退場したりしますが、あなたはいつでも、どんなときでも「今・ここ」に存在します。あなたがいなければあなたの人生は存在しないのです。だから、あなたが存在するかぎり、あなたが人生の、宇宙の、次元の中心ということになります。

 そんなすべての中心のあなたが自ら指令を出さなければ、希望する人生になることはありません。「自分だけのモノサシ」や「固定観念」による、日常的に考えていること、信じていることを元にした人生を歩むことになります。その生きかたで満足できるのなら、それはそれでいいわけですが、もしも希望する人生があるのなら、今すぐ「呼び水」状態になることをお勧めします。

 思考を変えないということは、これまでと同じ流れの人生を生きることになってしまいます。これまでの思考の結果が「今・ここ」ですから、「今・ここ」に不満があるのなら、思考を変えなければなりません。ベルトコンベアで流れてくる何かしらの製品にビスを打つことだけを繰り返していれば、明日もビスを打つことだけで一日が終わります。そしてこれは人生のお話ですから、ビスを打つレベルのお話ではありません。

 流れ作業的思考は、自らやめようとしないかぎり流れ作業のままです。生きかたを変えたいと考えているのなら、どこかで一度立ち止まって、その覚悟をしなければなりません。流れ作業的な思考は、なかなか厄介な相手です。気づくとそうしている、ということがほとんどですから気づきにくいのです。だからあえて「覚悟」という言葉を使いました。強い意志を持って取り掛かる必要があります。


 あなたが「呼び水」であろうと覚悟を決めたなら、どんな人生を望むにしても、まずはポジティブな思考であることが必須です。

 ポジティブな思考である状態は、「創造主」=「愛」=「魂」と近いので、現実の状況がわりと簡単に変わりやすく、身近な結果は出やすいほうだと思います。

 このポジティブな思考を作るための部品のひとつとして、このお話の主役、「にっこりする」があります。

 最初に書かせていただいたように、日常生活の中でエキサイトするような「ワクワクする」モノやコトは、かなり見つけにくいように思います。なので、ぼく個人としては、「にっこりする」ぐらいでいいと考えています。

 別のお話でも書きましたが、笑うことや笑顔でいることは、すでに魔法です。自分自身がほんわかした気分になりますし、人生がポジティブなほうに転がりだします。周囲の環境や人、モノやコトのすべてがポジティブに染まっていくような感覚です。

 その中でもポイントになるのは、気分です。自分の気分がポジティブなほうに傾いていれば、優秀な「呼び水」として存在することになります。そうなれば、あなたはより良い人生に向かって歩きはじめています。人生のレールを切り替えた状態です。

 「にっこりする」ぐらいな日常生活の中でも、いろいろ見つけやすいのではないでしょうか。普通に微笑んでしまうようなことはもちろん、自分の失敗も、人生という舞台の中の、コントのひとつだと考えたら笑えますし、スズメやハトが飛んでいくだけでも微笑ましいものです。そこにちょっとしたイベントごと、たとえば旅行に行ったり、知らなかったおいしい食事を見つけたり、ネコが家族になったり、なんてことが入ってきたらもっと「にっこりする」ことが増えます。

 ものすごく簡単にまとめると、いつも全身全霊で「にっこりする」ことです。

 自分の表側でも、眉間にシワを寄せたしかめっ面や、口角の下がった口元、横柄な態度やヒステリックな言動など、内側で、恐れや不安、嫉妬や怒り、誰かをさげすんだり恨んだりするなど、全身全霊でネガティブを表現している人のまわりに集まるものは、けっしてポジティブなモノやコトではありません。さらにそんな表情になったり、そんな気分になるモノやコトだけです。イライラしがちな人がいつまでもイライラしているのは、性格的な面もありますが、そもそもイライラを集めるような言動や気分、そんな「呼び水」になっているためです。

 ネガティブなときほど「にっこりする」ことを思い出してください。

 原則的なお話ですが、「この世界」の中に「この世」があります。「この世界」はイコール「創造主」です。「創造主」は「愛」のかたまりで、ポジティブしか知りません。そうなると、「この世」はポジティブのかたまりということになります。

 人々がネガティブな幻想を抱えて生きているため、それが現実化して、目に見えるものはネガティブなモノやコトが多くなっています。しかもすべて幻想です。人がいなくなったら「この世」にはポジティブなことしかなくなります。元は何もかもポジティブで出来ています。自然を見れば一目瞭然です。

 元々ポジティブで出来上がっている「この世」ですから、ムリしてネガティブな生きかたをすると、余計に摩擦が生まれるだけです。摩擦はストレスを感じますから、イライラしたりイヤな気分に包まれてしまいます。

 「にっこりする」だけで、本来の「この世」のパワーみたいなものを活用するようになりますから、実質、ポジティブなモノやコトのほうが、現実化しやすい傾向があります。上手くいくかどうかは、人それぞれですが。

 その人が、本当に心の底からポジティブであろうと覚悟を決めて、「今・ここ」から生きかたを変えるのであれば、思っているよりは簡単に結果が出ると思います。何かちょっとしたことで揺らぐような程度の覚悟であれば、やっぱりその程度の結果しか見ることはできません。

 自分の希望や夢に沿った信念、ポジティブを維持しようとする覚悟、それらを表現する言動など、パーツがきっちりそろっていれば、幸せでより良い人生や、希望や夢を現実化して体験する人生は、あなたのものになります。

 不必要なものはモノやコトなどの物質への依存、物理のルールがこの世のすべてという誤解、それにネガティブな思考です。

 人生を切り替えるタイミングでお金が必要なら、多くの場合、ちょうどそのタイミングでお金も用意されます。それは「兆し」のひとつだと捉えていいと思います。あなたの人生の主役があなたである以上、あなた以外の誰かや何かを崇拝する必要も意味もありません。あなたが崇拝すべきはあなたの本質だけです。

 「卵を落とせば割れる」というような、これはこうであるという決めつけは、人生のあらゆる分野に広がっていき、すべてを決めつけてしまって、奇跡を受け入れる隙がなくなります。この世では物理のルールが浸透していますが、その外側にまだ誰も知らないルールがあることも念頭に置いておくといいでしょう。

 自分を不幸だの運がないだのと決めつけいて、人生が良くなることはありません。「宝くじは当たらない」と決めつけて買う人がいないのと同じで、「当たるかもしれない」という猶予に期待して買うはずです。今が不幸だとしても明日は「幸せかもしれない」という猶予を持つことで、すこしはネガティブな思考から解放されます。期待は人を裏切りますから信用できませんが、実際に明日が幸せかどうかは、明日になってみなければ分かりません。そして人生には、いつ、何が、どんなふうに起こるのか誰にも分からない、というのも事実です。だからこそ、希望を持つことはポジティブな思考のはじまりになります。

 必要なものは自分への信頼、信念、覚悟、表現です。

 自分自身以外で、信頼という言葉に値するものはありません。人でも状況でも環境でも、それぞれの「自分だけのモノサシ」が存在している以上、自分との関わりがいつどうなるかは誰にも分かりません。信じることができても依存はできません。

 「こうしたい」という思いがあるならば、揺らがないように思考に縛りつけておいて、信念にしておきます。自分で決めたことですから、飽きたり、目移りしたりなど揺らがないようにしましょう。ひとまず納得のいく結果が出るまで、人生の中心に据えてみてください。

 同時に、信念や決意に対して責任を持つという覚悟をします。自分の進みたい方向へ進んでいっても、途中で信頼や信念が揺らいだり、希望どおりの最高のゴールの存在を疑ったり、言動で示してなかったりなど、さまざまな理由で上手くいかないこともあります。そのときに後悔をしたり、愚痴がこぼれたり、文句が出たりしないほど全力で取り掛かることです。そこで後悔や愚痴などは、結局自身の中にネガティブな思考が残っている証拠ですし、愚痴や文句が出ないほど全力を尽くしていなかった、そこまでの覚悟はなかったということになります。

 そして、自分の望んでいるモノやコトの波動を「この世界」に広げるために、自分の肉体の外側に表現します。ポジティブな思考というエネルギーというかパワーみたいなものを放出します。現実的な面で言えば、周囲に自分の希望を知ってもらうことで話が広がりチャンスも拡大する、という物理のルールも利用できます。

 ポジティブな思考に基づく言葉や行動、態度や表情などをエネルギーやパワーと捉えて表現します。ポジティブな波動を放出すればするほど、「類は友を呼ぶの法則」や「引き寄せの法則」の仕事は、軽快に調子づいてきます。波に乗ってきたら、あとはその波動を維持しておけば、高低差はありますがプラス状態で人生が進みます。間違いなく幸せを体験しているはずです。

 その取っ掛かりとして、お手軽に「にっこりする」などはいかがでしょうか。

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