第20話 開拓計画だそうです
馬車で一夜を過ごした俺たちは朝からちゃんと身支度を整えて馬車から降りた。
今日の第一回の話合いには俺、ママン、ベン、メリエル、ミユーリの五人が参加する。
里村側は主様、村長、農業主任、商業主任、ゴブリナの五人が参加だ。
何気にシレッと入ってるゴブリナはひょっとしてこの里村では重要人物なのか?
農業主任の人はノームとドワーフのハーフでノムラさん。商業主任の人はハーフではなく純エルフ種らしいのだが、何故この里村に居るのかは聞いてない。名前はエイリンさんで女性だ。
「さて、テツさん、いえ、ご領主様。開拓と言われますが何をなされますか?」
村長であるオニ子さんが先ずは口火をきった。俺はその質問に少し考えてから答えた。
「先ずは領主として僕を認めてくれて有難う、オニ子。村長である貴女が認めてくれるなら村民のみんなも認めてくれると思う」
そこで俺は言葉をいったん切り、続けて話し始めた。
「開拓についてなんだけど、この里村は今のままの状態を変えるつもりはないよ。これまで問題なく運営出来てたんだよね? それなら下手にいじるよりはそのままの方が良いと思ってるんだ。あ、だけど結界については更新させてもらおうと思ってるよ。今の結界だと少し弱いらしいから」
俺がここまで言うと主様が発言する。
「むっ? 私の結界が弱いと…… どなたの意見かな、領主殿?」
「僕の母上です、主様」
俺の言葉にママンを見る主様。ママンは結界魔法を使えるようになってから自分に自信がついたのか、以前のママンならば逸らしていた目をしっかりと主様に固定している。そして、
「主様、言いにくいのですが主様の結界には綻びが多くございます。実際にお見せしたいのですがよろしいでしょうか?」
とママンは言い、主様が頷くのを見てから魔法を使った。ママンが使った魔法は結界魔法を使える者にその結界の強度や綻びを視覚的に見せられる物だ。もちろん、結界魔法を極めつつあるママンだからこそ使える魔法だ。
「うおっ! こんな所に綻びが! おう! ここにもっ!?」
主様の声が大きい。どうやらかなりショックを受けているようだ。まあ、ママンと主様にしか見えないから俺からしてみるとさっぱり訳が分からないのだが、主様の落ち込みがどんどん深くなっている様子がうかがえる。
数分後、すっかり打ちひしがれた主様。そんな主様にママンが言う。
「主様、実は昨日のうちに侍女たちが魔力石を設置してくれています。それらを媒介にして私の結界魔法を発動しても良いですか?」
主様はそれを聞いて、「それも視覚化して見えるのだろうか?」とママンに聞き、見えるというママンの言葉に頷いた。
そうしてママンが里村と主様が普段寝ぐらにしている森の一部とそこまでの道を結界で覆った。ママンの結界魔法により、里村と主様の寝ぐらはより安全になったのだ。
ここまでしておいて、俺はオニ子に言った。
「オニ子、この里村から西に五百メートル離れた場所に取り敢えず僕たちの拠点と街の原型を作っていこうと思ってるんだ。で、街の東端に僕の住む家を作り、裏門からこの里村への道を繋げようと思ってる。その道にも母上に結界を張ってもらうから安心してね。里村で作った野菜類、それから武器防具、家具などは僕が買い取るようにするから売って欲しい」
俺のその言葉にオニ子は困惑する。
「テツ様、私たちは硬貨はそれほど必要ないのですが…… これまでも偶に訪れてくれる行商人からその時に必要な物だけを購入するくらいしか使いみちが無かったので……」
「うん、それは分かってるよ。でもね、何年か先には里村のみんなも僕の作る街で生活してもらったり、逆に街の住民が里村に引っ越ししたりなんて事も考えているんだ。だから、僕たちの使う硬貨に里村のみんなにも慣れて欲しいという考えなんだよ」
そう、俺はやがてはハーフの者たちも普通に人と笑顔で過ごせるような街作りをするつもりだから、そうなると硬貨での取引なんかが主要になってくる。この里村では物々交換がメインだから今から里村の者たちにも硬貨に慣れて貰う必要があると思うのだ。
まあ、その為には俺も金を稼ぐ手段を算段しなくてはならないのだが……
今のところ、ここまでの旅で得た魔物や魔獣の素材を売れば結構な額にはなるのは間違いない。事実、ナースコールでほんの一部だけを売ったが金貨五枚と銀貨八枚が手に入った。オウバイ王国内は辺境でも物価は安いので、かなりの大金である。
それに、今までに貯めたお金と一応だが大王国から子爵へと支払われる月に金貨二十枚の給与もあるから、金欠には暫くはならないと考えている。
主様に俺は聞いてみた。
「主様、主様の寝ぐらは別として、森の中で生息している魔物や魔獣は狩っても大丈夫ですか?」
「うん? もちろん大丈夫だ。森では弱肉強食が当たり前だからな。強い者が弱い者を食べるのだから。だが、生態系を壊すような狩り方は止めて貰いたいがな。それと、これまでは私の存在を魔物や魔獣には隠してなかったが、アミーレ師匠の結界により私という存在を魔物や魔獣たちは感じられなくなったので、街を作るとそこを襲おうと安易に考える魔物や魔獣も出てくると思うぞ」
ちょっと待て! いつの間にママンに弟子入りしたんだ? そんな会話は無かったよな?
「アラ? 主様、師匠って?」
ほら、ママンも知らない話じゃないか。
「アミーレ師匠、私は自分の未熟を悟った。これからは師匠に結界魔法を師事していただこうと思っている。弟子入りさせて下さい!!」
最後は土下座だよ…… ママン、何とか言ってやって!
「私の修行は厳しいわよ!! ついてこれるかしら、
「ハッ! 死ぬ気でついていきます! 師匠!!」
ママン…… 俺の知らないママンの一面を目の当たりにしてしまったショックで、その日の会談はそこで一旦お開きとなったのだった……
ちなみに現在の俺の能力はこんな感じで成長している。
名前:テツ・オウガイ
年齢:八歳(数え年年齢)
性別:男
称号:オウガイ子爵
体質:耐性体質
【身体能力】
体力:638
気力:2,055
腕力:555
脚力:508
魔力:1,286
器用:400
【攻・防】
攻撃力:298+300
防御力:287+55
武器:時宗(+300)
防具:革鎧(+55)
【耐性体質】
羞恥無効(カンスト) 魅惑無効(カンスト) 水治癒魔法無効(カンスト) 光治癒魔法無効(カンスト) 熱無効(カンスト) 薬無効(カンスト) 騒音無効(カンスト) 病無効(カンスト) 闇魔法無効(カンスト) 火魔法耐性8 風魔法耐性5 光魔法耐性5 火遁耐性8 水遁耐性11 風遁耐性9 土遁耐性7 雷遁耐性7 風火遁耐性3
【便利箱】
時間停止機能付・容量千五百立方メートル
【生活魔法】
着火・飲水・微風・土盛・灯火・黒眼鏡・製氷・電気按摩・遮光影・治療・透視・清潔
【初級六属性魔法】
(火・水・風・土・光・闇)
【低級六・五属性魔法・複合魔法】
(火・水・風・土・光・闇)
(氷・雷・影・聖・邪)
【中級六・五属性魔法・複合魔法】
(火・水・風・土・光・闇)
(氷・雷・影・聖・邪)
【上級六・五属性魔法・複合魔法】
(火・水・風・土・光・闇)
(氷・雷・影・聖・邪)
【無属性魔法】
(身体強化)
【
初伝・中伝・皆伝・奥伝・秘伝
【ウェバー神よりお知らせ】
やあ、テツくん。やったね、順調そうじゃないか。そんな君に私からプレゼントだよ!
何と本来なら十二歳にならないと得られない
嬉しい? 嬉しいよね? 夢にまで見た魔法使いだよ! ホラ、喜んで!?
あ、先にある文言は君の前世に敬意を表してだからね! それじゃ、これからも頑張ってね〜……
…… …… …… クソ親父よりも先にウェバーをいつか殴ろうと心に誓った俺だった……
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