表面張力

天津謙人

表面張力

 人との関りは最小限。

 せっかくできた輪の中で、飛び出さぬよう、乱さぬよう。自分の考えや思いは端に寄せ、ただひたすらに相手の言葉に頷いて。無意識に傷つけてしまうリスクも、傷ついてしまうリスクも最小限。

 表面上、丸く収まっていれば一緒にいられる。

「あの子は本心がわからない」

 大きな輪が、小さな輪に分かれた時。そんな風に言われていたと知った。そして、どの輪にも私の居場所はなかった。

 張りつめていた気持ちが膨らむ。心の縁からひと滴。私の本音が零れた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

表面張力 天津謙人 @YORUARUKI

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ