38.本編あらすじ

【富士見ノベル大賞】用のあらすじです。


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第一話

 高校一年生の加々実優(かがみ ゆう)は、葉桜の季節、優を「神さま」と呼ぶ奇妙な巫女に出会う。

 直後、街に現れた巨大な怪物と、優は巫女のいわく「神の御力」で戦うはめになり、なんとか撃退する。その優たちを、優が密かに想いを寄せるクラスメイト、浅久間唯(あさくま ゆい)が遠くから観察していた。


第二話

 巫女は「神の御力」の一柱、分神であり、優の姉の加々実志津花(かがみ しづか)として周囲に認識される。

 志津花に振り回される優だったが、再び現れた怪物を目にして、自分の意志で戦うことを決める。一方で唯は、撃退された怪物たちを含む宇宙の鉱物質生命体と集合意識を共有し、優へのさらなる挑発をたくらむのだった。


第三話

 宇宙の鉱物質生命体は、永続的な無変化と群体化による不死性を得た無機生命体であり、個体死と交配による永続的な環境適合性を得た有機生命体との、生命進化の競合種だった。

 有機生命体が無機生命体を絶滅させ、さらなる汎宇宙存在に進化する。それが神=優の定めた摂理と言う志津花に、優は納得できない思いを感じるが、周囲との触れ合いで気持ちを立て直す。

 そして唯もまた、鉱物質生命体の集合意識と向き合い、彼らの一部として共に生き残るため、神への叛逆の決意を固めて、優に宣戦布告する。


第四話

 唯が宇宙へ去って、残された優は、市街地を襲う鉱物質生命体の群れに直面する。

 志津花が駆けつけるも、圧倒的な数と、建物の中にまで侵入して人間を殺戮する鉱物質生命体になす術がない。

 唯を追うこと、人々を救うこと、どちらもできず絶望しかける優だったが、志津花と同じ新たな二柱の分神が加勢に現れて、辛くも鉱物質生命体を撃退する。

 その頃、唯は鉱物質生命体を統率する特性体として月と融合、巨大な怪物となって地球に迫る。

 さらに宇宙全体から、文字通り天文学的な数量に達するすべての鉱物質生命体が、超空間振動で地球圏に転移し、唯に従う。

 膨大な質量の接近による潮汐力の変化、重力異常の影響で地球が崩壊に瀕する中、志津花の恋人設定の鳴上暁斗(なるかみ あきと)、優の妹設定の加々実桃花(かがみ ももか)となった分神たち、重症ながら生き残った友人たちにも支えられて、優は唯の待つ宇宙へ飛ぶ。


最終話〜

 地球の全天周囲を埋め尽くした鉱物質生命体に対して、優と志津花が月方面、暁斗が太陽方面、桃花が中間の円周軌道、それぞれの戦場で激突する。

 特性体の唯は、鉱物質生命体が生命進化で負わされた運命と憤りを背負って、それを摂理に定めた神=優へ牙を剥く。

 それでも本当は優を想い、有機生命体として生きた世界を思う唯の心に応えて、優は志津花、暁斗、桃花と合わさって神威を顕現、涙と共に、唯とすべての鉱物質生命体を滅ぼした。

 復興活動が進む街で、空を見上げながら、優と志津花が語り合う。

 唯は、鉱物質生命体は、自らの進化の果ての結末を理解していたからこそ、その最終期に抱いた感情を、どんな形であれ神=優へ伝えることが真実の願いだったのではないかと、まとめかけたところへ唯が闖入する。

 超空間振動で地球圏に転移した時、空間に残ったゆがみから情報を相互補完、自らを再現した唯と鉱物質生命体の集合意識は、憎まれ口を返しながらも、優が示した応えを受け入れて笑顔を見せるのだった。

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