22.認識を整理します
サーガンディオンが立ち尽くす。
両脚を広く踏みしめて、繰り返し襲来する
サーガンディオンの外側で、市街が崩壊していく。人が死んでいく。
「ごめん……」
それが、なんの役に立つのか。
「本当に……いい神さま、なんかじゃ……」
今ここで、もう救えない人や街を
「カッコいい、ヒーローなんかじゃ……俺は……」
世界の危機より自分の気持ちを、世界中のみんなより一人だけを、選びたかった。それは
本当の言葉を交わしたあの場所で、
「ごめん、
サーガンディオンの
ぼやけた色が、全天周囲の空が、変わった。
南の空から、太陽の光を塗りつぶすように、虹色の輝きが広がった。輝きの中で、なお輝く白銀が、空から舞い降りた。
そう見えた。
直線軌道も、
「な……?」
そしてまた、今度は西の空から、同質の虹色の輝きが重なった。輝きが
市街を
一つ一つは細く鋭い収束光が、無数の
「なにが……起きて……?」
「申しわけありません。わたくしも、認識を整理します」
「神さま……
「仲間……っていう、こと?」
「はい。全宇宙規模の
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目を覚ました時、
自宅の
多分、サーガンディオンの中で意識を
それでも起き上がりかけて、部屋の中を見ると、母親が
スーツではないがスラックスとシャツの、しっかりした格好で、せめて五歳は若く見えるのがコンセプト、といつも言っている通りだ。
「丸一日、寝ていたよ。もうすぐ夕方だし、おはよう、じゃないかしらね」
「ええと……仕事は?」
「さすがに、あの大惨事だもの。ほら、自宅待機のテレワーク。まあ……次に、どこがどうなるかわからないし、みんな
母親が、端末のモニター画面を
「父さんは買い物に行ってる。食べ物も燃料も、まだ大丈夫だけど、買い占めにならないよう気をつけながら各家庭で
「そっか。ごめん……大変な時に、心配かけて」
「まったくよ。ジェンダー平等なんて能書き、言ってられないわ。男ならしっかりして、女と子供を安心させなさい」
端末のモニター画面を閉じて、母親が
「で、そこら辺、どうなのよ? あんた、彼女とかいるの?」
「急に、なに? いないよ……そんな」
「じゃあ、今日のところは家族優先でオッケーね。一番、心配してた女の子を、安心させてあげなさい」
「え?」
母親が部屋の扉を開けて、廊下の先に
相変わらずの
「神さま……」
「……
「よお! 身体の
「もー、いきなり倒れちゃうんだもん!
初めて聞く声が二つ、初めての気がしない
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