参照プロット(第二話)

シーン07

場所:優の家

人物:優、志津花、両親

展開:

朝、両親にゆうの姉として認識されている巫女みこに、ゆうが軽くパニック。志津花しづかの名前はここで初出、神さまっぽい能力を描写する。

台詞:

「夢、じゃない……よな」


「いや、もう、最初から全部が夢とか……すっごい爆睡ばくすいしてて、もう遅刻とか……」


「遅いぞ、ゆう。父さんたちは、先に出かけるからな」

「ああ、うん……昨日、あんな騒ぎがあったのに、会社は普通に行くんだね」

「当たり前だ。電車にも、大した乱れがないからな」

「学校だって、臨時の連絡、きてないからね。ちゃんと行きなさいよ。志津花しづかに面倒、かけないでね?」

「え? 誰……」

「お父さま、お母さま。お弁当です、お持ちください」

「いつもありがとうな、志津花しづか

「たまには後片づけ、ゆうにやらせなさい。それじゃあ……」

「ちょ、ちょ、ちょっと待って!」


「え? しづ……え? あの……巫女みこさん……っ?」

加々実かがみ志津花しづか、姉です。神さま」

「いや、おかしいでしょ! 父さんも、母さんも、ほら、神さまって……」

「まあ、志津花しづかがおかしいのは、今に始まったことじゃないしな」

「急に言い出す、あんたの方がおかしいでしょ」

「ええ……?」

「朝ごはん、ちゃんと食べなさいね。行ってきます」


「いついかなる時も御側おそばつかえるべく、関係各位の認識を改変しました。わたくしも分神ぶんしん、神さまの御力おちから一柱いっちゅうですから、この程度は職権しょっけんの範囲内です」

職権しょっけん、って……」

「文字通りの朝飯前あさめしまえです」


「つまり、朝食を御用意しております。ささ、こちらへ」


シーン08

場所:通学路

人物:優、志津花、唯、幹仙、葉奈子

展開:

普通の人間は、志津花しづかの能力に影響され、幹仙みきひさ葉奈子はなこも同じように認識している。ゆいが登場、悪戯いたずらっぽく志津花しづかにからむ。学校では前日の怪物騒ぎ、街の被災状況を踏まえて短縮授業。ゆうは、現実が変わっていくことを意識する。ゆい志津花しづかの能力に影響されていない感じを描写する。また、人間関係のコミカルさと、周囲の状況のシリアスさを対照的に描写する。

台詞:

「おはよう、ゆう。お姉さん」

「おはようございます、凡河内おおしこうちさま」

「ああ、うん……やっぱり知ってるんだ、この人」


「そりゃ知ってるでしょ。うちの高校の……多分、全員」

「なんでっ?」

「超絶美人の、超弩級ブラコンで有名人。どんなハイスペ弟なんだって、去年からすごい騒ぎだった……らしい。先輩が言ってた」

「どんだけったんすかっ? 志津花しづかさんっ!」

「天上天下、至高の神さまです。わたくしとしましては、不本意ながら、許容最低限までひかえました所存しょぞんです」

「……こんな状況で同じ高校に入るんだから、ゆう大概たいがい、神経が太いよね」


「お、おはよう! 幹仙みきひさくんっ!」

「おはよう、葉奈子はなこちゃん。元気な声だね」

「通学路だし、隠れライバルがいたら、マウントしておこうと思って! 加々実かがみくんも、お姉さんも、おはようございます!」

「おはよう、御山みやまさん。今日も早速、こぼれてるね」

「おはようございます、御山みやまさま。浅久間あさくまさま」

「おっはよー! 凡河内ボンカワくん、ゆうくんに……志津花しづかお姉さん!」

「おはよう、ゆ、ゆいちゃん」

ゆう葉奈子はなこちゃんを見習ったら?」

幹仙みきひさ、余計なこと言わないっ!」


「なんでしょうか」

「んー、志津花しづかお姉さん、今日も素敵ですねえ」


「いいなあ、ゆうくん。あたしも綺麗きれいなお姉さん、欲しかったなー!」

「え、なに? ゆいって、そういう願望あるの? あたし同い年だから、ギリ安全セーフ?」

ひらめいた。ゆいちゃん、ゆうと結婚すれば、もれなくお姉さんがついてくる、かも」

幹仙みきひさっっ!!」

「おー! いーね、それ! 出汁だしになっちゃうゆうくんには、ちょっとゴメンだけど」

「いっ? いいいいいいいや、お、俺は……」

ゆうは、むしろ漁夫ぎょふの利」

「すごい! 神棚かみだなからおはぎが落ちてきたよ、加々実かがみくん!」

御山みやまさんまでっ? ちょっと、その、心の準備とか……」

僭越せんえつながら神さまにわりまして、お断り致します」

代返だいへんしないでっ! 断りませんっ!」

「神さまには、わたくしがいます。なにやら不埒ふらち下心したごころのある所業しょぎょう、わたくしが許しても、神さまが許しませんよ」

「ついでに責任を全振ぜんふりっすか! ホント、勘弁かんべんしてくださいよ!」

「あはは! ゆうくん、将来、苦労しそうだねー」

「え? ゆいちゃん、もう他人事たにんごと? あの、断ってないから! 断ってないからね!」

「……まあ、加々実かがみくんより先に、お姉さんが片づいちゃうってのは……ないっぽい、かなあ」

「がんばれ、ゆう……」


「これはいけません。未成年なら、家族設定がもっとも身近だと思ったのですが……すぐに妻の設定へ改変します」

「そんな安易あんいに改変しないで。職権濫用しょっけんらんよう、反対です」


シーン09

場所:学校

人物:優、志津花、唯、幹仙、葉奈子、他、敵性体

展開:

学校の近くに新たな怪物が出現する。家族や友人、街や学校を守るため、ゆうが自分の意志で志津花しづかと一緒にサーガンディオンになる。最初の怪物より大きく強そうな描写をする。大パニック寸前のシリアスさと、ゆうの意識の変化を描写する。

台詞:

「あの怪物、また……っ!」

「おー、なんかすごい! 映画みたい」

「ゆ、ゆい! とぼけてないで、に、逃げ……」

葉奈子はなこちゃん、ゆいちゃんもゆうも、落ち着いて。あわてても無駄だから」

幹仙みきひさ、正しい一言が余計!」


「大きな建物は、多分、相手からも目につく。この前みたいに、くずされたら危ないし……避難訓練の通り、混乱しないで校庭に出る、とか」

ゆう、ズバリそれ」

「あはは! こっちはこっちで、クイズ番組みたいだねー」

「そ、そんなこと、言われても……怖いよ……。足が……こ、声も、震えて……」

「それで良いよ。大声で走り出される方が迷惑だし」

幹仙みきひさ、言い方」

「うんうん、大丈夫だよ、御山ミャーちゃん。あたしがついてるからねー」

「あ、ありがとう……幹仙みきひさくん、加々実かがみくんに、ゆいも……」


「神さま」

「うわっ! し、志津花しづかさん? なんでここに……っ?」

「一時的に皆さまの認識から外れるよう感覚介入して、参上致しました。この程度は職権しょっけんの範囲内、現時刻なら文字通りの昼飯前ひるめしまえです」

「そんな文字通り、ありませんよ」


「俺も、認識から外れてるんですね」

僭越せんえつながら」

「別に……自分が神さまとか、信じられたわけじゃないですけど」


「今、ここで、俺にできることがあるのなら」

「わたくしと身も心も重ねて、一心同体になってくださると」

職権しょっけんなら仕事仲間です。コンビとか、バディってことで。恋愛感情なしの方向で」

「……ええ、まあ。御心おこころのままに」

「なんすか、そのめ」


シーン10

場所:街中

人物:優、志津花、敵性体

展開:

サーガンディオン、街の被害を気にして苦戦する。最終的に怪物を放り投げ、自身も水平方向に加速、激突しながら宇宙速度に達して南太平洋上空から成層圏に出て必殺技、決着する。ゆうの苦悩に志津花しづかこたえて、サーガンディオンが本来の能力を発揮する『序』のクライマックス。苦戦からのカタルシスを描写する。

台詞:

「危険です。脳を摘出しても良いですか」

「駄目に決まってますっ!」

柔弱にゅうじゃくな体組織すべてを抱えて、生命維持と戦闘機動を並列処理するのは、不合理です。わたくしと一緒に、進化の階段を登りましょう」

「ごめんなさい! 勘弁かんべんしてくださいっ!」


志津花しづかさんっ! このままじゃ、下の街が……っ!」

御心おこころを乱されるべきではありません」

「そんなこと、言われても……死んでる……っ! 逃げ遅れた人たちが……あんなに、血が……っ!」

けられないことです。神さまの視座しざなら、たましいの不滅、生命の輪廻りんね、宇宙の熱の循環摂理じゅんかんせつりを……」

「なんの話だか、わからないよっ!」


「俺が、神さまなら……サーガンディオン! 俺の思い通りに、動いて見せろッ!」

「神さま。このような行動は、不合理です」


「合理にてっし、速やかに敵性体を駆逐くちくすることが、結果として人的被害も最小に……」

「身も心も、だったよね?」


「ごめん、志津花しづかさん。わがままにつき合わせる! 失敗したら……悪いんだけど、みんなにあやまりながら、一緒に死んでよ!」


「わたくし個人としましては、至福しふく。ですが……本当に、まったくもって、切歯扼腕せっしやくわんきわみながら。至高の神さまの分神ぶんしんとして」


神威しんい顕現けんげん駆逐戦闘特化筐体くちくせんとうとっかきょうたいの力。御心おこころのままに」


シーン11

場所:街中

人物:優、志津花、唯、幹仙、葉奈子

展開:

それでも被害の大きかった街、重傷を負った幹仙みきひさ葉奈子はなこを見て、落ち込むゆうゆい志津花しづかがなぐさめる。

台詞:

幹仙みきひさ……御山みやまさん……」

ゆうくん! 無事だったんだ……良かった」

「ありがとう、ゆいちゃんも……。でも、他にも、たくさんの……」


「人が……怪我したり、その……死んだり……」

ゆうくん、ヒーローみたい」

「え?」

「変身して怪獣をやっつける、カッコいいヒーロー。ほら、俺がもっと強ければ……みたいな」


「あたしもゆうくんも、御山ミャーちゃんも凡河内ボンカワくんも、生きてるよ。そこから先は、後で、みんなで考えることだよ。きっと」


「あたし、御山ミャーちゃんの家に行ってくるね! ゆうくんは凡河内ボンカワくんの家、お願いできるかな?」

「うん、わかった……! ゆいちゃんも街の中、気をつけて! あちこちくずれたり、危なくなってるから!」


「俺が、本当に神さまなら……怪我を直したり、壊れた街を元通りにしたり……死んだ人たちを、生き返らせたり……できないのかな……?」

「本来の神さまに戻られれば、もちろん可能です。ですが」

「ですが?」

「神さまに戻られた瞬間、そんな些細ささいなことはどうでも良くなられるか、と」

「神さまへの敬意ってやつが、ゴリゴリ減っていくよ。もう」


シーン12

場所:夜の街中

人物:唯

展開:

姿のない声と会話するゆいゆいの正体と、心の中の葛藤かっとうを会話で描写する。

台詞:

『あんなポヤっとした感じでもさ。いざとなったら、ヒーローってやっぱりカッコいいね!』

「でしょー? ついつい、イジめたくなっちゃうんだよねー!」

『大丈夫? イジめすぎると、本気で好きになって、つらくなっちゃわない?』

「……わかった風なこと、言うじゃん」

『そりゃあねー。あたしだって、ゆいちゃんだもん』


『でも、あなただけは……特別なんだよ。いーじゃん、ずっとそっち側にいたってさ。あたしたちは、あたしたちで、好き勝手にやっちゃうよ。それでうらみっこなしじゃん』

「うっさい。あたしのくせにえらそうで、なんか気持ち悪い!」

『そりゃもー、あたしたちの方は群体ぐんたいで、鉱物質組成こうぶつしつそせい広域温度帯超伝導こういきおんどたいちょうでんどうで、次元縦波干渉じげんたてなみかんしょう超空間並列共有知能ちょうくうかんへいれつきょうゆうちのうだもん! つまり、すっごいかしこい! ゆいちゃんさまって呼んでよね!』

「いーね、それ。すっごいかしこそう」

『でしょー?』


『あたしたちは、さ。そういう存在なんだよ。宇宙のあっちこっちで、土と水にしがみつかなきゃ生きていけない有機生命体と、どっちが上か下か、残るか滅びるか……進化の正解と不正解を、くらべなきゃいけないんだよ。その血の運命さだめってやつ? 血なんてないけどさ』


『あなたは、ほら、そんなプリプリでムッチムチの、炭素結合と水素結合の高分子を蓄積ちくせきできてるじゃない。だからもー、そっち側でもイケるって』

「なにそれ。脂肪しぼうの駄目肉って言ってんの?」

『おっぱいとおしりはそーじゃん』

「そーじゃないですぅー。他の物質も、いろいろ複雑にありますぅー」


「でもさ。あたしはゆいで、あんたがゆいちゃんさま。違ってても、同じだよ……一緒だよ」


「さー! もっともっと、イジめるよー! ゆうくん、うらむんなら、神さまをうらんでよねー! 自分なんだし!」

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