人喰い魔女の一日

宝谷 セナ(ほうたに せな)―――村人から人喰い魔女と呼ばれる彼女の一日は至極単純なものだ。

朝、彼女は鳥の鳴き声によって起こされる。窓から入ったウサギが二度寝しようとする彼女を無理やり引き止める。


「痛い!痛いよ!やめてよーラビ。」と、言いながら彼女はしぶしぶベッドから起き上がる。


<だってこうでもしないとセナは起きないじゃないか!>と、ラビと呼ばれたウサギは彼女を蹴るのを止める。


「いやいや起きるよ、起きるとも!一回二度寝をしたらすぐに。」

<そう言って前回二度寝をして起きたのは何時だったっけ?確かー翌日の夜だったような?>

「いやーあはは、それはアレだよ。その日は私も疲れてたんだよ。」

<そんな言い訳しても駄目!>

そんなやり取りをしてようやく彼女の目は覚めるのである。


次に彼女は朝食の材料を取りに行く。

「おーい!朝食作るからみんな集まれー!」

そう言うとすぐに彼女の周りにはたくさんの動物が集まった。

彼女は彼らから山菜や肉をもらう。

肉をもらうというが動物を殺すわけではない。

魔法を使って余分な肉や病気に侵された肉を傷つけることなく抽出しているのだ。

病気に侵された肉は魔法により食べても害のないものになっている。

この魔法は害のないダイエット方法や病気の治療方法として役に立つので動物たちには人気である。


材料を集めた彼女は魔法を使って料理を始める。作らなくても完成された料理を取り出すことも可能だが不思議なことに魔法で取り出した料理は何か物足りないものになってしまう。そのため、彼女は緊急時以外では毎日材料を集めて料理を作るという作業をしている。料理を作る過程で魔法を使うのは味に影響はないので魔法を使用して彼女は全員分の料理を作っている。


昼食、夕食も上記のように作っていく。


それ以外の空き時間に彼女は読書をしたり動物に森の外の様子を聞いたり遊んだりして楽しく過ごしている。


夕食の後、眠くなったら寝るスタイルである彼女は魔法で作った温泉に入り、睡魔が訪れるまで無為に時間を過ごす。


そうして彼女の一日は終わるのである。

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