詩『道端の花』

くずき憂人

『道端の花』

足跡がある。


六、三、三、四。


飛行機雲のように真っ直ぐで、

ふわふわ不安定なステップ。


交わる六歩、

ぶつかる三歩、

迷う三歩に、

見えない四歩。


誰かと一緒にいた気がした。

あの日の道端で、ずっと一緒にいた。


それっぽい言葉で、

僕たちの繋がりを表現してみたりもした。


どんなに大好きでも、

ほとんど今では昔の人になったよ。


街並みとシルエットだけが

あの頃の足音と一緒に駆け巡るんだ。


顔も名前も見えにくくなっていたけれど、

曖昧な記憶をふと振り返ってみると、

彼らは僕の歩いてきた道に花を添えていたんだ。

僕も彼らの道の花を添えられたかな?


それくらいでいい気がした。

それくらいがいい気がした。


これから先は、足跡を数えない。

でも、今を一緒に歩く人たちは、ずっとがいいな。


急がずに行こう。

ゆっくりと行こう。


もう会えないあなたにありがとう。

隣に居てくれる君にありがとう。


広い空の下。

僕は誰かの道に花を添えながら言うよ。


僕の道に花を添える全ての人にありがとう。

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詩『道端の花』 くずき憂人 @kuzuki_yuto

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