第22話メタ発言する回
この剣と魔法のファンタジーな世界。それに明らかに似つかわしくないものが今目の前にある。そう、USBである。
全部で3つ、机に等間隔に置いてある。とりあえず説明書を読もう、そうしよう。
「まず最初に、これから出会う色んな人たちにはこれについて言及することはやめた方が良い。多分誰も理解できないからな。これはいわゆる『過去の遺物』なんだ。何千年も前の神が作った傑作の1つ、と言われている」
待て。USBが過去の遺物? そうなると俺は異世界転生じゃなくてタイムスリップしてきたのか? 実は異世界ファンタジーじゃなくて現代ファンタジーものだったのか?
......やめよう、これ考えても分からんやつだ。
「そしてこの遺物の能力は、金属の部分を相手の頭に挿すと記憶が抜き出される。」
「例え話をしよう。お前の目の前に毒に侵された人がいる。もし毒の持ち主を確かめたいのなら頭に挿す。というふうに使えば良い。」
「試しに、この3つに魔術、剣術、弓術が入っているから、頭にぶっ挿してみろ。」
USBを一つずつ、頭に挿してみる。
「...いったぁ!」
頭の中に電流が走る。脳の中が弄られ、めちゃくちゃにされるような感覚。その途中、映像を見てるかのように、さまざまな知識が入ってくる。
ガンガンと鳴り響く頭を抑え、続きを読む。
「ただ、これはあくまで抜き出すものだ。一度挿せば、また何かに挿し入れるまでは抜き出すことはできない。中に記憶がある状態で、また別の何かを抜き出したい場合、中の記憶を誰でも良いから押し付けなきゃ抜き出せないというわけだ」
なるほど、よーく分かった。ちょっともう1回読んで良い?
USBは相手の記憶を抜き出せる。この文章から察するに記憶は抜き出された当人に返さなくても良い。
......記憶を返さなかったらどうなるんだろう? 廃人になったりするのだろうか?
あーもう! やめやめ、考えても分からん。そうだそれよりもお腹が空いてるんだよ。
ソファから立ち上がり、ダイニングキッチンへと向かう。食料が缶詰め3つであることに気付くまで、残り20秒のことであった。
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