ママの惑星

田辺電機工業

第1話 ご飯にいこーよ!

 「ご飯にいこーよ!」


 一人の女性から簡単な一文がグループチャットに投げ込まれた。

 

 「いくべいくべゃ」、「今月の17日しか空いてないんだけどいい?」、「久しぶりやんね~。」


 5分もしないうちにさらにグループ内の3人から前向きなメッセージが送られてきた。グループは中学生時代からの友人たちで作られており、私を入れると5名の集まりだった。

 彼女たちが前向きな態度である一方、私はどう反応すべきか迷っていた。なぜならば、彼女たちは私を除いて全員結婚しており、さらに子供を育てているものもいる。そんな女性的にキラキラした彼女たちと比較して、私は現在付き合っている彼氏がいるわけでもなく、ひたすら日々仕事に追い立てられている。つまり会食当日はグループ内で最も集まりにふさわしくない者として、ひたすら幸せな愚痴を聞くだけの赤べことなり、常に疎外感を感じることになるのは目に見えていた。

 それでもなお返信内容を書いては消してを繰り返し悩んでいたのは、単純に彼女たちと過ごした日々が良き思い出であり、美化されたとはいえ思い出たちと触れることで自らの寂しさの慰めになるのではないかと期待したからであった。そして二言、三言思案した後、結局私はこうメッセージを送った。


 「17日のディナーならいける」


 ほんの少し自分の立場を強く見せたいがために、つまらないぶっきらぼうを演じてしまったことをメッセージを送った瞬間に後悔した。しかし彼女たちは、


 「お、19時いける?」、「いいよ、大丈夫」、「(´ω`)b」、「決まりだね(笑)」


 と、何もないかのように返してくれた。そんな彼女たちの性格の良さに、私自身の性格の悪さが強調されている気がして若干の自己嫌悪に陥った。

 

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