ハロウィン
今日はハロウィン。トバリちゃんが遊びに来るとのことで、朝からヒカリちゃんと準備をしている。
「どうかな?」
「おー、なかなかいい出来ですね!」
かぼちゃをくり抜いて、顔の形を作り“ジャック・オー・ランタンの完成。そして、ヒカリちゃんは料理を作っている。
お昼頃にチャイムがなり、トバリちゃんがジャック・オー・ランタンのお面をしてやってきた。
「とりっく・おあ・とりーとめんと!」
「トリックオアトリートね……。はい、トバリちゃん、お菓子」
「わーい! ありがと、おにーちゃん! あ、おねーちゃん! とりっく・おあ・とりーとめんと!」
「はい、トリートメントです。シャンプーの後に使うんですよ?」
「わーい! わーい!」
「本当にトリートメントだったんだ!?」
トバリちゃんはたくさんのプレゼントをもらえて、とっても嬉しそうだ。
「さぁ、トバリ、お昼にしましょう。今日は私が腕によりをかけて、美味しいかぼちゃ料理を作ったんですよ」
「ほんとー!? たのしみー!」
昼食は豪華だった。かぼちゃスープにかぼちゃのミートパイ、食後にはかぼちゃのチーズケーキまで出てきた。
「おいしー!」
「うん、かぼちゃ料理、珍しくてとっても美味しいよ! ヒカリちゃん!」
「ふふっ、喜んでもらえてよかったです」
「昼からは外に出てみない? ハロウィンだから、イベントたくさんやってると思うよ」
「いいですね!」
「うん、いくー!」
♢
そんなこんなで街をぶらつく。するとゲームセンターの看板が目に入った。
「クレーンゲームでハロウィン限定景品があるって書いてあるよ。行ってみる? トバリちゃん」
「うん、行くー!」
中に入ると、たくさんのクレーンゲームの量に圧倒される。どうやらここはクレーンゲーム専門店みたいだ。
「ありました! これですね!」
「おっきー!」
巨大なジャック・オー・ランタンのぬいぐるみがクレーンゲームの景品として、鎮座していた。
「これはなかなか取るのに骨が折れそうだね……」
「さっそく、やるよー!」
トバリちゃんは可愛らしいバックから、小さなお財布を出した。
「今日はおこづかいもってきてるの! これでとるよ!」
「頑張って下さい、トバリ!」
トバリちゃんは真剣な表情でコインを投入し、プレイを始める。
それを、ボクとヒカリちゃんは固唾を飲んで見守った。しかし──
「……とれないよぉ」
おこづかいを使いきったトバリちゃんは、がっくしと肩を落とす。
「……おっきいかぼちゃのぬいぐるみ、ほしかったのに……」
残念そうなトバリちゃんを見て、ボクはコインを投入する。
「じゃあ、ボクもやってみようかな」
「おにーちゃんもするの? うん、がんばれー!」
「ナギサ君、仇を取ってあげて下さい!」
2人の声援を受けて、ボクは真剣にレバーを操作する。
「あっ……」
ちょっとずれてしまったようだ。アームがぬいぐるみより、右に落下してしまう。
──が、それが功を奏して、ぬいぐるみのタグに引っかかった。
「おおっ!」
そのままタグをアームで引きずりながら、見事に巨大なぬいぐるみをゲットした。
「おにーちゃん、すごーい!」
「これを狙ってたんですね……! さすがです!」
うん、たまたまなんだけど、そういうことにしておこう……かな。
「はい、トバリちゃん」
ボクはジャック・オー・ランタンの巨大なぬいぐるみをトバリちゃんに渡す。
「あたしにくれるの?」
「うん、トバリちゃんも頑張ったからね。プレゼント。大事にしてあげてね」
「わーい! ありがとー! おにーちゃん、大好き!」
トバリちゃんはぬいぐるみを抱きしめて、ぴょんぴょんと跳ねている。
「ふふっ、よかったですね。トバリ。大事にするんですよ?」
「うんー! 今日からいっしょにねるのー!」
トバリちゃんがあまりにも喜ぶもんだから、ボクまで嬉しくなって、つい口元が緩んだ。
「名前はどうしますか?」
「うん、“
「よく調べ物ができそうな名前だね……」
♢
寝る前にヒカリちゃんが声をあげる。
「あー! 私も魔女の仮装を用意してたのに、着るのを忘れてました! と言う訳で、ちょっと着替えてきます!」
そしてヒカリちゃんは、魔女の仮装をして現れた。
「ふふっ、どうですか?」
ヒラヒラとマントを
「うん、とっても可愛いよ〜!」
「ありがとうございます。ふふっ、トリックオアトリート。お菓子をくれなきゃイタズラしちゃいますよ?」
「ふふっ、残念だけど、お菓子はもう持ってないよ」
「そうですか……では──」
ヒカリちゃんはボクに抱きついた。
「ヒ、ヒカリちゃん?」
「お菓子がないならイタズラ……しちゃいますね?」
「え? ヒカリちゃん? んっ!」
「ん……♡ はむ……♡ ちゅる……♡ レロ……♡」
「んんんっ!?」
その夜、たっぷりヒカリちゃんにイタズラされちゃいました……。
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