お風呂に入ります♡
「ねぇねぇ、ヒカリちゃん! 美味しそうなポテチの新商品が出てるよ! 買ってもいいかなー?」
ボクは新作のお菓子コーナーに釘付けになる。
「ふふっ、少しだけですよ?」
「うん、ありがとう。後で一緒に食べようね!」
「くすくす、ナギサ君はまだまだ子供ですね(でもそこが可愛いです)」
「そ、そうかな。じゃあ、ここは大人っぽくわさび味にしようかな……」
「味の問題ではないのですけれどね……。あっ、カレーの味はどうされます? 私はどの味でも大丈夫ですよ?」
「じゃあ甘口で!」
「ふふっ、そう言うと思いました」
ボク達はカレーに必要な材料を買い、レジに向かう。
「お支払いはどうされますか?」
店員に決済の方法を尋ねられる。
「“パイパイ”でお願いします」
ボクはQRコード決済のメジャーアプリ“パイパイ”を利用する。
決済が完了すると“パイパイ♪”という小気味いい音がした。うん、いつ聞いても
「では、“パイパイ”に私の分の食費を送金しておきますね〜」
「うん、ありがとう」
とりあえず結婚するまでは、お互いに食費を折半することで、話は落ち着いた。
ヒカリちゃんは「私が出しましょうか?」って言ってくれたけど、彼女に甘えたきりになりたくはなかった。
「ヒカリちゃん、手、繋ごっか」
「は、はい///」
これからは2人で支え合って、生きていきたいから。幸い、昔にバイトで稼いだお金も結構あるしね。
♢
「ちょっと待っててくださいね。すぐに作りますから」
ピンクのエプロンを装着したヒカリちゃんは、猫の柄が入っていて、すごく可愛らしかった。
「ボクも手伝えることないかな?」
「じゃあ、皮剥きをお願いしますね」
「うん、わかった!」
2人でキッチンで共同作業。なんだか本当に夫婦みたいだ。
ヒカリちゃんは手際良く、カレーを調理する。
「出来上がりです♪」
「うわぁ、美味しそう〜!」
目の前にはほくほくのカレーライスと、たっぷりのサラダ。
「「いただきます」」
まずはカレーを一口。
口の中にルーのコクと甘さが口いっぱいに広がる。
「うん、とっても美味しいよ! ヒカリちゃん!」
「ふふっ、ありがとうございます。頑張って練習したかいがありました」
彼女はにっこりと微笑むと、スプーンでカレーをすくって、ボクの口元に運ぶ。こ、これは……。
「はい、お口を開けてくださいね。あ〜ん♡」
「は、恥ずかしいよ、ヒカリちゃん……」
ボクの頬がカッーと熱みを帯びる。
「ふふっ、遠慮しないで(照れてる、ナギサ君、可愛いです)」
ボクは観念して、口を開ける。その中に優しくカレーが注ぎこまれた。
「さっきと比べてどうでしたか?」
「さらに甘口になりました……」
「ふふっ、それはよかったです♪」
彼女は満足そうに微笑んだ。
こ、このままやられっぱなしではなんか悔しいな……。よし!
「はい、ヒカリちゃん、あ〜ん♡」
ボクもカレーを
すると彼女の顔は見事に真っ赤になり、こう言った。
「そ、そんな恥ずかしいマネできる訳ないじゃないですかぁ!///」
「自分がさっきした事覚えてる!?」
♢
食後の皿洗いを済ませ、ボクはお風呂に入る。
頭を洗い、身体を洗おうとした瞬間にガラリとお風呂の扉が開いた。
「え? ────ん!?!?」
そこには服を脱ぎ、バスタオルで身体を巻いたヒカリちゃんがいた。
「ど、ど、ど、ど、どうしたの!? ヒカリちゃん!?」
「あのぉ、お背中流そうと思って……」
彼女は頬を赤らめて、モジモジと照れくさそうにしている。
「い、いやいいよ!? 自分で出来るよ!?」
「元気になったら、ナギサ君と一緒してみたいリストを昔に書いてあって、その9万8076個の内のひとつなんですぅ……」
「そんなにあるんだ!?」
彼女が病気の時に、書いたリスト。なら、元気なった今、それを出来るならば叶えてあげたいようにボクは思う。
い、いや、別に下心がある訳ではないよ? うん、全く。うんうん。
「駄目……ですか?」
「ううん……いい……よ」
「そ、そうですか! ではお背中お流ししますね!」
「う、うん……ありがと」
既にボクの心臓がバクバクと早鐘を打つ。果たして、ボクはこの状況を乗り切れるのでしょうか……?
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