お風呂に入ります♡

「ねぇねぇ、ヒカリちゃん! 美味しそうなポテチの新商品が出てるよ! 買ってもいいかなー?」


 ボクは新作のお菓子コーナーに釘付けになる。


「ふふっ、少しだけですよ?」

「うん、ありがとう。後で一緒に食べようね!」

「くすくす、ナギサ君はまだまだ子供ですね(でもそこが可愛いです)」

「そ、そうかな。じゃあ、ここは大人っぽくわさび味にしようかな……」

「味の問題ではないのですけれどね……。あっ、カレーの味はどうされます? 私はどの味でも大丈夫ですよ?」

「じゃあ甘口で!」

「ふふっ、そう言うと思いました」


 ボク達はカレーに必要な材料を買い、レジに向かう。


「お支払いはどうされますか?」


 店員に決済の方法を尋ねられる。


「“パイパイ”でお願いします」


 ボクはQRコード決済のメジャーアプリ“パイパイ”を利用する。


 決済が完了すると“パイパイ♪”という小気味いい音がした。うん、いつ聞いても卑猥ひわいな効果音だ。


「では、“パイパイ”に私の分の食費を送金しておきますね〜」

「うん、ありがとう」

 

 とりあえず結婚するまでは、お互いに食費を折半することで、話は落ち着いた。


 ヒカリちゃんは「私が出しましょうか?」って言ってくれたけど、彼女に甘えたきりになりたくはなかった。


「ヒカリちゃん、手、繋ごっか」

「は、はい///」


 これからは2人で支え合って、生きていきたいから。幸い、昔にバイトで稼いだお金も結構あるしね。





「ちょっと待っててくださいね。すぐに作りますから」


 ピンクのエプロンを装着したヒカリちゃんは、猫の柄が入っていて、すごく可愛らしかった。


「ボクも手伝えることないかな?」

「じゃあ、皮剥きをお願いしますね」

「うん、わかった!」


 2人でキッチンで共同作業。なんだか本当に夫婦みたいだ。


 ヒカリちゃんは手際良く、カレーを調理する。


「出来上がりです♪」

「うわぁ、美味しそう〜!」


 目の前にはほくほくのカレーライスと、たっぷりのサラダ。


「「いただきます」」


 まずはカレーを一口。


 口の中にルーのコクと甘さが口いっぱいに広がる。


「うん、とっても美味しいよ! ヒカリちゃん!」

「ふふっ、ありがとうございます。頑張って練習したかいがありました」


 彼女はにっこりと微笑むと、スプーンでカレーをすくって、ボクの口元に運ぶ。こ、これは……。


「はい、お口を開けてくださいね。あ〜ん♡」

「は、恥ずかしいよ、ヒカリちゃん……」


 ボクの頬がカッーと熱みを帯びる。


「ふふっ、遠慮しないで(照れてる、ナギサ君、可愛いです)」


 ボクは観念して、口を開ける。その中に優しくカレーが注ぎこまれた。


「さっきと比べてどうでしたか?」

「さらに甘口になりました……」

「ふふっ、それはよかったです♪」


 彼女は満足そうに微笑んだ。


 こ、このままやられっぱなしではなんか悔しいな……。よし!


「はい、ヒカリちゃん、あ〜ん♡」


 ボクもカレーをすくって、彼女の口元に運ぶ。


 すると彼女の顔は見事に真っ赤になり、こう言った。


「そ、そんな恥ずかしいマネできる訳ないじゃないですかぁ!///」

「自分がさっきした事覚えてる!?」





 食後の皿洗いを済ませ、ボクはお風呂に入る。


 頭を洗い、身体を洗おうとした瞬間にガラリとお風呂の扉が開いた。


「え? ────ん!?!?」


 そこには服を脱ぎ、バスタオルで身体を巻いたヒカリちゃんがいた。


「ど、ど、ど、ど、どうしたの!? ヒカリちゃん!?」

「あのぉ、お背中流そうと思って……」


 彼女は頬を赤らめて、モジモジと照れくさそうにしている。


「い、いやいいよ!? 自分で出来るよ!?」

「元気になったら、ナギサ君と一緒してみたいリストを昔に書いてあって、その9万8076個の内のひとつなんですぅ……」

「そんなにあるんだ!?」


 彼女が病気の時に、書いたリスト。なら、元気なった今、それを出来るならば叶えてあげたいようにボクは思う。


 い、いや、別に下心がある訳ではないよ? うん、全く。うんうん。


「駄目……ですか?」

「ううん……いい……よ」

「そ、そうですか! ではお背中お流ししますね!」

「う、うん……ありがと」


 既にボクの心臓がバクバクと早鐘を打つ。果たして、ボクはこの状況を乗り切れるのでしょうか……?


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