ーーーーーー

 広さのはっきりとしない空間。

 そこは、人の住む世界とも、神々の存在する世界とも、悪魔の存在する世界とも違う世界。


 どこまで続くのか認識することのできない真っ白な空間。

 壁や天井が存在するのかどうか怪しい空間で唯一床だけは認識することができた。


 もちろんその床も真っ白なのだが、よく見てみると半導体の回路のような線がうっすらと浮かんでいる。

 その線を辿っていくとこの広い空間にポツンと置かれた四角柱に辿り着く。


 その四角柱もこの空間と同じく真っ白であったが、床と違い線は浮かんでいない。

 そんな不思議な空間は何の変化もなく、ただただ時間だけが過ぎていく。



 突然、何の変化もなかった空間に変化が訪れる。



 何も浮かんでいなかった四角柱に床と同じ半導体の回路のような線が浮かび上がった。

 それは青色に光り、だんだんとその光を濃くしていく。

 同時に床の線も同様に色を濃くしていき、壁があるかも怪しかった横や上まで同じ線が浮かび上がり光を強めていく。

 さらにこれまで真っ白だった空間が真っ黒に染まっていき、完全に白が消え去った。

 残ったのは黒と青だけとなった空間で、その音が響いた。



 ーーー収束する運命スペシャルシナリオの開始までのカウントダウンを開始。

   世界の最終調整に移行。



 瞬間、黒と青のみが存在する空間に光の板がいくつも出現した。

 そこには複数の画像と、理解不能な文字のようなものが綴られている。



 ーーー世界を調査スキャン

   異分子イレギュラーの介入を確認。

   異分子イレギュラーの介入による運命シナリオの破壊を確認。順次対応を開始。



 ーーー世界間の壁の損傷を確認。

    影響を与える存在ーー推定悪魔の侵入を確認。


    境界の神へ世界間の壁の修復を要求リクエスト

    承諾を確認。

    

    魔の神へ悪魔の存在抹消を要求リクエスト

    却下を確認。



 ーーー【悲劇の聖女リリア】の生存を確認。

    運命シナリオとの相違を確認。

    収束する運命スペシャルシナリオへ与える影響が大きいと判断。


    運命シナリオの矯正のため生死の神へ【悲劇の聖女リリア】の死を要求リクエスト

    却下を確認。


    影響力縮小のため信仰の神へ【悲劇の聖女リリア】の『回復』の剥奪を要求リクエスト

    却下を確認。


   

 ーーー【哀の剣聖ルルアリア】現在名【ルルア】の運命シナリオとの相違を確認。

    運命シナリオ以上の力を得ると判断。

    収束する運命スペシャルシナリオへ与える影響が大きいと判断。


    影響力縮小のため剣の神へ【哀の剣聖ルルアリア】現在名【ルルア】の『剣神の加護』の剥奪を要求リクエスト

    却下を確認。



 ーーー【吸血鬼の蒼き皇帝エンペラー オブ ヴァンパイアセリーナ】の運命シナリオとの相違を確認。

    運命シナリオへの介入の可能性ありと判断。


    影響力縮小のため夜の神へ【吸血鬼の蒼き皇帝エンペラー オブ ヴァンパイアセリーナ】の力の減少を要求リクエスト

    却下を確認。

    


 ーーー【悪役貴族レイス・ヒーヴィル】へ異分子イレギュラーの干渉を確認。

    収束する運命スペシャルシナリオへの影響を確認。


    人の神へ【悪役貴族レイス・ヒーヴィル】の魂の再生、交換を要求リクエスト

    却下を確認。



 ーーー上記の神々への要求リクエスト、却下の原因を表示。





 ーーー要求リクエストが【一、人間キャラクターへの干渉を禁ずる】に抵触を確認。




 ーーー運命シナリオの修復は不可能と判断。


    模造者へ世界の再構築を提案。




 =====




 先ほどの空間とは別の空間。


 1人、何もない床に座り込む男の耳に一つの音が入り込んだ。


 『運命シナリオの修復は不可能と判断。模造者へ世界の再構築を提案』

 「‥‥‥‥うん?」


 男はその音に疑問符を浮かべる。


 だが、すぐにその顔に笑みを浮かべた。




 =====




 ーーー却下を確認。



 



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