宝石オパールは語る_10 ~似ているけれど~
色石ひかる
第1話 問題編
私は
宝石や鉱物を販売するミネラルショーにきた。最初にオーストラリア産オパール専門店へよった。店主の
「彩香ちゃん、今回も来てくれてうれしいです。思う存分ルースをみてください」
「すてきなルースとの出会いが楽しみよ。気になるところがあれば質問するね」
展示されている手前のルースから眺めた。今日もオパールを堪能できる。
いつもと同じく、いろいろなオパールが展示されていた。同じオーストラリア産でも見た目の異なるブラックオパールとボルダーオパールがあって、同じブラックオパールでも色合いや輝き方が異なっていた。
展示の中には、私でも分かるくらいの高級なブラックオパールがあった。
「赤色が全面に輝いて発色もよくて、別角度では青色と緑色がすてきな感じね」
「手に取ってみますか」
芽衣子さんが、私の返事を待たずにブラックオパールのルースを取り出した。トレーの上に出されたルースは、ルースケース越しに比べて輝きが増している。
「せっかくだから、みせてもらうね」
指でルースをつかんで手のひらに乗せた。手のひらを傾けると、色合いや表情が移り変わる。近くにあるライトへ、ルースを寄せたり離したりして変化を楽しんだ。
「高額商品ですがお薦めのルースです。年々、ブラックオパールの産出量も減っているので、買っておいて損はないです」
「凄くすてきなルースだと、私にも分かる。でも100万円以上の価格は無理よ」
話ながらも、今度はルースの裏側を確認した。真っ黒まではいかないけれど、それに近いくらい濃い色だった。発色がよかったのも、裏側の濃さが影響していそう。
「ふだん彩香ちゃんが購入するオパールに比べると高いですが、いつかは持っていて欲しい一品です」
「お金を貯める必要があるけれど、この金額だと本物かどうかを心配しそう。もちろん芽衣子さんのオパールは、すべて本物と思っているよ」
「信頼してくれてありがとうございます。高額品や天然か怪しい場合は、鑑別書をとってもらうのがよいと思います」
「鑑別書? テレビショッピングのダイヤモンドジュエリーでは鑑定書と言っていたと思うけれど、それとは違うの?」
芽衣子さんの発言を待った。
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