悪魔の告げる余命宣告
和翔/kazuto
プロローグ
『神は存在する』
この世界は不思議だ。皆がこのことについて本気になって物議をかもしている。
正直いたところで俺たちの生活が何か変わることは無い。
『人が死ぬと天使が魂を食べにくる』
だからどうしたと、毎回思う。
まぁ確かに、自分が死んだあとその魂は何処に行くのか。自分たちはどうなるのか。知りたくなる気持ちも分からなくはない。
当然彼らの意見に茶々を入れるつもりもなければ、何か文句を言いたいわけでもない。
ただ正直に、どうでも良いのだ。
神が存在したところで俺たちが不思議な能力を得るわけでもなければ一つの国が滅ぶなんてこともない。
このまえニュースで「死体が突然消えた」やら「火葬場で燃やしたはずなのに炭一つも残っていなかった」やら。
でも実際死んだ後の人間に神やら天使やらの不可思議な力が働いたところでそれは俺らにとって害ではない。
確かに大事にしていた家族や仲間の遺体が消えたとなれば悔いても悔いきれないだろうが、無論その程度だ。
そんなことを言い続けて18年。
俺の馴染みはどんどんと避けるように消えていった。
理由だってわかっているし別に俺をどう思ってくれてもいい。
だが、少しは他人にした自分の親切心や憂いを返してくれたっていいじゃないかと、悲しくなってくる。
因果応報も塞翁が馬も所詮は社会適合者の法螺話だ。
自らの生き方だけを主張するこの世界は惨めで退屈なものだった。
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