最後まで奏でられなかった音楽【序章】

殴り書き書店

プロローグ クズな不良さんがやって来た!!

 ●1997年4月某日●


 バブル経済の崩壊……昨今、そんな言葉を世間では良く耳にする。


しかも、その影響が世の中に顕著に出ているのか。

ただ道を歩いているだけにも拘らず、そんな言葉を耳にする事がやけに多い。

特にメディアなんかでは、連日、同じ様な内容の特番を組んでまで『日本経済の危機』を、ご大層に謡ってやがる。


実に、嫌な渡世になったもんだ。


だがな。

冷静な判断しちまえば、こんな糞話、実はなんて事はない話だ。


バブル崩壊だとか、なんだとか仰々しく言ってはみても。

そんなものは、ただ単に調子に乗った馬鹿が、己の力量も弁えずに、銀行や信販会社から過剰な融資を受けて破滅しただけの結果に過ぎない。


言うなれば、目先の利益だけを考えて、後先を考えていなかった馬鹿な大人達へのちょっとした罰。


……それが俺の認識するバブル崩壊だ。


考えるまでもなく、本当に他愛もない話だ。


***


 俺は、そんな馬鹿な大人達の祭りの終焉を肌で感じながら、少し静かになった繁華街をフラフラと、肩で風を切りながら歩いている。


勿論、こんな事に意味なんてものはない。

俺が、ただ単に、なにもする事がなくて、そうしているだけに過ぎないからな。


―――それにしても退屈な街に成っちまったもんだな。


この、街の静けさ……バブル全盛期の賑わいが、まるで無かったかの様な様相だ。

以前にあった活気って物が、街からは一切合切感じられなくなっちまったんだからな。


本当に、ただただ虚しいだけの街並みだ。



しかしまぁ、なんだな。

先程はバブル崩壊が『他愛もない話』なんて格好良い事を言っては見たものの。

この街の賑わいの無さは、俺にも多大な影響及ぼし始めている。


こうも街が、ひっそりと静まり返ってたんじゃ。

俺の財布の中身が、それに比例して寂しくなって仕方がないってもんだからな。


―――はぁ?なんで、そうなるか?だって?


そんなもん決まってんだろ。

少し前までなら、偽りの景気に踊らされ勘違いした景気の良いオッサンが町を闊歩していたからだよ。


―――はぁ?これでもまだ、なんのこっちゃ?だと。


本当に解らんねぇのか?

そんな景気の良いオッサンを、少し暴力で脅してやれば、すぐさま有り金を、全部置いて逃げて行くからに決まってるじゃんかよ。


こんな簡単な行為だけで、ちょっと前までは、数万~数十万って金が入っていたもんなんだがな……

此処最近では、この不景気の煽りを受けて、そんな景気の良いオッサンはどこかに消えてしまい、姿を見せない。


だから仮に、オッサン共を上手く脅し取ったとしても、1000円札が数枚入っているだけのショボイ結果しかない。

不況のせいで、万券なんて高級なもんは、奴等の財布の中には、何所をどう探しても存在しないんだよな。


こんなこったから、金も無ければ、面白い事もない。


俺は、実に不満満載な訳だ。


世の中、楽しく無くなったもんだな。


―――ったくよぉ。


***


 そんな世の中には糞の役にも立たない不平不満ばっかり言ってる俺の名前は『倉津真琴』

さっきからの話を聞いての通り、世の中に、ご迷惑をタップリ掛けさせて貰っている身分のクズ人間だ。


早い話、俺は、県下でも有名な『性質の悪い不良』


まっ、俺がそんな感じの生き物なんで。

ご挨拶代わりと言ってはなんだが、退屈凌ぎに一騒動起こすとするかね。


今から、ちょっとだけ、不良の生態についてオモシレェもん見せてやるから期待してな。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

プロローグにお付き合い頂きまして、誠にありがとうございましたm(_ _)m


今、読んで頂いた通り、この子は漫画などに登場する様な正義感溢れる不良ではなく【本当に屑な不良】です。

ですが、この後、色々な出来事を経験して、彼は、少しづつ良い方向に変わっていきますので、どうか皆様、寛大な心で見守ってあげて下さい。


宜しくお願い致します。

(*'ω'*)b

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