第4話

3北の女性


天使は北の地にいって、悩んでいる女性に出会いました。

「いったい何に悩んでいるのですか?」

天使がたずねると、女性は暗い顔で理由を話してくれました。


彼女はずっと誰かをうらやましがっていました。そして時にはねたんでいました。

自分にないものを持っている人がいると、彼女はたまらなく悔しくてうらやましくなるのだそうです。

そしてそのたびごとに、彼女は自分は何ももっていない、とてもみじめだと感じてしまうのだそうです。


彼女のTiMeはずっと「うらやましい」という感情を増やすために使われていました。

だから彼女のTiMeは、彼女のために変わることは決してなかったのです。


けれど彼女は今よりもっと幸せになりたいと願っていました。

だから天使は、

「これからはTiMeを自分のために使うように」と言いました。

すると彼女はとても困ったようすで

「どうやって?」

とたずねました。


彼女は毎日たくさんのTiMeを与えられていましたが、

それを自分のために使う方法を知らなかったのです。

だから毎日、誰かに会うたびに、うらやましい、と感じてそのたびにTiMeをたくさん使っていました。


天使はそれに気づいて、考えこみました。


この女性は与えられたTiMeの使い方を知らない…。

もしこのままだと、彼女は他人をうらやましがるために一生分のTiMeを使ってしまうかもしれない。

でもそんなこと、この人だって望んでいない。

きっと、使い方さえわかれば、今からでもTiMeを彼女が望むものへと変えることができるはずだ。

この人は今までたくさんのTiMeを他人をうらやましがることに使ってきた…。

でも、TiMeは毎日与えられるのだから、今日から変わればいい…!


だから天使は

「毎日決まった時間だけ、何か好きなことをやってみるといい」と教えました。

そして

「なにか、新しくできたらいいな。と思うことはありませんか?」

とたずねました。

すると、女性はたくさんやってみたいことを話しはじめました。

それでようやく、彼女は自分のTiMeが本当は何に使われるべきだったかに気づいたようでした。


「ありがとう…。私が今までどれほどのTiMeをムダにしてきたかわかったわ…」

「だいじょうぶですよ。TiMeは毎日新たに与えられるものですから。昨日までのTiMeのことは考えずに、今日から大切につかえばいいんです」


女性は静かにうなずきました。


天使は、また違う土地へいきました。


つづく。

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