スマホと歩む異世界英雄譚〜皇帝家から追放された俺、スマホが覚醒しS級スキルを習得、成り上がります〜

藍原コウ

第1部

序章

プロローグ0

 少女は存在した。


 いつから、何のために存在しているのか誰にも分からない。


 少女の他は真っ白な空間。


 それがどこまでも広がっている世界。


 そんな世界に少女は存在した。


 少女の唯一の楽しみはその白の世界から機器デバイスを通して人間たちの暮らしを観察することだった。


 人間の世界は少女の白の世界とは対照的に色彩やかなもので見るものすべてが少女にとっては新鮮で愛しいものだった。


 少女は人間たちのみせる喜怒哀楽さまざまな感情を見るのがとても興味深かった。


 ある日、少女のもとに1人の人間が訪ねてきた。


 少女の白の世界に誰かが訪れるなんて初めての体験で少女は本当に驚いた。


 その人は少女に言った。


「人間のサポートをしてくれないか」


 と。少女は人間が大好きだったので二つ返事で了承した。


 その後、少女の生活は一変した。


 真っ白な世界は色彩やかな世界に。


 感情のない世界は感情豊かな世界に。


 最初は慣れない人間のサポートに少女は戸惑ったがそれも時間が経つにつれて解決していった。


 だが平和な世界は永久には続かなかった。


 少女と交流のある人間同士で争うようになったのである。


 そんなことは少女は望んでおらず、ただひたすらに悲しかった。


「やめて……争わないで……」


 少女の願いが人間に届くことはなかった。


 人間たちは少女を利用した無人兵器を次々と開発していったのである。


 現実は非情で残酷だった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る