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「これをよく…手元に置いていたんだ。
昔、自分の犯した罪を忘れないように…という戒めなんだそうだ」
淡々と言うオジサンの言葉は、残念ながら、爽にはまったく
心あたりのないものだった。
「じいちゃん…何を後悔していたんだろう?」
爽がボソリとつぶやくと、オジサンは爽の方を向く。
「それは、やっぱり…大事な孫に、危険な目にあわせたことだと
思うぞ」
ボソリとそう言う。
(まただ、一体、何があったというんだ?)
爽は、焦りのようなものを感じる。
「そのお面…もっとよく見せてもらってもいいですか?」
その場を取り繕うように、ごく自然に、トモヒロは手を伸ばす。
「これか?いいけど…」
何のためらいもなく、オジサンはトモヒロに手渡す。
「これは…何だか知らないが…いわくつきのお面だ」
その言葉に、トモヒロの手が、ピタリと止まる。
「いわくつき…?どんな?」
まさか、さわると呪われるのだろうか?
爽もトモヒロも、身がまえる。
二人のおびえた顔に気が付くと、オジサンはハハハ…と笑い、
「まさか、そんな!
物騒なものを、手元には置かないだろ?」
そういうものは、神社とか、お寺さんに預けるもんだろ、と
オジサンは2人に言い聞かせる。
「そう?」
ようやくトモヒロは手を伸ばし、そのお面をシゲシゲと見つめた。
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