第20話:ルークの告白。

それから一週間ほど経った頃、プリティスは何か嫌な胸騒ぎがする

ようになった。

プリティスは人一倍感度の強い予知能力を持っているから

特にルークといると、それを余計強く感じた。


何が起こるのかまではプリティスにも、まだ分からなかっ たけれど、

その不安は日増しに強くなっていった。

なにかいけないことが起きるんじゃないかと心配した。

ルークにそれとなく話したが、気のせいだと一笑された。


それもプリティスはるーくと仲良くやっていた。


「言ってよ・・・ねえ教えて?、なんて言ったの?」


「いいじゃん・・・プリスのその髪型似合うねって言ったんだよ・・・」


「そんなこと言ってない・・・」


「いいじゃん、もう・・・そのうちね、そのうち・・・」


「誤魔化して・・・」

「ねえルークって好きな女の子がいるんじゃないの?」


「なに・・・いきなり・・・」


「チャーリーがルークはモテるからなって言ってたよ」


「あいつの言うことなんか真に受けちゃだめだよ」


「だって学校に迎えに行った時に一緒にいた子、仲よさそうだったし・・・」


「あはは、メアリーのこと?、そんなことまだ気にしてたの?・・・」

「前にも言ったけど、あの子はただのガールフレンドだよ」

「それに・・・俺、他に好きな人いるもん・・・」


「え?、うそ・・・いるの?・・・好きな子」


「いるよ」


「うそ・・・え〜・・・ちょっとショック」

「いるんだ・・・好きな子・・・」

「それって?、やっぱり同級生の女の子?」


「違うよ・・・その子はね・・・特別・・・」

「その子は、ここから約2000キロくらい離れたところから来たみたいだよ」

「それに、魔法も使えるんだって・・・」


「・・・え?」


「だからさ・・・そう言うこと・・・」

「さっきはね、俺はここの自然も好きだけど、プリスも大好きだよって

言ったんだよ」


「ルークの好きな子って?・・・」


「うん、俺のすぐ横にいる子だね」


「私?・・・うそ・・・私?」


「白状するけど、はじめて君を見たときから、ほんとはずっと好きだったんだ」

「プリスのこと、好きだって言うきっかけがなくて・・・」


「そう言うのってなにかきかっけでもないと照れ臭くて言えないだろ?」

「それに家の中じゃ、お母さんがいるからね」


「本当?・・・私のこと忘れてたくせに?・・・」


「忘れてたんじゃなくて思い出せなかっただけだよ」


「それって同じだよ」


ルークとプリティスは顔を見合わせて笑った。


「ねえ、プリス・・・もしって言いだしたらキリがないんだけど・・・」

「もし、プリスが俺のところに来なかったら・・・俺は君とは一生巡り

会うこともなかったんだよね」


「この先の俺の生き方や運命だってきっと変わってたと思う」

「でも、今はプリスがいない世界なんて考えられないんだ」

「最初は、たわいのない・・・約束ごと・・・って思ってたけど・・・

ごめんね・・・でもその、たわいもないって考えは間違ってることだって

気づいたんだ・・・」


「今はプリスとの約束はとても大切なことだって思ってる・・・」


「私もそう思う」

「だから・・・私、ここに来て良かったんだよね」


「ああ・・・来てくれてよかったよ」

「俺、君になら心開けそうだ・・・」

「俺の中で過去の出来事がずっと心に引っかかったまま、そのことを

認めたくなくて目をそらしてたけど・・・プリスのおかげで、

そのこともちゃんと受け止められそうな気がする」


「何か、嫌なことあったの?」


「大丈夫だよ・・・昔のこと、それにプリスには関係ないことだから・・・」


(ルーク・・・オリビアさんとのこと言ってるのかな?)


「そう・・・でも、私がルークの役になてるなら、それが一番嬉しい」


「だから〜エルフの里に帰るって言っても、絶対返さないからね」

「どうしても帰るって言ったら、僕がついていくから・・・」


そう言ってルークはプリティスを引き寄せて優しく抱きしめた。


つづく。


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